【相続専門会計士・税理士の相続コラム】平成31年度税制改正大綱

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■消費税増税に伴う「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」への影響

今年の10月1日に消費税増税が予定通り行われた場合、「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」に影響を与えます。この特例は、2021年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属から住宅の新築、取得又は増改築等に使う資金を贈与してもらった場合には、所定の要件を満たせば、一定の限度額まで贈与税の課税対象とならない非課税制度です。その非課税枠は、「住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日」がいつの期間なのかによって下記の表のように変化します。

住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成27年12月31日まで 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日から平成32年3月31日まで 1,200万円 700万円
平成32年4月1日から平成33年3月31日まで 1,000万円 500万円
平成33年4月1日から平成33年12月31日まで 800万円 300万円

しかし、今年の10月1日に予定されている消費税増税により、消費税率が現状の8%から10%に上った場合、この非課税枠は以下の表のように拡大されることになります。

住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成31年4月1日から平成32年3月31日まで 3,000万円 2,500万円
平成32年4月1日から平成33年3月31日まで 1,500万円 1,000万円
平成33年4月1日から平成33年12月31日まで 1,200万円 700万円

■最後に、民法改正の影響

平成31年度税制改正と並んで、今年注目しておきたいのが大幅な民法改正です。1980年以来約40年ぶりの大改正で、しかも相続に関する改正点が多いため、ぜひ押さえておきましょう。中には、すでに変更になっている項目もあります。

まず1つ目は、「遺言制度」についての見直しです。誰に・どの財産を・どれだけ遺すか予め遺言に書いておけば、いわゆる「争族」に発展する可能性を抑えることができますが、日本人で遺言を遺して亡くなる方は少ないのが現状です。
そこで今回、次のように改正されます。まず、「自筆証書遺言」の作成についての見直しです。今までは、遺言の全文を「手書き」しなければなりませんでした。しかし、今年の1月13日からは、遺言の中の「財産目録」についてはパソコンによる作成が認められることになりました。なお、偽造を防ぐために、財産目録にもすべて署名・押印する必要がありますが、遺言を作成する手間が大幅に省力化されます。
さらに、2020年7月10日からは、法務局での「自筆証書遺言の保管制度」が新たにスタートしますので、遺言書の紛失・偽造を防ぐ効果が期待されています。なお、この保管制度を利用した場合には、従来必要だった家庭裁判所による検認が不要となります。

2つ目は、「預貯金の引出し」についての見直しです。多くの方がご存知の通り、相続が発生すると、亡くなった方の預金口座は遺産分割協議が終了するまで凍結されてしまいます。しかし、凍結されたままでは、葬儀費用の支払いや被相続人の家族の生活費の支払いが出来ないなどの不都合が生じる可能性があります。
そこで、今年の7月1日からは「預貯金の仮払い制度」が創設され、相続人が単独で一定額の預貯金の払戻しが認められるようになります。なお、その一定額とは、「相続開始時の預貯金額×共同相続人の法定相続分の3分の1」まで。たとえば、被相続人の預金が600万円あって法定相続人が2人の子どもの場合、法定相続分どおり分割すると1人当たり300万円ですが、引き出せるのはその3分の1の100万円ということです。(ただし、1つの金融機関から引き出せるのは150万円まで)

3つ目は、今年7月1日に施行される「特別寄与料請求権」です。生前に被相続人の介護などを行い、被相続人の財産の維持又は増加に寄与した場合には、その貢献度に応じて「寄与分」が与えられますが、今まではその対象者が「相続人」に限られていたため、例えば、長男のお嫁さんが義理のお父さんを介護していたとしても、そのお嫁さんは相続人ではないことから寄与分を受け取ることは出来ませんでした。
しかし、今回改正された民法第1050条によって、無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持・増加について特別の寄与をした被相続人の親族(例えば、長男の嫁)は、相続の開始後、相続人に対し寄与に応じた額の金銭の支払いを請求できると定められました。これによって、介護をしてきた方の貢献が金銭面でも評価されることになりますが、その一方で遺産分けを巡って新たな火種になる可能性も否定できません。

 

プロフィール

石倉 英樹
石倉公認会計士事務所の所長。

相続対策専門の公認会計士/税理士として活動する傍ら、『笑って・学んで・健康に!』をモットーとして、硬いテーマとなる相続問題や認知症対策、振り込め詐欺対策などを笑いに変える社会人落語家。
東京・埼玉を中心に口コミで噂が広がり、終活落語の高座の数は年間80回を超える。
https://ishikura-cpa.jp/

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