犬と猫では違う…家族全員が喜ぶ「ちょうどいいペット部屋」

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かつては、マンションやアパートなど、ほとんどの共同住宅では犬や猫の飼育が禁止されていました。鳴き声やニオイなどが原因で同じフロアの住人とトラブルになるためです。

「ペットがいると、どうしても室内がフンで汚れたり、爪でひっかかれて壁が傷ついたりします。だから大家さんからも嫌がられていたんです。新しい住人に貸すときはできるだけキレイにしておきたいですからね。大家さんにすれば当然の対応かもしれません」(古くから都内で営業している不動産業者)

ところが、ここ最近、大都市圏を中心にして賃貸住宅でも「ペットの飼育OK」を売りにする物件が増えています。この傾向にはどのような背景があるのでしょうか。

「理由は大きく2つあります。まず、大都市ではマンションやアパートが密集している一方、少子化の影響から供給過多の状態となって、空室率が年々、高まっているんです。そこで、入居条件を緩めて『ペットOK』にしてでも空き部屋を減らしたいオーナーさんが増えてきました。もうひとつは、以前と比べてハウスクリーニングの技術が向上し、防臭剤の効能も格段にアップしたことでしょう。現在ではペットによる汚れやニオイもほぼ完全に除去できるようです」(不動産ジャーナリスト)

さらに、部屋の気密性が高まり、鳴き声の騒音問題が解消されたこともあって、共同住宅でペットを飼う人は増えています。

そうした彼らが結婚し、長年にわたり苦楽を共にしてきたペットを連れて一軒家に住むことになると、また新たな問題が出てくるようです。とあるご夫婦もペットにまつわる悩みに直面されました。

「独身時代に1人暮らしの寂しさを慰めてくれた大事な家族のタロー(犬=オス・パグ)を、結婚して一軒家でどうやって飼っていこうかと悩みました。実は、妻もミミちゃん(猫=メス・スコティッシュフォールド)を飼っていたので、犬と猫が一緒に仲良く生活できるのかが一番の心配だったんです。昔は一軒家に住んだら、庭に犬小屋を作って大型犬を飼おうと思っていましたが、タローがいればほかにワンちゃんはいりませんし、タローを外で寝させるなんてかわいそうでできません」(北関東に住む自営業男性・40代)

幸いタローくんとミミちゃんは相性が合ったのか、すぐに兄弟のように仲良くなりました。当初はトイレの場所だけ決めて、2階建て4LDKの建物内で放し飼い状態にしようかとも考えたそうです。

しかし、せっかく部屋が余っているのだから、家中で最も日当たりの良い2階の角部屋をペット専用と決めました。ご主人は角部屋をペット専用にした理由を笑顔で語ってくれました。

「私らにはまだ子供がいませんが、もし生まれたら子供部屋にしようと考えていた場所です。いまのところはタローとミミちゃんが子供みたいなものですから、一番過ごしやすい部屋を占領されても、まったく苦にはなりません」

新築一軒家の資産価値を下げずにペットと暮らす知恵

1970年代に『寺内貫太郎一家』や『阿修羅のごとく』など人気ドラマを数々生み出した脚本家で直木賞作家の向田邦子さんは、亡くなるまで東京・表参道近くにある高級マンションにおひとりで住んでいました。

向田さんは見晴らしのよい部屋を、愛する猫ちゃん専用にして使っていました。もしかしたら周囲には「もったいない」と感じた人がいたかもしれませんが、向田さんは猫ちゃんを家族同然に愛していたからこそ、その部屋を猫ちゃん専用にしたのでしょう。

もちろん、ご主人もペットたちに愛情を注ぎ、せっせと部屋の模様替えに汗を流しました。床にはマットを敷きつめ、壁にも猫のミミちゃんの爪研ぎで傷がつかないようシートを全面に張り、おもちゃをたくさん用意するなど気を配ったそうです。ただし、これは愛情だけではなく、未来を見据えたライフプランに沿った行動でもありました。

「カワイイ家族ですけど、やはりこの一軒家も私たちにはとても大事なんです。かけがえのない資産ですからね。いまのような不安定な時代、明日でさえ何が起こるかわかりません。もしも家を手放さないといけない事態が起きたとき、ペットのせいで資産価値を下げることはできる限り避けたいんです。家を売ったとしても、タローとミミちゃんとは一緒に暮らしていきますからね。そのためにも家の資産価値を維持して、家族との幸せをキープしたいと考えています。これは妻とも同じ意見なんです」

このご夫婦は、愛するペットとの暮らしを守るために、家も守っていく、といったスタンスのようです。ペットを飼う人が増えていることもあり、ご夫婦にように、家に対する愛着の根源がペットに由来するという家庭は今後、増えていくかもしれません。

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