東京都内では現在、「100年に1度」といわれる規模の再開発が進行中です。たとえば、2023年に開業したばかりの麻布台ヒルズ、品川駅西口の再整備、中野サンプラザ跡地に建設予定の超高層ビルなど、新たなまちづくりは東京の至る所で行われています。しかし、「なぜ東京はこれほど再開発が多いのか」と疑問を感じる方も多いのではないでしょうか?
東京で再開発が行われる理由の1つは、国際都市としての競争力を高めるためです。アジア他国の都市が発展を遂げるなかでは、東京も「人や企業が集まる街」「物流の拠点となる街」を目指して、都市機能を高めていかなくてはなりません。また、東京にはバブル期に建設された古いビルが多く、建て替え時期が迫っていることも再開発が多い要因でしょう。
再開発は不動産の資産価値との関係が深いので、東京でマンションを探している方、不動産投資を検討している方にとっては気になる情報ではないでしょうか?そこで今回は、再開発が進んでいる東京の注目エリアをご紹介するほか、再開発エリアでマンションを購入する際のポイントについても解説します。
東京都心部では多くの再開発が進んでいますが、ここでは特に注目度の高い「渋谷」「虎ノ門」「池袋」「東京駅周辺」をピックアップして解説します。
東京のターミナル駅の1つであり、ショッピングやエンターテイメントの中枢でもある渋谷では、2012年に「渋谷ヒカリエ」が開業して以来、多くの再開発プロジェクトが進められてきました。
開業年・開業予定年 | 渋谷の再開発内容 |
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2020年 | MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク) |
2024年 | Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ) |
2027年 | 渋谷スクランブルスクエアの拡大 |
2020年に開業した「MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)」は、渋谷区立宮下公園に商業施設とホテルを一体化させた施設を建設し、街に新たな価値を生み出すことを目指したプロジェクトです。商業施設にはハイブランドのショップや横丁、シェアオフィスなどさまざまな店舗が入居しており、渋谷らしい多様な価値観を反映しています。
また、2023年11月に竣工した「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」は、約2.6ヘクタールの敷地に地上39階建てと30階建ての複合ビルを設置しているほか、歩行者デッキによって渋谷駅周辺の回遊性も高めるというまちづくりも含んだ大きなプロジェクトです(2024年夏全面開業予定)。オフィスに入居するのは主にゲームやIT関連の企業とされ、クリエイティブな国際都市という個性が、今後より強調されるでしょう。
さらに、渋谷駅直上に建つ「渋谷スクランブルスクエア」では、現在の東棟に続いて中央棟(地上10階建て、地下2階)、西棟(地上13階建て、地下5階)の建設も予定されています(2027年度開業予定)。
虎ノ門は、日本の首都機能が集中している霞が関に近く、各国の大使館や高級ホテルが建ち並ぶなど、政治・経済の中心といえるエリアです。
開業年・開業予定年 | 虎ノ門の再開発内容 |
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2020年 | 虎ノ門ヒルズ駅 |
2023年 | 東京BRT運行ルートの拡充 |
2023年 | 麻布台ヒルズ |
2024年 | 虎ノ門一丁目東地区第一種市街地再開発事業着工 |
虎ノ門は都心部に位置し、交通アクセスにも恵まれているエリアですが、2020年には東京メトロ日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ駅」が開業し、2023年には東京BRTで豊洲エリアへのアクセスも可能になるなど、より利便性が向上しました。
現在もなお、国際的なビジネス拠点として開発が進んでおり、2023年には虎ノ門・麻布台地区に「麻布台ヒルズ」がオープンしました。立地は「虎ノ門ヒルズ」と「六本木ヒルズ」の中間にあり、330mという超高層ビルを有することでも話題を集めています。ほかにも複数の棟や緑豊かな広場、ミュージアムなどがあり、幅広い都市機能を担う施設としてさらなる賑わいをもたらすでしょう。
また、2024年には、虎ノ門一丁目の計画区域で新たな再開発事業(虎ノ門一丁目東地区第一種市街地再開発事業)がスタートしました。当地では、駅と一体化した複合施設の建設が計画されており、豊かな自然を感じられる次世代型ワークプレイス、官民の垣根を越えた共創を目指す「(仮称)虎ノ門イノベーションセンター」、虎ノ門駅の南北をつなぐ地下通路などが設けられる予定です。
池袋駅周辺は、大型商業施設のほか文化施設も多いことから、「国際アート・カルチャー都市」としてのまちづくりを推進しています。
開業年・開業予定年 | 池袋の再開発内容 |
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2019年 | Hareza池袋 |
2019年 | 池袋西口公園のリニューアル |
2043年 | 国際アート・カルチャー都市 |
2019年には、まちづくりの象徴となる再開発エリア「Hareza池袋」が開業しました。池袋駅東口方面に位置するエリア内には、TOHOシネマズ池袋が入る「Hareza Tower」、ミュージカルや伝統芸能など多彩な演目に対応する「東京建物 Brillia HALL」、アニメカフェが設置された「中池袋公園」などが含まれ、新たな賑わいを創出しています。
