不動産の修繕積立金とは?気になる相場や会計処理の基礎知識

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不動産の修繕積立金とは?気になる相場や会計処理の基礎知識

マンション購入に失敗しないためには、目的にあった物件選びと共に、必要経費を把握することも重要です。

なかでも、修繕積立金は長期的に支払う費用であり、購入前に仕組みや会計処理の方法などについて理解しておくと、財務計画を立てやすくなります。

この記事では、不動産向けの修繕積立金に関して理解を深めるとともに、会計処理の方法や、必要な費用の目安について解説します。

修繕積立金とは

修繕積立金とは

修繕積立金とは、マンションを購入後に、修繕に備えて毎月積み立てるお金を指します。管理費とは別に、管理組合を通して徴収される費用です。

修繕積立金の目的は?

修繕積立金を毎月積み立てる目的は、マンションの建物や壁、屋上、エントランスなど共用部分の修繕を実施するためです。

大規模な修繕をするには莫大な費用が必要となりますが、一度に多額の費用を徴収されても支払えない人が多いでしょう。そのような事態を避けるため、毎月一定額を積み立てるのです。

管理費との違い

修繕積立金とともに毎月支払う費用には「管理費」もあります。管理費は、マンション内で共同使用される施設や設備の維持管理に必要な経費です。マンションの価値を保つためにおこなわれる掃除や点検の財源となります。

修繕積立金に該当する主な項目

一般的に、各マンションは長期修繕計画を作成しており、30年程度にわたる試算をしているので購入時には必ず確認しましょう。新築マンションの場合は、入居時に修繕積立基金として数十万円程度を徴収するケースが多いようです。

修繕積立金と管理費それぞれの一般的な用途を以下の表にまとめました。

■修繕積立金と管理費のおもな用途
修繕積立金 管理費
・計画に沿って定期的におこなう修繕(外壁、屋根、屋上の改修工事費、手すりなどペンキ塗り替え費、給排水管の取り替え工事費、受水槽の取り替え工事費など)

・地震、台風など不測の事故や特別な事情により必要となる修繕

・敷地や共用部分の変更(集合ポストの取り替え、駐車場・駐輪場の増設など)

・建物の建て替えや敷地の売却にあたって必要な調査 など

・管理委託費(マンションの管理会社へ委託する事務管理業務、管理員業務、清掃業務、設備管理業務、非常通報業務など)

・共用部分などの火災保険料やその他損害保険の保険料

・共用部分の水道光熱費

・共用部分の小修理にかかる費用や電球などの消耗品費

・共用部分などの植栽の剪定など植栽管理費

・管理組合の運営費 など

修繕積立金の会計処理

修繕積立金の会計処理

続いて、修繕積立金の会計処理について解説します。

居住用に購入し、賃貸していたマンションを売却したケースでは経費として計上できるのでしょうか?

不動産売却時、修繕積立金は取得費に含められる?

修繕積立金は購入後に発生する維持費になるため、マンションの取得費には含まれません。

取得費に含まれるのは、物件購入時の仲介手数料や売買契約書の収入印紙代、名義変更した際の登記費用や不動産取得税です。また、購入時または購入後にマンションを改装した場合の工事代金も取得費に含まれます。

不動産売却時、修繕積立金は返金される?

修繕積立金を支払っていたけれど、入居中に一度も修繕がおこなわれないケースもあります。この場合でも、不動産売却時に修繕積立金が返金されることはありません。

なぜなら、一度納めた修繕積立金はマンションの管理組合の財産となるからです。修繕積立金は、将来マンションの修繕にかかる費用をまかなうために蓄えられたものと考えられるのです。

しかし、支払いに見合った対価を得られないわけではなく、マンションを売却する際には、管理組合の修繕積立金の残高も考慮して価格が決まるという側面もあります。

なお、マンションの建て替えなどによりマンション管理組合が解散した場合は、各区分所有者の負担割合に応じて修繕積立金を精算するため返金されるケースもあります。

賃貸している場合、修繕積立金は経費計上できる?

マンションを賃貸に出している場合の修繕積立金に関しては、要件を満たしていれば、原則、実際に修繕がおこなわれた時点で必要経費として計上することができます。

経費計上できるケース

修繕積立金を経費として計上する場合、以下の要件を満たしていることが必要です。

  • ・区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること
  • ・管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと
  • ・修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと
  • ・修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること
参照URL:
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/12.htm
2019/09/20時点

修繕積立金の勘定科目は?

