タワマンには節税効果がある?
税金を抑える仕組みや注意するべきポイントについて解説

タワマン(タワーマンション)とは?

高さ60mを超える20階建て以上のマンションを、「タワーマンション」「タワマン」のように呼ぶことがあります。

タワマンを所有することで、便利で快適な生活を送れるのに加え、相続税に対する節税効果を期待できる場合があることをご存知でしょうか?

本記事では、タワマンを持つことにより納税額を抑えられる仕組みを解説するとともに、タワマン購入のメリット、注意点についてご紹介します。

タワマン(タワーマンション)の節税の仕組み

タワマンを所有することで節税が期待できるのは、主に相続税です。どのような原理から節税につながるのか、詳しく見ていきましょう。また、固定資産税も節税できるのかについても解説します。

相続税

多額の財産を相続するなら、タワマンといった不動産のほうが、現金のまま相続するよりも相続税を軽減できる傾向にあります。理由をお伝えしましょう。

相続税の金額は、以下の式により計算できます。

  • 相続税額=(課税遺産総額-基礎控除額)×相続割合×税率
  • 課税遺産総額=各遺産の課税価格の合計

ここで、相続の場面では、現金と不動産の課税価格の算出方法が異なることを押さえておきましょう。現金は額面通りの金額が課税価格となる一方、不動産の相続税については、現金換算で価値を示した「相続税評価額」が、課税価格として扱われます。

不動産の相続税評価額は、時価(市場における取引価格の相場)よりも低い傾向にあります。そのため、相続財産の価値が等しいなら、不動産の形で相続したほうが、現金を相続するよりも節税になるという仕組みです。

加えて、敷地面積に対して住戸数が多いタワマンでは、持分とされる土地の面積が低層マンションに比べて小さくなる傾向にあるため、低層マンションよりも相続税評価額そのものが抑えられる傾向にあります。

不動産にかかる相続税については、別記事で詳しく取り扱っています。ぜひチェックしてくださいね。

▶︎ 不動産にかかる相続税と節税の考え方はこちら

固定資産税

固定資産税にも節税の効果はあるのでしょうか?以下で解説していきます。

固定資産税とは、一戸建てやマンション、土地などの固定資産を所有する人が、自治体に支払う税金を指します。住宅に発生する固定資産税は、土地と建物に対して別々にかかり、それぞれの固定資産税評価額に税率(1.4%)をかけることで求めることができます。

固定資産税評価額×税率(1.4%)=固定資産税

タワマンの場合、一戸当たりの土地の固定資産税は安くなる傾向がありますが、建物の評価額は通常のマンションより高くなる傾向があります。つまり、土地と建物の固定資産税を平均すると、節税の効果はあまり期待できないということです。

土地の固定資産税が安くなりやすい理由には、土地部分における固定資産税評価額の扱いが、一戸建てとマンションでは異なることがポイントとなります。一戸建てでは、敷地面積をそのまま土地面積として扱う一方で、マンションの場合、建物全体の敷地面積に対して自分がどれくらいの割合を所有しているか、という考えに従います。

高さがある分、積層する階数が多く住戸数が多いタワマンは、低層マンションに比べて持分として扱われる土地面積が小さくなる傾向にあり、土地の固定資産税評価額が低くなることが期待できます。ただし、近年行われた法改正を受けて、タワマンは高層階ほど固定資産税が割り増しされるようになったため、「タワマンは固定資産税を軽減できる」と一概に断定できないということに注意しましょう。

▶︎ タワマンの階数と固定資産税の関係はこちら

タワマン(タワーマンション)節税におけるメリット

タワマンを所有することで相続税を軽減できることと、その仕組みについてお伝えしてきました。ここからは、マンションを所有することによる節税効果のなかでも、特にタワマンが優れているとされるポイントについて解説していきます。

