【相続専門会計士・税理士の相続コラム】平成31年度税制改正大綱

ライフステージ:相続
タグ: 税金・制度

こんにちは。相続専門の公認会計士・税理士の石倉英樹です。

今回のコラムで取り上げるのは、「平成31年度税制改正大綱」を中心とした、気をつけておきたい今年の変更点です。さて、平成最後の年にどのような改正が予定されているのでしょうか?今回は相続対策の観点から、特に個人の方々に影響が出やすい項目を読み解いていきたいと思います。

■「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」の見直し

例えば、身内が亡くなり、空き家となってしまった家屋等を売却することになった際、その空き家が高く売却できた場合には、不動産の譲渡益が発生することになります。その場合には、この譲渡益に対して通常約20%程度の譲渡所得税・住民税が課税されます。
しかし、空き家対策の一環として、平成28年度税制改正で「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」が設けられたことから、一定の要件を満たした空き家の譲渡の場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除することで、譲渡所得税・住民税の軽減が図られてきました。
ただし、今までは、被相続人が老人ホーム等に入所しており、相続開始直前において自宅が空き家となっていたようなケースでは、老人ホームに入る前の自宅が『生活の本拠』とみなされないことから、この「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」を適用することはできないという問題がありました。
そこで、今回の見直しでは、老人ホーム等に入所をしたことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋及びその家屋の敷地の用に供されていた土地等は、次に掲げる要件その他一定の要件を満たす場合に限り、相続開始直前においてその被相続人の居住の用に供されていたものとして、空き家譲渡特例の適用が可能となる見込みです。

(1)被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始の直前まで老人ホーム等に入所をしていたこと

(2)被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続の開始の直前まで、その家屋について、その者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付の用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこと

なお、本特例の適用期間は、今年の12月31日までとされていましたが、4年間延長され適用期間が2023年12月31日までに変更となっています。

■「教育資金、結婚・子育て資金贈与」の見直し

続いては「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」、いわゆる「教育資金の一括贈与」の見直しです。この制度は、30歳未満の子供や孫に対して贈与をする場合、教育資金に使う目的であれば「1,500万円」まで一括して渡しても贈与税がかからない、というもの。ここでいう教育資金とは、学校に支払う授業料や入学金だけでなく、学習塾・水泳教室・ピアノ教室など、学校以外への習い事への支払いも含みますので、お子さんやお孫さんが就学児の場合には、一括してまとまった資金を非課税で贈与することが可能です。
しかし、所得制限のない現行の仕組みのままでは、経済格差の固定化を招くとの批判があることから、平成31年度税制改正で次のような見直しを行った上で、その適用期限が2年延長されます。

(1)教育資金の信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、非課税措置の適用を受けることができない。

(2)教育資金の範囲から、学校等以外の者に支払われる金銭で受贈者が23歳に達した日の翌日以後に支払われるもののうち、教育に関する役務提供の対価、スポーツ・文化芸術に関する活動等に係る指導の対価、これらの役務提供又は指導に係る物品の購入費及び施設の利用料を除外する。(ただし、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用は除外しない。)

(3)教育資金の信託等をした日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合において、受贈者が当該贈与者からその死亡前3年以内に信託等により取得した信託受益権等について本措置の適用を受けたことがあるときは、その死亡の日における管理残額を、当該受贈者が当該贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなす。(ただし、その死亡の日において、①当該受贈者が23歳未満である場合、②当該受贈者が学校等に在学している場合、③当該受贈者が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合のいずれかに該当する場合を除く。)
(注)上記の「管理残額」とは、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額のうち、贈与者からその死亡前3年以内に信託等により取得した信託受益権等の価格に対応する金額をいう。

(4)教育資金の受贈者が30歳に達した場合においても、その達した日において上記(3)②又は③のいずれかに該当するときは教育資金管理契約は終了しないものとし、その達した日の翌日以後については、その年において上記(3)②若しくは③のいずれかに該当する期間がなかった場合におけるその年12月31日、又は当該受贈者が40歳に達する日のいずれか早い日に教育資金管理契約が終了するものとする。

なお、父母・祖父母から、結婚や子育てに関する資金を一括でもらった場合、1,000万円までであれば贈与税が非課税となる、いわゆる「結婚・子育て資金の一括贈与」についても、教育資金の一括贈与非課税措置と同様に、資金の信託等をする年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、非課税措置の適用を受けることができないとした上で、その適用期限が2年延長されます。

ライフステージ: 相続
タグ: 税金・制度

※本記事は記事執筆時点での情報に基づいています。