Interview / 2017 08,07Part.2

1カ月後に控えた初のアメリカ戦
「結果を残して、海外でも通用する選手になる」

桁外れのパンチ力から「モンスター」の異名を持つ、WBO世界スーパーフライ級チャンピオンのプロボクサー・井上尚弥選手。「ボクシング史上最強の男」を生んだ親子二人三脚のボクシング人生。ターニングポイント=「Relifeのタイミング」となる、2階級制覇からのアメリカ進出を9月に控えた今、彼は何を思うのだろうか――。転機のタイミングを振り返りながらこれからのボクシングにかけた思いを伺った。

井上 尚弥さん

1993年4月10日生まれ、神奈川県座間市出身。
現WBOスーパーフライ級王者。世界最速で2階級制覇するなどボクシング界最注目の逸材。弟は元東洋太平洋王者の井上拓真。

この先どこまで強くなるのか「引退は35歳。体力の限界が来るまで。」

Chapter.05

––井上選手から見て、ボクシングの魅力はどんなところですか?

ボクシングは勝ってもまた次々と相手が出てくるので、自分でゴールを設定しないといつまでも続いていくんですよね。終わりがないからこそ楽しいものだと思います。自分の中では、ボクシングは一応35歳までとは思っています。体力の限界がくるまで、自分はどんなボクシングができるかいろいろ考えさせられますね。

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––これまで、ご自身の中で「限界」を感じたことはありましたか?

限界とは少し違うのですが、ライトフライ級のときは、ひたすらトレーニングして体重を11キロくらい落とすといった、かなりムリな減量をしていたのでつらかったですね。試合に出ても、トレーニングではできていたはずの力が半分も出せませんでした。

––それでスーパーフライ級に転向されたんですね。でも、一気に2階級も上げたのはなぜですか?

自分本来のプレイができるのはスーパーフライ級以上だと思ったからです。すぐにでも階級を上げたいくらい、ずっとムリをしていた状態でしたから。

世界最速での2階級制覇の先に見えた世界

Chapter.06

––実際にスーパーフライ級へ転向されていかがでしたか?

スーパーフライ級に挑戦する試合の対戦相手は、世界的にも有名なチャンピオンだったんです。でも、今までライトフライ級では出せなかった本来のパワーを遺憾なく発揮することができて、すごく偉大なチャンピオンにKOで勝てた瞬間、「これならやっていける」と確信しました。

story_img2対戦相手のオマール・ナルバエスにパンチを浴びせる井上選手
(写真:The Asahi Shimbun / Getty Images)
story_img3最後は左ボディーにパンチを打ち込み、ダウンへ
(写真:Atsushi Tomura / Getty Images)

––当時の世界記録を塗り替えるプロデビュー8戦目での2階級制覇でしたね。

2階級上げての挑戦ですし、対戦相手も通算で27回防衛している強者だったので、やはり無謀かという思いもありました。けれども、ここが自分のターニングポイントになるだろうなっていう感覚がありましたね。結果として、そのチャンピオン相手に圧倒的な勝利を挙げられたことでプロボクサーとしてのポジションがガラッと変わった瞬間だったと思います。自分としても自信がつきましたし、周囲の評価が格段に上がった実感もありました。

––ボクサーとして置かれるポジションがガラリと変わった瞬間でしたね。

一番大きな変化は、やっぱりアメリカで試合をするきっかけになったことですね。試合の様子が世界中に流れたことで、アメリカのプロモーターから声をかけてもらえるようになりましたから。トレーニングに対する姿勢や考え方にも、「アメリカで試合をするぞ」というスタンスが加わるようになりました。ボクシングの練習に対する意識も変わりました。

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