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(ご参考)民法改正について

2020年03月23日

三井不動産リアルティ株式会社

 平素は弊社業務に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、ご高承の通り、このたび民法が改正され、2020 年 4 月 1 日より施行されます。 賃貸借に関連する部分について、その概要を以下のとおりお知らせいたします。 1.民法改正の目的 今回の民法改正は、1896 年(明治 29 年)公布の民法の 120 年ぶりの抜本的大改正です。 民法のうち債権関係の規定について、社会・経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに、民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルール(判例など)を適切に明文化することなどを改正の目的としております。 2.民法改正の適用 改正民法は、2020 年 4 月 1 日から施行されます。 今回の改正は、施行日前に締結(合意)された賃貸借契約には、基本的に影響なく、施行日以後に締結される賃貸借契約から適用となります。 締結された日によって、2020 年 3 月以前であれば旧法、2020 年 4 月以降に締結されたものは、改正法が適用されます。 また、2020 年 3 月以前に締結された賃貸借契約が 2020 年 4月以降、合意更新または再契約となった場合は、改正法が適用されることになります。 3.民法改正の内容 不動産の賃貸借に関連する民法改正の主な内容は、以下5つとなります。 (1)連帯保証契約に関する改正 ①保証人保護の観点から、連帯保証人が個人の場合、連帯保証人が負う可能性のある債務の限度額として、具体的な金額による極度額を定め、かつ書面で保証契約を締結しなければ、保証契約の効力が生じない(無効となる)ことが規定されました。 ②弊社では、借主様による家賃保証会社利用を原則としておりますが、連帯保証人を付保する場合は、同業他社と同水準の賃料の 24 ヶ月相当額を極度額とする予定です。 ③また、連帯保証人が借主の債務の履行(賃料の支払い)状況について貸主に情報提供を請求できるよう規定が新設されております。 (2)賃借物件の一部滅失等の場合の賃料の当然減額 ①賃借物の一部が借主の過失によらないで滅失した(使用及び収益できなくなった)場合、旧法では、賃料の減額には、借主の請求が必要となっておりましたが、今回の改正により、借主からの請求がなくても当然に減額されることになりましたので、何卒ご理解の程お願いいたします。 ②ただし、当然に賃料が減額されるとはいえ、減額されるのは、使用収益することができなくなった部分の割合に応じた額であり、それがいくらであるかの判断は難しいため、従来の通り、弊社では、貸主様および借主様と賃料等の額について協議のうえ、合意形成を図っていきたいと考えております。 (3)借主の賃借物件に対する修繕権の明文化 ①借主による修繕の規定が新設され、借主が修繕できる 2 つの場合が明記されました。 賃借物の修繕が必要である場合(修繕権発生の前提要件となります。)において、 ・借主が貸主に修繕が必要である旨を通知し、または貸主がその旨を知ったにもかかわらず、貸主が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。 ・急迫の事情があるとき。 ②弊社では、修繕を要する箇所を見つけた場合に借主様に通知義務を課すことにいたしました。 この通知を受けて、実務的には、貸主様および借主様間で協議のうえ、必要に応じて修繕工事を実施することになります。なお、修繕義務は貸主様が負っているため、修繕費用は、原則として貸主様の負担となりますので、ご承知ください。 ③貸主が工事を実施しない相当期間の目安や急迫の事情といったものが具体的でありませんが、改正民法施行後、裁判事例などによる判例の蓄積を待つことになります。 (4)敷金の定義と返還時期に関するルールの明確化 ①改正後の民法では,従来の実務に従い、敷金を「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義されました。 ②その上で、判例に従い、賃貸借契約が終了して賃借物が返還された時点で敷金返還債務が生じること、その額は受領した敷金の額からそれまでに生じた金銭債務の額を控除した残額であることなどのルールを明確化したもので、旧法と比べ、実質的な変更はありません。 (5)原状回復義務に通常損耗等は含まないことの明文化 ①通常の使用によって生じた賃借物の損耗や経年変化による損耗など借主に責任がない場合、借主の原状回復義務から除かれることが明文化されております。 これは判例を明文化したもので、これまでのルールを変えるものではありません。 民法改正の概要詳細については国土交通省のホームページ「住宅の賃貸借契約に関連する民法改正の概要」をご確認下さい。 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001493379.pdf