【相続専門会計士・税理士の相続コラム】最近の相続のリアルな傾向

ライフステージ:相続
タグ: 税金・制度

 

こんにちは。今回からコラムを担当させていただく、相続専門の公認会計士・税理士の石倉です。

日々、相続のご相談をお受けしていると、様々なご家族にお会いします。仲の良いご家族、仲が悪いご家族、疎遠になっているご家族等々。本コラムでは、普段あまり聞くことの出来ない「相続の現場」で起きていることを、守秘義務を守りながらご紹介していきます。皆さんのご関心が高い相続税の節税対策などについても定期的に触れていきますので、ぜひ気軽にお読みください。

 

■相続ココだけの話

2015年の相続税増税以降、生前の相続のご相談がかなり増えてきました。皆さん、なかなか他人に打ち明けられない悩みを多く抱えていらっしゃるようです。特に、相続の悩みは、とてもプライベートな悩み。「親のお金」に関することから、親子や兄弟同士の人間関係、過去のいざこざ等、実に多くの個人情報を含んでいます。それ故に、本当は信頼できる専門家に相談したいけれど、専門家とはいえ見ず知らずの人に個人的な悩みをオープンにすることにためらいがあり、躊躇されている方が多いようです。

今回のコラムでは、そんなご相談事例の中から、ちょっと気になる「最近の相続の傾向」についてお話ししたいと思います。
(守秘義務があるため、個人が特定されるような情報を伏せてご紹介します。)

 

■最近の相続は、「右手で握手をし、左手で殴り合う!?」

先日、こんなお客様がご相談にいらっしゃいました。ご相談にいらしたのは二人兄弟のご長男。80代の父を半年前に病気で亡くしたことから、相続手続きを進めたいというご相談でした。お母様は既に10年前に亡くなっているため、相続人はこの長男と、次男のお二人。最初にご長男とお会いした時は、兄弟関係は良好と伺っていたたため、相続手続きはスムーズに進むと考えられていました。

しかし、遺産分けの話し合いのため、相続人二人が顔を揃えた日、状況が一変します。当初、相続人である長男、次男の二人だけで話し合いを行う予定でしたが、急遽両者の奥様方も同席。何やら怪しい雰囲気を漂わせながら話し合いがスタートします。まずはご長男の主張。

「祖父や父が代々守ってきた○○家の土地を、自分の代でも残し守り続けたい」というご意向でした。具体的には、自宅とその周辺の土地を自分が相続し、その代り次男には預金や株式などを相続してもらいたい、という希望です。長年、病気がちな父の介護を長男がしてきたこともあり、弟もそれで納得してくれると思っていらしたようです。

一方、次男の主張はこうです。「俺は、土地や家には興味がないから、お金が欲しい。」ここまで聞くと、何の問題もない両者の主張です。お兄さんは不動産を、弟さんはお金を相続して円満に話し合いは終了するはずでした。しかし、弟さんの次の一言で、状況は一変します。

「兄さん、俺が欲しいお金は、父さんが残した預金や株式だけじゃなくて、不動産を含めたすべての遺産の『きっちり半分』だよ。」

遺産の内訳が、預金と不動産で半分ずつであれば何の問題もありませんが、多くのご家庭では、預金よりも不動産(特に自宅の土地)の評価が高いケースが多いでしょう。このご家庭でも、預金と株式の合計は2,000万円でしたが、自宅とその周辺の土地の評価額は8,000万円。弟さんが『きっちり』全体の遺産の半分を相続するためには、お金が足りません。これでは、ご長男が土地の一部を売却してお金に換えるか、銀行などから借金をして次男に足りないお金を支払うなどの対策を取らなければなりません。

さて、ここまでお話をすると、「そんな話、昔からよくあるよ。」と言われそうですが、今回お伝えしたいのは、この兄弟の「関係性」です。先にお話しした通り、実はこのご兄弟、普段は仲が悪くないのです。いや、遺産を分ける話し合い以外は、むしろ仲がいい。お互いを罵り合い、激しく非難し合う関係性ではないのです。きっと亡くなったご両親も、「うちの子供たちは仲がいいから、いわゆる”争族“にはならない。」と思って、遺言書を残さなかったに違いありません。

実は最近、このご兄弟のような相談が増えています。普段は仲がいい、だけど遺産分割の話し合いは別。お互いの権利を淡々と主張して、もらえるものはしっかりもらう。そして、自分たちで解決できなければ、粛々と弁護士を立て、家庭裁判所に決めてもらいます。まさに、「右手で握手をして、左手で殴り合う」ような関係です。

 

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