売れるのは億ションばかり? 契約件数減少で平均販売価格は上昇中?

ライフステージ:暮らし

住宅ローンの超低金利状況が続き、2016年2月には日銀がマイナス金利を導入したため、さらに金利はほぼ底値ともいえる状態になっています。そのため住宅ローンが借りやすくなり、新築マンションの販売状況も好調……になってもおかしくないのですが、実際のところは、販売件数が減少しています。いったいどうしたのでしょうか。

2016年に入ってから、分譲新築マンション市場の動向に変化が起こっていました。国土交通省が9月5日に発表した「不動産市場動向マンスリーレポート 平成28(2016)年8月」のデータによると、首都圏の新築マンション市場では、2016年1月から7月にかけて7カ月連続で供給戸数が前年同月比で2ケタのマイナスとなっており、とくに2016年7月は3,317戸と、2015年7月の4,785戸に比べて、30.7%ものマイナスという大きな落ち込みとなっています。

また初月契約率も、2016年は7カ月連続で前年同月の数字を下回っており、7月は63.3%と前年同月比マイナス20.4ポイントと大きく落ち込んでいます。この契約率は、70%が分譲新築マンション販売の好不調の分岐点とされており、2016年は1月から7月の間で70%を超えた月は2月と5月の2回だけで、あとはすべて60%台と、不調の状態が続いています。

その一方で、分譲新築マンションの平均販売価格は値上がりしています。2015年12月の時点では5,457万円だったものが、その後2カ月連続して価格が上昇して、2月には5,773万円に。前年同月比では1月から5月までプラスの数字を記録していました(6月、7月は微減)。また平米単価でも、2月以降ずっと80万円台となっており、高値の状態が続いています。

つまり、2016年に入ってから新築マンションの供給戸数も販売件数も減っているなか、販売価格のほうは上昇を続けているという状態になっているのです。

販売価格の値上がりから分譲新築マンションの在庫数が増加へ

販売件数は減っているのに価格が上昇しているということは、要するに、マンション1戸あたりの価格が1億円を超える、いわゆる「億ション」が売れているからでしょうか。たしかに、2015年は、都内中心部のあちらこちらで大型物件の億ションが販売されて話題となっていました。

しかし実際のところは、この億ションのブームも落ち着きを見せて、2016年に入ってからは大きな話題となる億ションの新規物件は出てきていません。また、2015年までの億ションの好調ぶりは円安による効果もあって、海外の資産家からの注目も集めていましたが、2016年に入ってからは円高基調となっており、海外の資産家にとっては以前ほどのお得感もなくなってきています。

では、何が販売価格を押し上げているのかというと、その大きな要因としては、地価の上昇や建築資材・人件費といった建設コストの上昇が挙げられるようです。

分譲新築マンションの販売の不調により在庫数も増え、2016年はほぼ毎月のように6,000戸以上となっており、2015年の4,000〜5,000戸台、2014年の3000戸台に比べて大きく増えています。とくに2016年の7月は6,498戸と、近年では最高の在庫数にまで膨れあがっています。

新築マンションの価格が上昇していくなか、それに比べて割安の中古マンションや一戸建て住宅に需要が移っていることもあり、これから新築マンションの販売価格がどのような動きを見せていくかが注目されます。

これから出てくる新規物件の販売を進めていくためにも、増えた在庫を整理する目的で値引き販売を始める物件が増えてくる可能性もあります。2016年の6月、7月に分譲新築マンションの平均販売価格が微減したのも、もしかしたら、一部でそういった動きがすでに出てきたことによるものかもしれません。

いま分譲新築マンションの購入を考えている方々は、これからの販売価格の動きに注目していくとともに、中古マンションや一戸建て住宅についても検討を進めていくのがいいのではないでしょうか。

ライフステージ: 暮らし

※本記事は記事執筆時点での情報に基づいています。