
愛着のある家はやっぱり売りづらい……
住み替えのためとはいえ、決心しづらい実家の売却。47.3%というのは「実家を売るのは気がひける」と答えた一般の人の割合で、家やそのエリアへの愛着などが大きな理由のようです(※1)。とはいえ住み替え資金を確保するための選択肢として自宅資産の売却は外せません。そこでプロのファイナンシャルプランナーに聞いてみました。


住み替えの資金源には何を充てるべきですか?
シニアの住み替えの資金源として、手持ちの金融資産を考えるケースが多いですが、本来は老後の生活資金に温存しておくべきです。ゆとりあるシニアライフに必要な金額と、実際に受け取れる年金には大きな開きがありますから。そこで活かしたいのが自宅資産の潜在能力。自宅などの不動産資産をキャッシュ化して、住み替えの資金源に活用するのです。
最も早く自宅資産をキャッシュ化する方法は?
自宅資産のキャッシュ化で手っ取り早いのは「売る」方法。仲介手数料など売却の諸費用や税金を支払った後、手元に現金が残ります。ただし、売ってしまった不動産は二度と自分の手元に戻りません。すぐに住み替え先に引っ越せないと、仮住まい生活を強いられることになりますので注意が必要です。
売る以外に何か方法はありますか?
「売る」以外では「貸す」、つまり賃貸収入を得る方法です。従来の賃貸事業というと、一部の資産家による事業と思われていましたが、最近では都市部に自宅を持つ人が、住み替え前の自宅をリフォームして貸したり、敷地の一部に賃貸住宅を建設したりするケースも増えています。
シニアの住み替えで大切なことってありますか?
自宅を売る、貸すなど、不動産資産のキャッシュ化の検討時期は早いほど効果的。判断力も高く元気なうちに自分の保有資産を把握し、住み替えも含めて今後の人生設計をしっかり立てることが大切です。新しい住まいは暮らしを豊かに変えてくれます。気力、体力が充実している時期だからこそ、満足いく住み替えを実現できますから。
三井ホームリンケージ株式会社 ファイナンシャルプランナー(CFP) 杉山敬