購入した土地の一部に隣家の建物が…どうする?「境界線トラブル」の切り札は「筆界特定制度」

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お隣さんをはじめ、ご近所さんとの付き合いは大切です。大震災発生など、いざというとき、ご近所さんとの連携を欠かすことができないとの意識は、とりわけ東日本大震災以降、多くの人たちの間で急速に広まっています。

しかし、どうしてもお隣さんやご近所さんに対して、イライラが抑えられない方がいるのも事実です。

たとえば、自宅の庭に入り込むお隣さんの植木の落ち葉や、寄生している害虫、自宅敷地内を自由に出入りするペット、敷地内にはみ出して駐輪されている自転車などは、直接的には大きな被害がないとはいえ、気になる方には許せない事案だと思います。

また、お隣さんの敷地内に設置されている排気口が自宅方向に向いていたり、お隣さんの住宅の影が自宅の庭にかかることが原因で揉め、トラブルにまで発展することもあります。できればそうならないように、なんとか話し合いで穏便に事態を解決できれば問題はありません。

ただ、いくら丁寧にお願いしたとしても、丹精込めて育てた植木や、家族同然に大事にしているペットに対して非難されたと受けとられてしまえば、こじれることもあります。その後、お隣さんという逃げ場のない相手と険悪な雰囲気が延々と続くこともありえます。

そこで、不要のトラブルを回避するため、お隣さんの敷地との「境界線」に塀や仕切りを建てることは必要かと思われます。

もちろん、トラブルの真っ最中なら、境界線に塀を建てることでお隣さんが異議を唱えるケースも十分にありえるでしょう。それでも、法律的に塀を設置することはできますし、設置費用の半分を請求することも可能です。

その際、お隣さんからは「どうしても塀を建てたいなら、ご自分の敷地内でどうぞ」と無理をいわれるかもしれません。

ここで大事なポイントは、隣人の反対があったとしても、互いの境界線上に塀を建てることが認められているということです。

逆に、あまり事を荒立てたくないとして、お隣さんのいいなりに自宅敷地内に塀を建てると、本来の境界線と塀の間の土地がお隣さんの所有になってしまう危険があります。塀を建ててから20年間、土地をそのまま放置すると「時効取得」として、お隣さんに土地所有の権利が発生するからです。

隣家の建物との境界線問題は裁判沙汰にせず「筆界特定制度」でスムーズに解決

こうした近隣とのトラブルを防ぐ目的で塀を建てる際だけでなく、家屋の建て替えや、土地を売却処分するときでも、土地の境界線の取り決めは非常に重要とされています。

この境界線の設定方法はいくつもありますが、なかでも知名度があって有効とされているのが、2006年に導入された「筆界特定制度」でしょう。筆界とは、法務局に登記されている土地の地番と、隣接する土地の地番の境界線を指します。

「筆界特定制度」は、この筆界を使って実際の土地において筆界の位置を特定するものです。近隣住民との間で筆界の位置をめぐって争いが起きているときに利用されています。その利用には土地所有者として登記されている相続人などの方からの申請が必要となります。

実施では、筆界調査委員が法務局の職員とともに土地台帳や登記記録に基づいて現地調査や測量などを行います。そして、その調査結果をもとに、筆界特定登記官が土地の地形や面積、境界標の有無など、あらゆる状況と事情を総合して判断を下すことになっています。

この制度が制定されるまで、土地の境界トラブルは近隣住民が強硬だった場合、やむなく訴訟する方法がとられていました。

そのため、解決するまでに1年以上かかることも珍しくありませんでした。ところが、制度が機能し始めて以降は、お隣さんの同意がなくても、土地所有者の申請だけで筆界の特定ができるようになったことから、手間や時間をそれほどとらせず、裁判という重荷を背負う心配もなくなりました。

一方、この制度は申請された土地の筆界を明確にすることが目的で、所有権の範囲までを特定するものではありませんから、残念ながら所有権を争って訴訟になることもあります。

それでも、筆界の特定は裁判の判決で無効とされることはほとんどないので、土地の売買に効力を発揮することは間違いありません。

なにはともあれ、お隣さんとトラブルにならないことが大前提です。前もって境界線をハッキリさせ、普段から仲良くすることが大切なことはいうまでもありません。

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※本記事は記事執筆時点での情報に基づいています。