代官山
代官山をGREENな未来づくりの拠点に
フォレストゲート代官山
2023年、代官山駅前に複合施設「フォレストゲート代官山」が開業し、代官山駅と八幡通が緑のアプローチによって繋がれた。プロジェクトを手がけたのは代官山と縁の深い東急不動産。ここは同社のサーキュラーエコノミーへの取り組みの重要拠点でもある。
メイン棟1F。空が見える吹き抜けとあふれる緑により、森のような空間に。施設内の緑は、1Fのグリーンショップを運営する株式会社DAISHIZENが設計・管理を担い、入居者にも希望に応じた緑のサービスを提供する。
代官山に広がる循環の輪
東京急行電鉄(現・東急)から1953年に分離独立した東急不動産にとって最初のビッグ・プロジェクトは、1955年竣工の日本初の外国人向け高級賃貸住宅「代官山東急アパート」だった。その跡地に、2023年、「フォレストゲート代官山」が開業した。建て替え前、同社は2014年から5年間限定で、古い建物をリノベーションし、「TENOHA DAIKANYAMA」としてシェアオフィス、ショップ等を運営し、各機能を融合させる実験的な取り組みを行った。その経験が活かされ、隈研吾が基本設計を手がけたメイン棟には住む/働く/遊ぶための機能が洗練された形で共存する。
駅側のアプローチには、木造2階建てのTENOHA棟が立つ。現在、同社は主に地域共生型のプロジェクトにTENOHAの名称を使っているが、代官山エリアを担当する東日康浩さんによれば、TENOHA代官山は「弊社グループの長期ビジョン〈We Are Green〉を体現し、都市におけるサスティナブルなライフスタイルの情報を発信し、サーキュラーエコノミーを実践する場」であるという。バイオ発電事業者と連携して食品廃棄物を発電に活用し、その残滓を屋上農園の肥料とする他、廃棄されるロスフラワーを扱う花店など環境共生型のショップを配置し、日常での行動の変化を促している。建物自体も構造材に間伐材を用い、未来の廃棄物を減らすため、建物が役割を終えた後はジョイントを外して再利用できる工夫がなされた。
こうした活動を総称する言葉として、同社ではCIRCULAR、CITY、COMMUNITYを合わせた造語「CIRTY」を掲げる。その拠点としてこの場所が選ばれた主な理由について、東日さんは「代官山駅前という利便性の良さ、誰にでも開かれている立地が理由ですね。環境を普段意識しない方にも日常的に接していただくことで、サーキュラーが身近なものになっていけばと思います」と語る。同じ理由から、TENOHA代官山のイベントスペースは環境意識の高い企業や団体のプロモーションやワークショップ等の会場として好評だ。地域の環境教育、食育の場としての活用も始まっている。「各地のTENOHAと連携し、都市と地方を結び付けるイベントも増やしていきます」と東日さん。様々な連携によって広がるCIRTYの今後が楽しみだ。

TENOHA棟の設計は環境との共生をテーマとする建築家ユニットSUEP.(スープ)が手がけた。SUEP.と連携する岡山県西粟倉村の間伐材を使用し、材のムダが出にくい六角形のモチーフを採用。

代官山駅からのアプローチに面してTENOHA棟が立つ。フォレストゲートという名称には、「街の入り口」と「環境と共生する先端的な都市生活の入り口」という意味がこめられている。

構造材はジョイントを外せば簡単に再利用が可能。写真左奥では野菜の水耕栽培を行っている。屋上農園の野菜とともに自家栽培の野菜をカフェで提供し、食品廃棄物はバイオ発電所に。電気を作った残滓は堆肥として使い、資源を循環させる。

資源循環サービスの業者と連携し、衣類回収や資源ごみ回収を行う。

上から見たTENOHA棟。屋上の農園は食育にも活用。(写真:中村絵)
協力:東急不動産株式会社フォレストゲート代官山
(渋谷区道玄坂1-21-1 渋谷ソラスタ Tel.03-6455-2049)
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目次
代官山エリア全体MAP
REAL PLAN NEWS No.125 掲載
