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筋肉自慢の男たちに愛され続ける老舗

「かつ吉 水道橋店」は、1962年開店の老舗とんかつ店である。品川勝巳店長によると内装は開店のときからほとんど変わっていないといい、店内には昭和の時間がゆったりと流れている。

創業者は吉田吉之助といい、政財界にも顔が広い趣味人だった。二十世紀初めに生まれた日本人としては珍しく幼少期から各種の豚肉料理を食べていたが、それは父親が薩摩出身の実業家で、煙草で財をなしたのち渋谷で養豚を行っていたためである。9歳で父を亡くして他家の養子になり、波乱万丈の青年時代を経て、50代にして「かつ吉」を開いた。厨房には立たなかったが、高級豚の味を知る人だけに研究熱心で、店では当時としては最先端の低温調理を採用した。

かつ吉では今もサシの入った良質の豚肉を、20分以上の時間をかけて揚げている。仕上がりは箸で切れるほど柔らかく、口に入れると豚の脂肪分がふんわりと溶けて甘さが広がる。調理に使う油はコーン油とごま油をブレンドしていて、香ばしさがありながら、さっぱりした食感だ。品川店長は「あっさりしているので、女性やシニアのお客様もぺろりと召し上がりますよ」と、ふだんより少し大きいサイズを選ぶことをすすめる。

近くに柔道の総本山、講道館と後楽園ホールがあるため、格闘家がよく訪れる店でもある。かつは『勝つ』に通じて縁起がいいことに加え、創業以来ごはん、赤だし、漬物がおかわり自由であることも格闘家には嬉しいようだ。

とんかつ専門店だが、ステーキもある。このステーキには、作家、三島由紀夫の逸話が伝わる。ボディビルダーが集まる後楽園のジムに通っていた三島は、ある日この店でステーキを注文し、「ステーキを醤油で食べるのが一番うまい」と醤油味での提供を強要した。当時デミグラスソースでステーキを提供していたが、仕方なく醤油を使ってみたところ、意外とおいしくできたことから醤油味に変えたという。

店の長い歴史の中にはそんな変更もあったが、基本的には創業の味を守り、主な料理は同じレシピで作られている。働きかたや流通など、飲食業の環境が昔とはまったく違う中で味のクオリティを保つことは難しい。かつ吉の伝統を守る品川店長は、お客さんたちの「ここは変わらないね」という言葉を最高のほめ言葉として受け止めている。

ビルを建てている途中で店舗づくりを行ったといい、内装には大きな銘木や民家の古材などを贅沢に使用。壁の伊万里焼は創業者が趣味で集めていたもの。

この店を訪れた有名人はたくさんいるが、色紙は飾っていない。ただ、創業者と懇意にしていた川端康成の書「亥」が銘木に彫られて飾られているなど、書や額に多彩な交流が伺える。

サクッとした食感に仕上がるオリジナルの生パン粉をまとった豚肉を、ロース180gは約20分、ヒレ180gは約30分かけて揚げる。低温調理でもそれだけ時間をかけているので、食中毒の心配は一切ない。

「銘柄豚ロースかつ定食(150g)」に、果物がふんだんに入ったオリジナルソースをかけていただく。現在店で使用している豚肉は、岩手産の人気銘柄豚、「岩中豚」。昆布と鰹節で出汁をとった赤だしとの相性も抜群。

協力:かつ吉 水道橋店
(文京区本郷1-4-1 全水道会館B1F Tel. 03-3812-6268

かつ吉 水道橋店 店長 品川 勝巳 (しながわ かつみ) (しながわ かつみ)

かつ吉 水道橋店 店長 品川 勝巳 (しながわ かつみ) (しながわ かつみ)

品川 勝巳
品川 勝巳

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REAL PLAN NEWS No.122 掲載

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