
【入居相談事例】
リハビリをして自宅に復帰
こんにちは。株式会社ソナエルの相談員をしております中(なか)と申します。当社は、年間約8,000件の老人ホームの入居相談を受けさせていただき、2,000名を超える入居に関わらせて頂いております。介護が必要な方、介護も医療処置も必要な方、生活保護を受給されている方、身寄りがいない方、元気なうちから入居されたい方などご相談内容は多岐にわたります。
今回のご相談事例は、ご自宅へ戻ることを前提とし、リハビリを行える老人ホームに入居したいというご相談事例です。
《入居検討者》
年代性別 : 70代男性
同居家族 : 一人暮らし
介護認定 : 要介護4
状況 : 入院中で日常生活は車椅子移動
認知症もなくコミュニケーション良好
前立腺がんを患っており骨転移もみられ、下半身に負荷をかけにくい
《要望》
● 絶対条件として、リハビリに注力している
● ホーム内にリハビリ室が完備されており、自由に使える
● トイレへのアプローチを主にリハビリしたいので居室内にトイレがある
● ご年齢もまだ若く、いかにも老人ホームというよりはマンションやホテルのようなモダンな雰囲気の造り
● ご自宅をバリアフリーにして自宅復帰を目指しているため、初期費用を抑え、月払いで利用できる
● 住み慣れたエリア、緑がある環境で、ご自宅へもたまに帰れる距離
ご相談は、ご本人(A様)が入院されている病院にて、退院や転院の支援をされている専門職の医療ソーシャルワーカーの方(B様)よりご依頼いただきました。入院されている病院でも毎日リハビリを行っており、病院が提供している専門スタッフ(作業療法士・理学療法士)によるリハビリだけでなく、A様ご自身でも自主練を兼ねて意欲的にリハビリに取り組まれていました。そうした中、病院の退院期限が近づいてきたため、退院された後に入居できる老人ホームを探したいとのご相談を頂きました。
今回、リハビリを期間の定めなく行える環境、病院からなるべく早めに入居できる、日々の介護も適切に行って頂けるというA様のご状況、ご要望を踏まえますと、ご検討対象となる老人ホームの種類は添付資料記載のうち、⑥の有料老人ホームとなります。そうした中、以下留意点を踏まえ、ご提案させていただきました。
(1)リハビリに注力している
前回もお伝えさせて頂いたとおり、老人ホームの棟数は非常に多く現在も増え続けており、リハビリや医療ニーズに応えられるホームの数も比例しています。ただ、ホーム内で提供しているリハビリは今のお身体の機能を少しでも長く使い続けられるような残存機能の維持を目的としたものが多く、今よりも機能を上げるような回復を求めるリハビリまで行っているホームは多くありません。
(2)リハビリの根幹である下半身に負荷をかけにくい
座る姿勢での負荷は比較的大丈夫ですが、日常生活においては車いすの利用が基本となっており、ベッドやトイレに移乗する際に片足を軸に捻る動作の際に痛みが出るため、ゆっくりと慎重に対応を望めるホームを探す必要があります。
(3)ご見学方法
ホームの見学は、1か所で1~2時間かかります。移動時間も含めますと往復で3時間程座位姿勢を保つことになります。通常は1日2~3か所の見学スケジュールを組ませて頂きますが、お身体へのご負担を考え、1日1か所のみのご見学で複数日に別けるご提案をさせていただきました。また、車椅子で乗車可能な車を手配させて頂きました。

まずは候補になりそうなホームに電話でご希望条件をお伝えし、選定準備をさせて頂きました。各ホームからは以下のような返答がありました。
・ 以前はリハビリスタッフを揃えていたが、最近離職されてしまった
・ マンツーマンのリハビリとなると1回1時間を週に3回程度までが限度
・ 老人ホームの目の前に整形外科があるため、通院も可能で往診も承っているが、ホーム内にリハビリ専用のルームはない
・ リハビリ病院と提携しているため、保険外の自費対応でもよければ毎日のようにリハビリは可能
・ 在宅復帰を目指す方向けに、3か月間集中リハビリプランを用意している
リハビリに前向きなホームもある一方、スタッフの離職や回数制限、毎日までの対応が難しい等マンパワーに関することも多くありました。
結果としては、4か所のホームをご提案させて頂くことが出来ました。見学当日は、ご子娘様もお越しになられ、A様、ご子娘様、介添えのスタッフ、私の4名で計4日間に別けてホームを見学しました。見学時は、A様より事前にお聞きしていたリハビリに関する質問事項の確認をさせていただきました。また、実際にホームでリハビリの対応をして頂くスタッフの方にも同席頂き、今できる機能の確認や、A様のご意向に相違が無いか等、細かくご説明をして頂きました。計4か所ご見学された後、ご検討いただいた結果、1つのホームにお決めいただきました。
お選びいただいた理由としては、ホーム内にリハビリ専門スタッフの配置があり、連携している外部の病院からも訪問リハビリが受けられる、自主練のために自由にリハビリ室が使用できる、といったリハビリをする環境が非常に充実しているという点です。また、ご子娘様のご自宅からも自転車で通えるということも決めての一つとなったようです。病院からホームへ直接のご入居となりますが、選ばれたホームのリハビリスタッフや看護師の方もご入居前に病院までお越しいただき、病院のスタッフと細かな打ち合わせをしていただくことができました。ご入居後、幾度かA様とご連絡を取らせていただく中で、やっぱり実際はスタッフさん少ないのかな、コンシェルジュ(受付の方)の方がすごく話しやすい、再度検査入院することになったよ等、近況のご報告も頂きました。それからご入居後9か月程経った後、無事ご自宅に戻ることが叶ったとお伺いしています。
今回のご相談は、A様のご要望の最重要点であるリハビリ環境に重きを置いてのホーム探しとなりました。前述したとおり、リハビリは設備面だけではなく、人員面やマンパワーについても各ホームそれぞれ異なりますため、事前にヒアリングを行い、ご見学時においても実際にご体感いただくことが重要となります。老人ホーム探しには様々な背景や状況下があると思います。皆様ご自身が老人ホーム選びをすることになった際に少しでもお役に立てれば幸いです。
(旧:株式会社シニアホーム相談センター)株式会社ソナエル(旧:株式会社シニアホーム相談センター)
2008年の創業以来、有料老人ホーム等の入居相談受付、最適なホームのご紹介を行っている。
リアルプランでは、税理士、弁護士をはじめとした各エキスパートとネットワークを形成。
皆様の資産の将来を見据えた資産形成のお手伝いを致しております。