また、池袋駅西口でも、2019年に池袋西口公園が野外劇場「グローバルリング シアター」を整備してリニューアルオープンしたほか、西口エリアを4つの街区に分けた再開発計画も進行中です。具体的には、A・B・C街区に商業施設やホテルなどが入居する高層複合ビル、D街区に公園が整備される予定となっています。国際アート・カルチャー都市として国内外から人を呼び込む都市機能の充実により、街の姿は大きく変化していくことでしょう。全体施工完了は2043年度の予定です。
「日本の玄関口」といわれる東京駅周辺の八重洲・日本橋・大手町エリアでは、多くの再開発事業が進行しており、世界最先端のオフィスビルが誕生しようとしています。
開業年・開業予定年 | 池袋の再開発内容 |
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2023年 | 東京ミッドタウン八重洲 |
2026年 | 地上52階建てタワー |
2028年 | Torch Tower |
2023年に開業した「東京ミッドタウン八重洲」では、顔認証によるオフィス入退館システムの導入、配膳ロボットの移動のためにフロアのドアを電動化するなどの斬新な取り組みが話題を集めています。
国際金融拠点を目指す日本橋エリアでは、日本橋川沿いの区域を3つの街区に分けた再開発が進行中です。なかでも、C街区に位置するメインタワーは地上52階建ての高さで、ハイグレードオフィス・ホテル・商業施設などを有するミクストユース(複合用途)型の施設として、「コレド日本橋」に続く新たなランドマークになることが期待されます。全体竣工は2026年3月末の予定です。
また、大手町二丁目常盤橋地区では、385mという日本一高いビル「Torch Tower」(2028年3月竣工予定)が建設中で、Torch Towerの足元には水と緑豊かな広場も整備される予定です。令和の東京駅周辺の街並みは、次々と進化していくことでしょう。
東京の再開発は、上記以外にもさまざまなエリアで進行しています。今後再開発が行われるエリアを調べたい場合は、まず東京都都市整備局のホームページを閲覧してみましょう。ホームページ上では、再開発が決定した地区名や進捗状況を一覧でチェックできるようになっています。気になるエリアがあれば、自治体のホームページや窓口へ問い合わせるとより詳細な情報を確認できるでしょう。
また、そのエリアに詳しい不動産会社の営業担当者に質問してみるのも有効です。不動産会社はエリアの状況を熟知しているので、家賃相場や物件の需要といった深い情報も得られる可能性があります。手間と時間をかけてもリアルな情報を知りたい方は、実際に現地を訪れて住民から話を聞いてみるのもよいでしょう。
ご紹介してきたように東京では多くの再開発が進んでいますが、やはり気になるのは再開発エリアの資産価値ではないでしょうか?ここでは、資産価値という観点から見た再開発エリアのメリットと注意点、マンション購入のポイントを解説します。
再開発エリアのメリットは、資産価値が上がる可能性が高いという点です。周辺道路が整備されたり、新しい商業施設ができたりといった利便性が向上すれば、再開発前と比較して、物件購入のニーズ増加が見込まれます。また、土地のブランド力が高まると、物件自体の価値も高まるので、将来の売却には有利になる可能性が高いでしょう。
再開発エリアの注意点は、再開発計画が予定通りに進まない場合もあるということです。地域住民の合意が得られない、工事費の高騰によって当初の計画通りに再開発が進められないなど、さまざまな理由で計画が頓挫する可能性があります。また、再開発が完了したとしても、期待されるほど利便性が向上しなかったり、商業施設に人が集まらなかったりするリスクも考慮しておく必要があるでしょう。
再開発エリアに限らず、マンションを購入する場合は、将来的な売却のしやすさを念頭に置いて選ぶことをおすすめします。なぜなら、住み替えの必要や、万が一の収入減といった事情が発生しても柔軟に対応できるためです。具体的には「生活利便性が高い」「都心へのアクセスに強い」「環境がよい」など、入居者のニーズが高い条件を重視するとよいでしょう。また、再開発エリアの物件には、将来の値上がりを見込んで既に高い価格が付けられていることもありますが、先々の価格上昇は不確実であることを踏まえ、慎重に検討しましょう。
不動産投資の場合は、エリアの人口の状況、経済の動向などを観察し、再開発の効果が期待できるエリアをしっかり絞り込むとよいでしょう。また、仮に計画が遅れたり頓挫したりしても、収益性が見込める物件を選ぶことも重要です。
東京の再開発エリアに興味をお持ちの方には、東京臨海部の「湾岸エリア」もおすすめです。湾岸エリアとは、月島・勝どき・晴海・豊洲など、東京湾沿岸の埋立地を指します。都心部へアクセスしやすく、再開発で利便性が向上していることから、湾岸エリアのタワーマンションは近年高い注目を集めています。
三井のリハウスでは、湾岸エリアに特化した物件情報ページを公開中です。豊富な物件情報のほか、最新の開発情報についても随時更新しているので、ぜひ下記よりご覧ください。
三上隆太郎
株式会社MKM 代表取締役
大手ハウスメーカーにて注文住宅の受注営業、家業の建設会社では職人として従事。個人向け不動産コンサルティング会社のコンサルタントやインスペクターを経験し中古+リノベーションのフランチャイズ展開、資格の予備校にて宅地建物取引業法専属講師など、不動産業界に幅広く従事。
https://mkm-escrow.com/