【専門家が語る不動産投資】空き家820万戸時代の賃貸住宅市場の地域格差と注意点

ライフステージ:投資

■空き家は本当に820万戸(空き家率13.5%)もあるのか?

昨今、テレビをはじめとする各種メディアでは、「空き家820万戸」「空き家率13.5%」「7軒に1軒が空き家」といった見出しが、数多く、取り上げられていて、非常に高い社会的関心を呼んでいます。
では、この数字の根拠をご存知でしょうか?
実は、この数字は、5年ごとに実施されている総務省「住宅・土地統計調査」の平成25年の調査結果が元データとなっています。

空き家数及び空き家率の推移―全国(昭和38年~平成25年)

出展:総務省統計局「住宅・土地統計調査結果」

データというものは「一人歩き」しがちなので、その調査方法・算出根拠・定義を良く把握しておく必要があると思います。
総務省「住宅・土地統計調査」の場合、「空き家については、調査員が外観等から調査し、空き家の種類(別荘等の二次的住宅、売却用の住宅、賃貸用の住宅及びその他の住宅)ごとに、外観等から判断できる建物の属性(建て方、構造、腐朽破損の有無など)に関する結果を提供している」ことになっています。
調査対象は住民票などで事前に特定はせず、統計理論に基づいて無作為抽出で全国から約350万住戸を選定して調査をしています。
そして、空き家の特定方法は、空き家などの所有者に調査するのではなく、まずは訪問時間を変えるなどして、調査員が面接するように努め、それでも会えない世帯は、調査員が建物の外観を確認したり、近隣の人や建物の管理者などに確認するという手法です。
アパートやマンションなどの集合住宅については、オートロックの増加により、調査員が各住戸まで辿り着けない等で調査が困難になってきており、その点は事前に管理人などに協力依頼をしているそうです。
平成25年の調査というのは、同年9月23日から10月24日までの期間に実施されました。

「住宅」の中で「居住世帯のある住宅」とは、ふだん人が住んでいる住宅ということで、調査日現在当該住宅に既に3ヶ月以上に渡って住んでいるか、あるいは調査日の前後を通じて3ヶ月以上に渡って住むことになっている場合をいい、それ以外の「住宅」は「居住世帯のない住宅」といいます。「空き家」は「居住世帯のない住宅」の1区分となっているわけです。
次に、空き家の形態についてですが、大きく5つに分類されます。

【空き家の種類】
○二次的住宅(別荘)・・・・・週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用される住宅で、ふだんは人が住んでいない住宅
○二次的住宅(その他)・・・ふだん住んでいる住宅とは別に、残業で遅くなったときに寝泊まりするなど、たまに寝泊まりしている人がいる住宅
○空き家(賃貸用)・・・・・・・新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅
○空き家(売却用)・・・・・・・新築・中古を問わず、売却のために空き家になっている住宅
○空き家(その他)・・・・・・・上記以外の人が住んでいない住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など(空き家の区分の判断が困難な住宅を含む)

つまり、空き家の中には、「別荘」、「セカンドハウス」や「売却中で空室になっている住宅」も含まれていることになります。

都道府県別の空き家率(H20年、H25年)

出展:ニッセイ基礎研レポート「全国・主要都市の空き家数と空き家率の現況」 2016/5/2号

上記グラフの通り、H25年の空き家率は、山梨県が22.0%で最も高く、次が19.8%の長野県。宮城県が9.4%で最も低いという結果で、かなりの地域格差がありました。宮城県は東日本大震災の影響で、復興需要などもあり、空き家が大きく減少したと考えられます。
ここで忘れていけないのは、「空き家」の中には、「別荘」、「セカンドハウス」が含まれているということです。山梨県は富士五湖、長野県は軽井沢という別荘地があるため、空き家率が上昇し、全国1位・2位になってしまっていると言えるでしょう。

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