【専門家が語る不動産投資】入居率をUPするための3ステップ

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■入居率UP対策とは

今回は、主に賃貸住宅の入居率をUPするための実務的な対策について、お伝え致します。
「入居率UP対策」つまりは、「満室にするための空室対策」ですが、対策には、3つのステップがあります。これを「空室対策3ステップ」と呼ばせて頂きます。
この順番を間違えると、せっかく、多額の費用をかけても効果が出ず、空室が埋まらないままという事態になりかねませんので、注意が必要です。
というのは、やみくもに、リフォーム、リノベーション工事にお金をかけるのではなく、その前に、やるべきことがあるということです。

■空室対策3ステップ

下図(図1)が、「空室対策3ステップ」の全体像となります。
こちらは主に、新築ではなく、既存の賃貸住宅のケースの空室対策3ステップです。なお、これから新築するという場合は、既存の入居者がいませんので、エリアのマーケティング調査をした上で、どういった入居者をターゲットにするかというコンセプト作りが重要となります。

空室対策3ステップ
(賃貸住宅/既存物件編)<図1>

【①物件を把握する】
これは空室対策の具体的な対策を考える前に、「自分」と「敵」を知る必要があるということです。

空いている部屋の入居者募集をするにあたって、埋まっている部屋をどういった方が借りているのかを把握するのは当たり前のことだと思いますが、日頃、個人不動産投資家の方の相談に乗っていると、これが意外と出来ていないことが多いです。つまり、「他の部屋は、今、どういった方が入居されていますか?」と尋ねても、即答できる方が少ないのです。これは、賃貸管理会社におまかせ状態の方の場合が特に多いです。
賃貸管理会社が、空室が出てもすぐに埋めてくれる場合は、それで良いのですが、空室が長期化する場合は、オーナー自らが動く必要があると考えます。「自分を知る」とは、所有物件のことを把握するという意味です。
次に、「敵を知る」とは、競合物件の募集条件や仕様を把握するという意味になります。
賃貸ポータルサイトで、近隣の入居者募集物件で、駅徒歩や築年数、間取りなどが似通った競合物件をピックアップして、一覧にまとめて、賃料の坪単価(m2単価)を比較してみてください。(図2参照)

賃料比較検証シート
<図2>

賃貸ポータルサイトの中には、家賃相場・空室率の統計データを提供していたり、無料で賃料相場・設備の比較が簡単にできる仕組みを提供しているところもありますので、活用すると便利です。

【②SWOT分析・顧客ターゲットを想定する】
①のステップを踏んだ上で、空室の対象物件のSWOT分析をした上で、顧客ターゲットを想定するステップになります。

SWOT分析
<図3>

SWOT分析とは、強み・弱み・機会・脅威を分析する経営分析のフレームです。これにより、客観的に、対象物件を分析してみることをオススメします。
自分を知り、敵を知り、自分を客観的に分析した上で、初めて「入居者のターゲット顧客層」が見えてきます。
顧客ターゲット想定とは、例えば、学生なのか社会人なのか、男性なのか女性なのか、ファミリー世帯なのか高齢者世帯なのか、その他にも、勤務地、職業など、どういった方が、その部屋の入居者として向いているのかを明確にイメージすることです。
この顧客ターゲットによって、実施すべき空室対策の具体策は異なってきます。

【③対策を検討する】
①・②のステップを踏んで、実施すべき対策を検討した上で、実行に移す。

顧客ターゲットに応じて、実施すべき具体策は様々です。

①ステップの段階で、既に、空室募集をしていて、なかなか反響がない場合は、募集条件そのものが、マーケットアウトしている可能性が高いため、募集条件の見直しをするのが先決になります。
賃料・共益費の設定だけでなく、初期費用(敷金・礼金)の設定の仕方によっても、反響は大きく異なります。また、その他、募集条件の緩和策としては、「ペット禁止」から「ペット可」への変更などが挙げられます。

一方で、反響はあって、室内見学をするお客様はいるのに、成約に至らない場合は、物件を見た印象が悪い可能性が高いため、ホームステージング(モデルルーム化)やリフォーム、設備の追加など、バリューアップをすると効果が出やすいと考えられます。
もちろん、対策は、どれか一つを実施すれば良いというものではなく、複数を組み合わせて実施することが大切です。結果としては、「合わせ技一本」で、成約に至ることが多いものです。

■空室対策のアレコレ

物件によって、打つべき対策はそれぞれ異なります。ですので、適切な対策を実施するためには、ぜひ、前記の3ステップを踏んで頂きたいと思います。
なお、全てに通じる基本的な対策は、入居者募集図面やポータルサイトに掲載する「写真」の質を上げることだと思います。

近年、賃貸住宅を借りる方の動向としては、インターネットでめぼしい物件を探して、ある程度、絞りこんだ上で、不動産会社に問合せをする方がほとんどです。
その結果、相談した不動産会社の数、室内見学をした物件数ともに減少傾向をたどっています。
ということは、賃貸住宅を探している方が、最初に目にする情報は、ポータルサイトの物件概要と写真ということになります。にもかからず、賃貸管理会社や賃貸仲介の担当が撮影して、ポータルサイトに掲載している写真は、暗かったり、部屋の一部しか写っていなかったりと、冴えない写真が依然として多いのが実情です。
この写真を変えるだけで、第一印象が全く変わってきますので、広角レンズで撮影した、明るい写真。更には、家具やちょっと小物(装飾グッズ)が写っているホームステージング(モデルルーム化)写真などで、賃貸住宅を探している方に、「この部屋を見てみたい」という印象を与えることが大切です。
そういう意味でも、これからの賃貸住宅オーナーは、賃貸管理会社選びの重要性が高まっていると言えるでしょう。

賃貸管理会社が頼りない場合は、入居者募集を賃貸管理会社まかせにせず、オーナーがポータルサイトの掲載情報・写真のチェックや、部屋作り、空室対策のアイデア出しにも能動的に関わって行く必要があると思います。

プロフィール

星龍一朗
星 龍一朗
リアル・スター・コラボレーション(株) 代表取締役

不動産投資のセンカンドオピニオンとして活躍。
1967年生まれ。大手不動産流通会社、不動産投資アセットマネジメント会社などを経て独立。
主に個人向けに不動産投資、賃貸経営のアドバイスや講座・セミナーを通じて、資産形成をサポート。セカンドオピニンとしてのコンサルティングを提供。

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※本記事は記事執筆時点での情報に基づいています。