【専門家が語る不動産投資】2020年 東京オリンピック後の不動産マーケットはどうなる?(その2)

ライフステージ:投資

各分野の専門家が語る「不動産投資」のお話し。

「2020年 東京オリンピック後の不動産マーケットはどうなる?」というテーマで、2019年6月にコラムを執筆させて頂きました。
(記事参照:https://pro.mf-realty.jp/column/detail/276/
このテーマは関心が高いようですので、第2弾を書かせて頂きます。
「東京オリンピック後の不動産マーケットはどうなる?」のかについて、第1弾のコラムのまとめとしては、東京オリンピックの不動産マーケットに与える影響は限定的で、今後は「多極化」が進み、下落するエリア・分野の不動産もあれば、上昇するエリア・分野の不動産もあるという複雑な状況になると予測しました。
ということで、今回は、よりミクロ的な視点で、局地的に見て行きたいと思います。

■オリンピック選手村は晴海フラッグに生まれ変わる

晴海フラッグ(正式名称は、「HARUMI FLAG」)は、中央区晴海5丁目の広大な土地に東京オリンピック選手村として建設している宿舎をマンションとして転用する大規模複合開発プロジェクトです。
選手村として使われる24棟5,632戸のうち1,487戸は賃貸住宅となり、分譲マンションになるのは13棟の4,145戸で、さらにいえば、オリンピック後に建設される超高層マンション、そして商業施設や保育施設を含め、約12,000人が暮らす巨大な街が誕生する予定です。
この規模は東京都内規模で、東京オリンピックと最も関連の深い不動産ということが出来るでしょう。
既に販売が始まっているこのマンションの価格がオリンピック後にどのように推移するのかは注目されるところです。第1期販売(600戸)は2019年8月に行われ、登録申込数が1,543組。平均倍率 約2.57倍、最高倍率は71倍と発表されていました。
入居予定時期は2023年3月。価格は2LDK〜4LDKが5,400万円から2億3,000万円。最多価格帯は8,600万円台と6,400万円台。平均坪単価としては、300万円ほどと言われています。これは、山手線内側の相場と比べると、相当、安い水準です。中央区の平均坪単価は約370万円ほどですので、それと比べても割安なことから、値上がり期待の投資目的で申込みをされた方が相当数いることが想定されます。
果たして、オリンピック後、晴海フラッグの価格はどうなるのでしょうか。。。?
このような大規模な開発では、街全体の価値が上昇するため、分譲価格よりも値上がりする可能性が多いにあります。過去の事例としては、豊洲や武蔵小杉などが参考になります。
ただし、晴海フラッグの場合は、最寄り駅からの距離が遠い、地震災害リスク、同時期の大量供給等のデメリットが懸念されます。それでも、長期的にはわかりませんが、割安感と新たな街が創出されるという点で、オリンピック後には一時的に晴海フラッグの価格は強含みになると予想する人の方が多いようです。

■オリンピック後の建築費の動向

では、高値安定を続ける建築費については、オリンピック後はどうなるのでしょうか?
2011年の東日本大震災の復興需要、2013年の東京オリンピック決定などの要因もあり、建設需要が旺盛で、建築費は20~30%程度上昇しました。そして、現在も高値安定といった状態です。
背景には、深刻な人手不足の問題もあります。建設業就業者は1990年代後半に700万人近くいましたが、2010年代に入ってからは500万人前後で推移しています。
オリンピックが終わったら、建設需要も落ち着き、建築費が下がるのではないかという見方がありますが、ことはそう単純ではないようです。
なぜなら、オリンピック後に持ち越されている案件が相当数あり、多くの建設会社は数年先まで受注の見込みを持っている状態です。また、オリンピック後も大規模な再開発プロジェクトが目白押しである点や、老朽化したインフラのリニューアル工事といった需要があります。そして、慢性的な人手不足の問題は解決の糸口がありません。
以上から、オリンピック後、急激に建築費が下げることは予想しづらい状況です。

■下落に転じている地方の1棟アパート・マンション投資マーケット

アベノミクスの異次元の金融緩和を背景に、2017年ぐらいまで、各金融機関が、いわゆる「サラリーマン不動産投資家」向けに、一棟アパート・マンション購入に対して、積極的に融資を行いました。これにより、地方の一棟アパート・マンションの需要が高まり、価格上昇が起こりました。
ところが、2018年以降、融資審査の厳格化が徹底され、「サラリーマン不動産投資家」向けの融資が引き締め状態になった結果、これまで、そういった「サラリーマン不動産投資家」が買い手としてのプレイヤーの中心であった価格帯の物件(目安として3~5億円以下)の売却が進まず、値下がり傾向に転じている状況が目立ち始めました。
この分野は、オリンピックとの関連性は薄いですが、既に、下落に転じているジャンルがあるということが、不動産マーケットの複雑化、多極化した状況を表していると言えると思います。

■まとめ

たとえば、現在、好調なインバウンド需要向けの宿泊施設は、急増する訪日外国人客の需要を背景としており、政府としては、今後も訪日外国人客数を増やして行く目標(2020年に4,000万人。2030年に6,000万人)を掲げています。

訪日外国人客数の推移(出展:日本政府観光局(JNTO)の統計:https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/)を元に作成)

もしも、インバウンド向けの宿泊施設への投資を行っているならば、訪日外国人客に関する情報、データ、法改正をウォッチしている必要があり、潮目が変わりそうなときには、迅速に、売却などの対応を取ることが求められるでしょう。

不動産マーケットの盛衰は、需要と供給の関係による影響が大きいわけですが、結局は、お金が稼げるエリア・種類の不動産は上がり、逆にお金が稼げないエリア・種類の不動産は下がるというのがポイントとなりますので、オリンピック後は多極化が一層進み、所有している不動産のエリア、種別、特性、規模、築年数などによって、値動きが多岐に渡ってくることが予想されます。
潮目が変わるサインを察知するために常にアンテナを張っておくことをオススメします。

プロフィール

星龍一朗
星 龍一朗
リアル・スター・コラボレーション(株) 代表取締役

不動産投資のセンカンドオピニオンとして活躍。
1967年生まれ。大手不動産流通会社、不動産投資アセットマネジメント会社などを経て独立。
主に個人向けに不動産投資、賃貸経営のアドバイスや講座・セミナーを通じて、資産形成をサポート。セカンドオピニンとしてのコンサルティングを提供。

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※本記事は記事執筆時点での情報に基づいています。