StoryEssay / 2017 05,15Part.3

38歳出版社勤務。過ちから逃げるように始めたランニングの先に見えた新しい自分。 そして新たな出会いからのリライフ(前編)

出版社に勤める勇次は、大阪府豊中市で生まれ育ち、明治大学経済学部を卒業。学生時代から10年付き合った恋人とまさかの結婚1年で別れてしまった×1(バツイチ)男。
これからお話しするのは、そんな勇次が離婚、転職、友人関係、恋愛、お金など様々な人生の局面で必死にリライフ(=人生の再生)を繰り返し、大きくなっていくヒューマンドラマです。

子どもから「おすもうさん」と言われて始めたランニングが、抱え続けた孤独感・罪悪感を振り切って行く 絞られていく身体と安定していく心、その先には……

Chapter.10

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「落ち込んでいるときは人と会え」なんて言いますが、会社で孤立して以来、他者と接することに非常に消極的になっていきました。仕事は辞めずに続けていましたが、職場における人望は地に落ちているため、同僚とは事務的な会話を交わすのみ。せっかくの休日も家にこもってゲームというルーティン。
ずっと家にこもっているから、一言もしゃべらない日もあったりして。「あれ、声ちゃんと出るかな」なんて急に不安になって、テレビに映るタレントに向かって話しかける、なんてこともありました。

あまりにも人との交流がない日々が続いて、帰省してお袋の手料理でも食べたいな、なんて思うこともありました。でも、離婚してからは両親との関係がギクシャクしていて、実家に行ったところで何を話していいかわかりません。

コミュニケーションに乏しい毎日だと、人からちょっと声をかけられるだけでもすごくうれしいんですよね。近所のお弁当屋さんに愛想のいいおばちゃんが働いていて、「お兄ちゃん、余ってるけど食べる?」なんて言って余った惣菜をくれたりするので、世間話をしたいがためにしょっちゅうそこでお弁当を買っていました。

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そんな僕に、ちょっとした事件が起きました。

ある日の夜、会社から帰宅してシャワーを浴びようとしたら、なぜかお湯が出ません。深夜だったのでガス会社に連絡するわけにもいかず、しぶしぶ近所のスーパー銭湯へ足を運びました。
久しぶりに足を伸ばしてお湯に浸かったら想像以上に気持ち良くて、結果オーライだな、なんて思ったんです。でも、浴場から出ようとしたところで、まだ小学校に上がっていないくらいの丸刈りの小さな子どもに「パパ、おすもうさん!」って指をさされちゃって……。
自分では小太りくらいの認識だったんですけど、力士と間違えられたのは正直、ショックが大きかったですね。

家庭や仕事の問題で心身のバランスを見失っていたのかもしれません。無垢な子どもの声に我に返り、とにかく太る前のカラダを取り戻そうと決意。ジム通いは続かなくなると考え、ハードルが低く手軽にできる運動として、ランニングを始めました。