マンションを事務所として使用する場合、修繕積立金に関する勘定科目は修繕費になります。

修繕積立金は積み立てが強制されていること、用途を選べないこと、返還されないという特徴があるため、物件所有者の資産にはなりません。また、修繕に充てる資金であることもはっきりしているため、一般的には修繕費として処理することがほとんどです。

修繕積立金は消費税の課税対象?

マンションを事業用に使ったり、賃貸に出したりする場合、マンション管理組合に支払う修繕積立金は不課税です。

修繕や管理業務を発注しているのは管理組合です。したがって、区分所有者は管理組合へお金を預けていると考えられます。ですから、支払いに対価性がなく、消費税の課税対象外になります。

参照URL:
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/09/02.htm
2019/09/20時点

修繕積立金の相場

修繕積立金の相場

修繕積立金については、マンション分譲の際に分譲事業者が長期修繕計画と修繕積立金額を購入者に提示します。しかし、マンション購入者の中には修繕積立金に関して知識を持っていなかったり、提示された修繕積立金額が低く設定されたりすることもあるようです。

結果として、購入後にいきなり修繕積立金が値上がりして慌てるケースや、修繕積立金が十分に積み立てられず修繕工事費が不足するなどの問題が生じているという報告もあります。

ここでは、修繕積立金の相場を知ることで、万が一の時に修繕積立金額が適切かどうかを判断する材料として活かせる情報をまとめています。

国土交通省のガイドラインに目安が示されている

修繕積立金の情報不足によるトラブルを背景に、国土交通省が修繕積立金に関する基本的な知識や修繕積立金額の目安を示した「修繕積立金に関するガイドライン」が公表されています。

ガイドラインによると、修繕積立金額の目安は下記の算出式で計算することができます。

購入予定のマンションの修繕積立金の額の目安=AX

A=専有床面積当たりの修繕積立金の額(下表)
X=購入予定のマンションの専有床面積(㎡)

階数/建築延床面積 平均値 事例の3分の2が
包含される幅※
15階未満 5,000㎡未満 218円/㎡・月 165円~250円/㎡・月
5,000~10,000㎡ 202円/㎡・月 140円~265円/㎡・月
10,000㎡以上 178円/㎡・月 135円~220円/㎡・月
20階以上 206円/㎡・月 170円~245円/㎡・月

※「事例の3分の2が包含される幅」=事例の大部分が収まるような範囲という意味

参照URL:
https://www.mlit.go.jp/common/001080837.pdf
2019/09/20時点

続いて、インターネットで検索できる物件情報から、修繕積立の相場を調査してみました。これは2019年9月14日現在のデータであり、今後変動する可能性もあります。また、立地や間取り、築年数などによっても変わるので、あくまでも参考としてみてください。

首都圏中古マンションの修繕積立金の相場

首都圏における修繕積立金の相場は、月額5,000円~22,240円です。

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表した、2018年度「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金」に関する調査結果によると、同機構を通して成約した首都圏中古マンションの月額修繕積立金の平均は10,392円でした。

ワンルームマンションの修繕積立金の相場

1つの居室とユニットバス・トイレ、ミニキッチンがコンパクトに配されたマンションで、おもに単身者を対象にしたものです。通勤や通学などに適した地域で、駅周辺に多く点在しているのが特徴といえます。首都圏における修繕積立金の相場は、月額1,400円~3,660円です。

小規模マンションの修繕積立金の相場

小規模マンションは100戸未満でワンフロアの住戸数が比較的少なく、駅に近い立地が特徴です。首都圏における修繕積立金の相場は、月額1,820円~28,620円です。

大規模マンションの修繕積立金の相場

100戸以上でタワーマンション以外の大規模なマンションは広い敷地内に多くの住宅棟が建つケースが多いでしょう。首都圏における修繕積立金の相場は、月額2,500円~12,690円です。

タワーマンションの修繕積立金の相場

100戸以上で総階数20階以上のタワー型のマンションは、再開発エリアに建てられることが多いマンションです。首都圏における修繕積立金の相場は、月額2,330円~27,900円です。

まとめ

この記事では、不動産の修繕積立金とはどういうものか、また対象となる物件を売却した時や賃貸に出した時の会計処理について説明しました。

マンションを所有したとき、毎月の返済は住宅ローンだけではなく修繕積立金や管理費の支払いも必要であることがわかりました。

修繕積立金は将来メンテナンスに使われるための大切なお金なので惜しむべきではありません。

不動産の購入の際には修繕積立金も含めて、将来的に何にどれくらいのお金が必要なのかを理解して検討するようにしましょう。

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※本記事は記事執筆時点での情報に基づいています。