「億ション」とは、1戸が1億円以上で売買される分譲マンションの総称です。マンションの「マン」を「万」ともじり、万より高価な「億」が付くマンションとしてこう呼ぶようになりました。また、併せてよく耳にする「タワーマンション(タワマン)」とは、一般的には超高層マンション、特に20階以上のものを指します。
億ションの戸数は少ないと思われるかもしれませんが、近年、1億円以上の分譲マンションは珍しくありません。実は、全国的にマンション価格は上がり続けており、東京都23区で販売された新築マンションの平均価格は2024年の時点で1億円を超えています。さらに、三大都市圏(首都圏・近畿圏・中部圏)にとどまらず、地方都市でも億ションは増えている傾向です。
億ションというと、経営者や会社役員、医師といった富裕層の住む所というイメージが強いかもしれませんが、サラリーマン世帯の購入も多く、裾野は広いといえます。その理由の1つは、マンション価格の値上がりです。資産形成の1つとして、価値が下がりにくい不動産を購入する動きが会社員にも広がっていることが挙げられるでしょう。
億ションはサラリーマン世帯の購入も多いとお伝えしましたが、具体的にいくら年収があれば買えるのでしょうか?億ションを購入できる年収を判断するには、住宅ローンの借入限度額から考えてみましょう。
住宅ローンの借入限度額は金融機関によって異なりますが、一般的に年収の5~7倍といわれています。たとえば1億円の物件を購入するための住宅ローン借り入れに必要な年収は、頭金なしの場合、最低でも1,430万円が必要になります。ただし、あくまでも最低金額であるため、購入後に余裕を持って生活するには1,430万円以上の年収が望ましいといえるでしょう。
住宅ローンを利用して億ションを購入する場合、余裕を持って住宅ローンを返済するには、以下の条件をクリアすることが望ましいでしょう。
住宅ローンを無理なく返済するには、頭金を多めにして、返済額を減らせると安心です。ただし、頭金を用意できない場合は、先述の通り、年収が1,430万円に満たないと、億ションを購入するための住宅ローンの借り入れは難しいことが多いといえます。その場合、以下のような選択肢を検討してみましょう。
収入合算とは、住宅ローンの契約者の収入に、一定収入がある親族の収入を合算する方法を指します。合算した金額をもとに住宅ローンの審査を受けられるため、借入額を増やすことが可能です。ただし、収入合算者は連帯保証人になる必要があります。なお、団体信用生命保険の補償内容および住宅ローン控除は契約者本人にしか適用されないため、利用前に契約内容を理解しておきましょう。
1つの物件に対して夫婦それぞれが同じ金融機関からローンを借りる、ペアローンという選択肢もあり、単独でローンを組むよりも借入額を増やせます。ただし、物件の所有権も共有名義になるため、万が一離婚に至ったとき、一方の意向だけで物件を売却できないことには注意が必要です。また、出産や育児で妻(夫)が退職しても返済は続くため、お互いの生活スタイルが変わる可能性まで考慮して、慎重に判断しましょう。
億ションは、マンションそのものに多くの魅力があります。ここからは、億ションの魅力について紹介していきます。
億ションには、通常、上質な設備やサービスが備えられています。共用部のインテリアも高級ホテル並みのことが多いといえます。階層によっては日常的に夜景を楽しむことができるほか、マンション専用のプールやジム、パーティールームといった施設や、24時間対応のコンシェルジュによるきめ細やかなサービスなどがあります。上質な設備やサービスを求める方にはおすすめです。
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億ションはファミリー向けであることが多く、通常の2LDK、3LDKよりも広々とした間取りになっていることが魅力です。一般的なマンションと比べて、空間を贅沢に使えるでしょう。
億ションには、警備員が常駐していたり、24時間セキュリティシステムが導入されていたりすることが一般的です。共用部では監視カメラが作動しており、自室に行くまでにダブルもしくはトリプルオートロックが設けられているマンションもあります。住民のプライバシーを守りつつ、厳重なセキュリティ対策が施されているのも億ションの魅力といえるでしょう。
億ションには多くの魅力がある一方で、購入するときにはいくつかの注意点があります。詳しく見ていきましょう。
住宅ローンを利用して億ションを購入する場合、融資金額が高額なため、金利上昇のリスクに注意する必要があります。たとえば、億ションを購入するために住宅ローンを金利1%で35年間借りた場合、金利が0.1%上がっただけで、返済額(総額)が100万円単位で増える可能性もあります。
住宅ローンは、少しでも金利が低い商品を選ぶことがポイントです。さらに、頭金を多めに入れて借入額を少なくする、資金に余裕があるときに繰り上げ返済をして元本を減らすといった対策が重要になるでしょう。いずれにしても、金利の動きは不透明であることを理解したうえで購入を検討しましょう。
購入した億ションに住むには、住宅ローンの返済以外にも、以下のような維持管理費がかかってきます。1つずつ見ていきましょう。
固定資産税・都市計画税は、固定資産税評価額にそれぞれの税率をかけた額となるため、不動産の評価額が高い傾向にある億ションは税金も高くなります。また、2017(平成29)年1月2日以後に新築されたおおよそ20階以上のタワーマンションの場合、1階上がるごとに約0.26%税率が上がるため、高層階の購入を検討している方は注意が必要です。
管理費は、一般的に専有面積が広くなるほど高くなる傾向があります。億ションは高級物件に属し、運営管理にも相応のお金がかかるため、事前に確認しておきましょう。
修繕積立金とは、一般的に10~15年のサイクルで行われるマンションの大規模修繕のために、居住者が積み立てるお金のことです。地価が高いエリアに建つマンションほど積立金が高くなる傾向にあり、途中で値上がる可能性もあるので、やはり億ションの購入には十分な予算が必要だといえるでしょう。
都心部を中心にマンション価格の上昇は続いており、億ションは今後も増えると予想されます。なかでも、人気エリアや発展性の高い再開発エリアの物件なら、将来の資産価値も落ちにくいでしょう。そうした意味で近年注目されているのが、晴海や勝どきをはじめとする東京の湾岸エリアです。再開発によって多くのタワーマンションや、ららテラス HARUMI FLAGをはじめとする商業施設が建てられており、資産価値の高いマンションを探すのにも適しているといえます。
三井のリハウスでは、湾岸エリアをはじめ、都内高級マンションの物件情報を公開しています。湾岸エリアのマンションの購入に興味がある方は、ぜひ一度お問い合わせください。
三上隆太郎
株式会社MKM 代表取締役
大手ハウスメーカーにて注文住宅の受注営業、家業の建設会社では職人として従事。個人向け不動産コンサルティング会社のコンサルタントやインスペクターを経験し中古+リノベーションのフランチャイズ展開、資格の予備校にて宅地建物取引業法専属講師など、不動産業界に幅広く従事。
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