【羽田空港アクセス線着工】東京駅から18分に!湾岸エリアへの影響は?

羽田空港アクセス線がついに着工!

以前から注目を集めていたJR東日本の「羽田空港アクセス線(仮称)」が、2023年6月より本格的に着工しました。開業は2031年度に予定されており、完成すれば首都圏の広範囲から乗り換えなしで羽田空港へアクセスできるようになる見込みです。なかでも東山手ルートが開通すると、東京駅からは最短18分で羽田空港へ到着するとされ、空港利用者からの期待が集まっています。

この記事では、羽田空港アクセス線の概要やメリットについて改めて紹介するほか、湾岸エリアにはどのような影響があるのかも考察します。

羽田空港に着陸する旅客機

羽田空港アクセス線とは?

羽田空港アクセス線とは、羽田空港へのアクセス性向上、空港の機能強化のために計画された新路線です。新幹線が通る東京駅をはじめ、首都圏の広範囲から羽田空港まで乗り換えなしでアクセスできる直通路線となります。この新路線について、改めて概要を整理しましょう。

計画内容

羽田空港アクセス線の起点となるのは、羽田空港国内線第1ターミナルと第2ターミナルの間に新設される「羽田空港新駅」です。路線は、東京貨物ターミナル駅から首都圏の各エリアへ延びる3つのルートと、それらを羽田空港へつなぐ「アクセス新線」を新設する予定となっています。

2023年現在、アクセス新線と、3つのルートのうちの1つ「東山手ルート」が着工中で、路線の構築には、現在は使われていない東海道貨物線(大汐線)の一部を有効活用する予定です。

開設予定のルート

羽田空港アクセス線として新設が計画されている3つのルートは以下の通りです。

●東山手ルート

宇都宮線・高崎線・常磐線方面から羽田空港へ向かうルートです。新橋駅から羽田空港新駅までの間に停車駅(途中駅)が作られる予定はないので直結でアクセスできます。なお、JR東日本は、起工式を6月に行い、工事に着手しています。

●西山手ルート

渋谷駅、大崎駅、大井町駅方面から羽田空港へ向かうルートです。現在は工事開始時期が未定ですが、実現すれば埼京線との直結が見込まれるので埼玉方面からのアクセスがスムーズになります。

●臨海部ルート

りんかい線東京テレポート駅方面から羽田空港へ向かうルートです。こちらも現在は工事開始時期が未定ですが、実現すれば新木場駅から羽田空港まで乗り換えなしでアクセスできます。

羽田空港アクセス線開業で期待されるメリット

実際に羽田空港アクセス線が開業すると、利用者や周辺環境にはどのような影響があるのでしょうか?期待されるメリットには、主に次のようなものが挙げられます。

移動効率が大幅にアップする

羽田空港アクセス線が開通することで、首都圏の広範囲から羽田空港へのアクセス時間を大幅に短縮できることが第一のメリットでしょう。たとえば、新宿から羽田空港まではこれまで40分以上かかっていましたが、羽田空港アクセス線が開通すれば、約20分程度短縮することができます。また、新橋駅からの停車駅がない東山手ルートを利用すれば、東京駅から羽田空港までは最短18分に短縮されるうえに、乗り換えの手間も解消されるので、スムーズな移動が期待できますね。

東京駅には、2023年にオープンした新たな大規模商業施設「東京ミッドタウン八重洲」があります。羽田空港まですぐ行ける分、移動する前にショッピングや食事をゆっくり楽しむのもおすすめです。

不動産の資産価値向上

羽田空港へのアクセスがしやすくなることで、停車駅周辺エリアの不動産の資産価値上昇が期待できます。不動産売却や不動産投資を考えている場合は、地価や不動産市況の動向を注視しておくとよいでしょう。

施設・設備が充実する

首都圏からのアクセス性が向上すれば、羽田空港に人が集まりやすくなり、レジャースポット化することも考えられます。今後は飛行機の乗客以外の利用客を見込んで、空港周辺に商業施設が増えたり、空港内の設備が充実したりする可能性が考えられるでしょう。

