Lifestyle / 2016 08,25Vol.1

ジャパニーズ&アメリカン。20年をかけたヴィンテージだらけのやり過ぎハウス

アメリカが最も繁栄していた時代と、日本が高度経済成長へ向かった時代のモノを詰め込んだ家。
和と洋に分けられた2つの空間は、まるでミュージアム。大好きなコレクションを活かし、見せ方を工夫すると、家はこんなにも面白くなる。

宮坂 圭さん

46歳。会社員。妻と高校1年生の長女、小学校6年生の長男の4人で、100年近く前に建てられた自宅に暮らす。趣味のバイク、ヴィンテージグッズが高じてコレクションを飾る、自室兼ガレージを作った。

歴史ある自宅をコレクションルームに改装

Chapter.01

富山県魚津市の市街地から山の方へゆるやかな坂を登っていくと、階段状に広がる田園地帯の小高い丘にその家はあった。宮坂さんで6代目になるという自宅は古くからの農家で、築100年になろうかという立派な造りの木造家屋だ。彼の仲間内では、「丘 (Hillbilly)」と呼ばれている。

現在は農家をしておらず、宮坂さんの自室兼ガレージは、かつて作業場と倉庫として使われていた場所を利用して作られている。右がオールドアメリカン、左はオールドジャパニーズをテーマにした空間。部屋にはさまざまなヴィンテージグッズを、ミュージアムのようにデコレーション。その質と量、バラエティの豊かさに圧倒される。

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きっかけは音楽 目指したのは自分がカッコイイと思う空間

Chapter.02

「コレクションのきっかけは音楽でした。50’sのロックンロールやロカビリーを、中学生くらいから聞くようになって。その時代の物が好きになって集め始めたんです」

アメリカの古い物が大好きな宮坂さんは、19歳の時から富士重工製の1963年型ラビットS301スクーターに乗り始めた。初めて手に入れたラビットS301は今も大事に乗り続けている。同時に和製ヴィンテージグッズにも興味が湧き、同様にコレクションを始めたという。倉庫と作業場をコレクションルームに使ったのには理由がある。ひとつは自分の趣味を思いっきり満喫できること。もうひとつは、ガレージにしたら友だちも気軽に来られると思ったからだ。

「自分の居場所というか、仕事から帰ってきて疲れが飛んでしまうような部屋。ただぼーっと過ごせる場所を作りたかったんです。だから自分がかっこいいと思う空間を目指しました」

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50’sがメインテーマ どこよりもアメリカンなガレージの追求

Chapter.03

5年ほど前、アメリカンルームに天井まで届く壁を新しく大工さんに作ってもらうことから、リフォームをスタート。それ以前から少しずつ自分の手で改装を始めていた。壁を支えるために強度のある柱を新たに入れ、壁面にはたくさんの物を飾れるように、多くの横木を取り付け釘を打てるようにしている。大正時代に建てられた古くも頑丈な柱と梁などを活かし、隠さず見せることでガレージを高さのある空間にしている。

ここにはフルカスタムした、’92年型のハーレーダビッドソンが鎮座し、スプートニクライトやミラーつきのシャドーボックスなど、’50年代をメインに’70年代までのグッズやインテリアを中心に集めてきた物を置いている。仕事が終わった後、ひとり気ままに過ごしたり友人たちと集うのもここだ。

「乗り物が好きなもんで、同じ趣味の友だちが集まるようになって。うちに遊びに来たり、BBQをよくするようになって。いつもシャッターを開ければ俺がいる、みたいな状態というか。だから家の中の部屋ではなくガレージなんです」

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リアルな昭和を感じさせる本物のヴィンテージ

Chapter.04

ジャパニーズルームは、リアル昭和がテーマになっている。入り口には、同級生のおばあちゃんがやっていた駄菓子屋にあった、タバコのショーケースを設置。これだけでも驚くが、壁面にはメインで収集している、ヴィンテージのホーローと鉄の看板が一面に飾られている。自宅に昔からあったというレトロな扇風機や古い箪笥、こつこつ集めてきた飲料水の木箱など、多岐にわたるコレクションに目を奪われる。1960年代のシルバーピジョンと、2台のラビットスクーターが保管され、昭和時代の日本が詰まった空間。当時を知る世代には懐かしく、知らない世代には新鮮な驚きをもたらす。

家族から反対こそされなかったものの、子育てをしながらのガレージ作りは、そうそう費用をかけることもできなかった。その分飾り方でゴージャスに見えるよう、いろいろと考えながらレイアウトを決めて、こつこつとガレージを作ってきた。今の状態に近くなってきたのは3年ほど前。コレクションを始めてから20年が経っていた。

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古い物を使い、愛でる喜びを堪能する

Chapter.05

「やり過ぎているところは、なんでもかんでも飾ってしまうところですかね。好きな物を大事にしまっておくことはしないので。見せる収納というか、自分が眺められるようにしているだけなんです。好きな物を詰め込んでいるうちにパンパンになってしまって。ちょっとゴチャゴチャしすぎなんですけど(笑)」

宮坂さんは古い物を飾って愛でるだけでなく、日常生活の中でヴィンテージをそのまま、実用品として使ってもいる。50年以上前に作られたスクーターは、日常の足から東京までのツーリングもこなす。扇風機や時計、家具も普通に使う。それが楽しいし生活の一部。機能や性能を考えれば最新型の方が勝るのは間違いない。しかしながら、古い物を使うことでしか得られない喜びという何事にも代え難いものがある。そして、それが本物であることが大事なのだと語る。見る度にレプリカだ……と思うのが嫌だから。

癒しの空間と自ら呼ぶ2つのガレージを、こつこつと物を集めながら作り上げた宮坂さん。好きな物に囲まれた自分だけの時間がゆっくりと流れていく。

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