小規模宅地等の特例が適用される

タワマンを所有することで、一戸建てや低層マンションを持っている場合よりも、土地にかかる固定資産税を減らす効果を期待できることは、先にお伝えした通りです。

加えて、タワマン物件の土地部分の固定資産税については、「住宅用地の特例」の適用による節税効果が大きくなっています。住宅用地の特例とは、居住用の建物が建てられた敷地において、200㎡までの部分は固定資産税が6分の1に、都市計画税は3分の1に減額されるという特例のことです。タワマンをはじめとして、大規模マンションは住戸数が多い分、持分の土地面積の大部分、もしくは全てが特例の適用対象となるケースが見られます。

高く売却できる傾向がある

所有することにより節税効果を期待できるタワマンですが、将来住み替えを検討し、仲介により売却を依頼する際にも、困ることが少ないのもメリットの1つです。タワマンには「立地がよい」「共用施設やサービスが充実している」などといった、複数の付加価値のある物件が多く存在します。そのため、中古物件となっても高い需要が見込め、高値で売却できる可能性があります。

タワマン(タワーマンション)で節税する際の注意点

ここまででは節税効果に焦点を当て、タワマンの魅力をお伝えしてきましたが、節税目的のみでタワマンの購入に踏み切る行為には、リスクを伴います。以下で詳しく見ていきましょう。

追徴課税のリスクがある

明らかに節税を目的にタワマンを購入したと判断された場合は、税務署に税の申告を否認されるリスクがあります。以下は実際にあった事例です。

被相続人の名義で銀行から約10億を借り入れし、相続人が約8億3,700万円と約5億5,000万円のタワマンを購入しました。その3年後に被相続人は亡くなり、相続が発生。それぞれのタワマンの相続税評価額は約2億円と約1億3,400万円でしたが、タワマンの購入資金として銀行から借りた10億円も相続したため相続税評価額の合計約3億3,400万円と相殺され、相続人は相続税をゼロとして申告しました。これに対し税務署は、相続人が相続税対策でタワマンの購入を進めた可能性が高いと判断し、相続税申告は否認され、約3億円の追徴課税を支払う更正処分が下されたのです。

以上のケースのように、「明らかな節税目的」であると判断され、税の申告を否認されると、追徴課税がなされるリスクがあることを押さえておきましょう。

階によって固定資産税が変わる

税制改正により、2017年に固定資産税の計算方法が見直されました。それまでは高さ60m以上の居住用建築物の場合、固定資産税の税率はどの階であっても同じでしたが、改正以降、高層階のほうが低層階よりも税率が高くなっています。ただし、2017年より前に建設されたタワマンは適用外であり、改正前の計算方法が引き続き用いられます。

節税効果以外のメリットも知っておこう!

タワマンを所有した場合の節税の仕組みやメリット、注意点について解説してきました。ご紹介したように、タワマンには節税効果が期待できます。ただし、相続税の減税だけを目的にしたタワマンの売買には、追徴課税のリスクを伴うため、節税目的のみで購入に踏み切ることはおすすめできません。

タワマンには、素晴らしい眺望を楽しめる点、充実した共用施設を利用できる点など、節税効果以外にも複数のメリットがあります。こうした特徴を多角的に捉えておくことが、物件選びにおいて欠かせないポイントです。

また、タワマンは立地がよく、周辺施設が充実しているエリアに建つ傾向があります。たとえば東京においては、近年再開発が進み、住みよさが大幅に向上した湾岸エリアには、魅力的なタワマン物件が多く流通しています。ウォーターフロントに建つタワマンからは、広々とした海や空、大都会の織りなす景色が楽しめますよ。

三井のリハウスには湾岸エリアに特化した物件情報サイトが用意されています。湾岸エリアのタワマンに興味をお持ちの方は、一度三井のリハウスで物件情報を調べてみてはいかがでしょうか?

▶︎ 湾岸エリアのマンション情報はこちら

税監修:宮原裕徳

三上隆太郎

株式会社MKM 代表取締役
大手ハウスメーカーにて注文住宅の受注営業、家業の建設会社では職人として従事。個人向け不動産コンサルティング会社のコンサルタントやインスペクターを経験し中古+リノベーションのフランチャイズ展開、資格の予備校にて宅地建物取引業法専属講師など、不動産業界に幅広く従事。
https://mkm-escrow.com/