海外観光客が地方移動しやすくなる

羽田空港アクセス線が開通すると、羽田空港と新幹線の停車駅である東京駅がつながるため、海外からの観光客が中部・北陸方面や東北地方などへアクセスしやすくなります。それに伴い、各地方への観光客の増加や、地域の活性化が期待できるでしょう。

東京ミッドタウン八重洲

羽田空港アクセス線における懸念点

羽田空港アクセス線が開通することにより、上記でご紹介したメリットが生まれる一方、羽田空港アクセス線の開通には次のような懸念点もあります。1つずつ見ていきましょう。

東京モノレールへの影響

羽田空港へアクセスする手段といえば、もともと東京モノレールと京浜急行電鉄(空港線)があります。しかし羽田空港アクセス線が開通すると、東山手ルートとほぼ同じ路線の東京モノレールは使われにくくなるのではないかという声が多く上がっていました。

しかし途中駅が作られる予定のない羽田空港アクセス線と異なり、東京モノレールでは浜松町駅から羽田空港第2ターミナル駅までの間で途中下車できるほか、JRが運行できないときの代替手段になるとも見られています。

京浜急行電鉄への影響

上記と同じく、羽田空港アクセス線の開業により、京浜急行電鉄への影響も大きいのではないかと見られています。しかし京浜急行電鉄は、神奈川県の逗子・横須賀駅方面まで延びていることや、川崎や横浜などからは1本で羽田空港までアクセスできることから、地元住民にとってのメリットは大きいでしょう。

京浜急行電鉄

羽田空港アクセス線は湾岸エリアにとってメリットはある?

不動産的な観点から羽田空港アクセス線の新設を捉えると、気になるのはやはり周辺エリアの資産価値への影響です。近年人気の「湾岸エリア(豊洲、月島、勝どき、品川、芝浦、有明、東雲)」にとって、羽田空港アクセス線の開通はどのような影響をもたらすのか考察してみましょう。

エリアによって羽田空港へのアクセスがスムーズに

湾岸エリアのなかでも、りんかい線周辺の新木場、東雲、有明といったエリアは、羽田空港アクセス線開通により、羽田空港までの交通の便がよくなります。住民だけでなく、周辺企業にとってもメリットです。羽田空港へのアクセスのよさから不動産需要が高まれば資産価値の上昇も考えられます。

湾岸エリアの空撮写真

ちなみに新木場、東雲、有明以外は、もともと羽田空港へアクセスしやすいエリアです。たとえば、豊洲からは羽田空港行きのリムジンバスが出ているほか、品川からは京浜急行1本で到着します。そのため、開通による直接的な影響は少ないとはいえ、アクセスの心配はないでしょう。

将来の可能性には期待できる?

先ほどご紹介したように、羽田空港アクセス線の開通によって影響が及ぶ湾岸エリアは限られています。しかし今後、湾岸エリア内を走る臨海部ルートが開通すれば、沿線に商業施設やオフィスビルなどが充実する可能性はあるので期待して見守りましょう。

臨海部ルートが開通予定の湾岸エリア

羽田空港アクセス線の開業は2031年度予定!

本格的な工事が始まったばかりの羽田空港アクセス線は、2031年度の開業を目指しています。これに対して京浜急行電鉄が東急線の蒲田駅と京急線の蒲田駅の800mを結ぶ「蒲蒲線(かまかません・新空港線)」を2030年代に開業させるという動きもあります。蒲蒲線は、東急多摩川線から京急空港線へ乗り換えて羽田空港へアクセスできるようになるという路線で、実際に開業すると羽田空港アクセス線の西山手ルートと競合すると見られています。

鉄道網の変化は、人の暮らしや住まいの価値に大きな変化をもたらします。計画内容や完成時期を、今後もしっかり見守っていきましょう。

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三上隆太郎

株式会社MKM 代表取締役
大手ハウスメーカーにて注文住宅の受注営業、家業の建設会社では職人として従事。個人向け不動産コンサルティング会社のコンサルタントやインスペクターを経験し中古+リノベーションのフランチャイズ展開、資格の予備校にて宅地建物取引業法専属講師など、不動産業界に幅広く従事。
https://mkm-escrow.com/