西麻布
40歳を迎える西麻布の顔
ホブソンズ 西麻布店
日本経済の好調を背景に、外食文化が発展した1980年代後半、東京ではアメリカ発の高級アイスクリームが大人気に。1985(昭和60)年、西麻布交差点に開店した「ホブソンズ」は今なお人々に愛され続け、街の顔として欠かせない存在となっている。
西麻布交差点前のホブソンズ。外観は開業時からほとんど変わらない。現在は深夜営業がなく、20時閉店である。
人々の思い出とともに
イタリアやフランスの美食を提供する店が点在する西麻布が、グルメな大人の街として一般にも知られるようになった1985(昭和60)年、西麻布交差点脇に1軒のアイスクリーム店が開店した。アメリカ西海岸のリゾート地サンタバーバラ発祥の「ホブソンズ」である。注文を受けてから、マシーンで冷凍フルーツなどをブレンドする独自の技術が評判になり、日中から深夜に至るまで多くの若者たちが列をなした。渡辺光浩店長は、常連客やスタッフから聞いた話として、「当時はお客さんの列が店のある街区をぐるりと一周したそうですよ。有名人の来店も多かったらしいですね」と語る。当時の運営会社が出店に際してこの場所を選んだ理由は、西麻布のイメージと、外苑前に前年オープンし、大人気を博したハーゲンダッツのショップとの距離感だったという。
それから現在までの40年間に、日本のスイーツ業界は大きく様変わりした。高級アイスクリームの流行を牽引したハーゲンダッツは、全国のコンビニなどに販路を拡大し、ショップはすべてクローズした。港区では六本木交差点の象徴だったアマンドがコロナ禍に苦しんだ後、全面的にリニューアルしてしまった。そんな中、主な利用者が近所のファミリーや大人買いする社会人に変わっているとはいえ、ホブソンズがそのままの姿で西麻布に残っているのは貴重である。「うちも、ショッピングモールに入っているフランチャイズ店では、クレープが主力になっています。でも、西麻布店はやっぱりアイスクリーム。昔食べた味を懐かしんで訪れる方は多いですよ。1日に1回は『この辺りで働いてました』という方がお見えになります。最近では『30年前に両親が店の前で撮影した写真と同じ角度で撮影したい』というカップルがいらっしゃいました。お客様に愛され、支えられているのを日々感じています」と渡辺店長。人間でいえば40歳になるホブソンズは、西麻布のモニュメントとして、人々のかけがえのない思い出を明るく照らす役目を担っているようだ。
                  開業以来の人気を誇る、バニラに冷凍イチゴをブレンドしたアイスクリーム。砕いた冷凍フルーツのシャリシャリした食感が、アイスクリームのなめらかさを際立たせる。
                  開業時の外観。店頭の移動販売用ワゴンは、イベントなどで使用していたもの。(写真提供:ホブソンズ・ジャパン株式会社)
                  フレーバーは現在14~16種類。ブレンド用のアイテムは、イチゴ、ブルーベリー、バナナなどのフルーツの他にクッキー、アズキなど。注文を受けてからミックスするのがホブソンズの特徴である。
                協力:ホブソンズ 西麻布店
リアルプランでは、皆様の資産の将来を見据えた資産形成のお手伝いを致しております。
目次
西麻布エリア全体MAP
REAL PLAN NEWS No.126 掲載