八重洲
旅と日常のひとときを彩る緑の空間
グランスタ八重洲 GRANROOF GARDEN
東京駅八重洲口に白い帆のような大屋根を広げている「グランルーフ」は、2023(令和5)年7月、地下の商業施設とともに「グランスタ八重洲」と改称。同時期に2階を「GRANROOF GARDEN」としてリニューアル。おしゃれな緑のスペースとして人気を集めている。
「光の帆」をデザインコンセプトとした滑らかなフォルムの鉄骨フレームの下側に広がる膜屋根が、東京駅を行きかう人々を優しく包み込む。鋼管をつなぐ鋳鋼ノードには鉄道レールを再生利用した。軽やかで強靭な構造やデザインが高く評価され、グランルーフと駅前広場は土木学会デザイン賞2017年優秀賞はじめ建築関係の数々の賞を受賞している。
緑の回廊がくつろぎの空間に
2010年代に駅舎や商業施設のリニューアルが行われた東京駅。JR東日本は丸の内側では「歴史性」をテーマに、煉瓦造りの駅舎が創建当時の姿を復活させた。対して、八重洲側は「先進性・先端性」を象徴する玄関口と位置づけられ、透明感のあるタワー2棟の間を「光の帆」がつなぐという構想がつくられた。それに基づき、2013(平成25)年、すでに完成していたグラントウキョウノースタワー、同サウスタワーの間に大きな膜構造の屋根が印象的な商業施設「グランルーフ」が完成した。この屋根について、東日本旅客鉄道株式会社 マーケティング本部まちづくり部門の山口哲史さんは「膜素材はとても丈夫で汚れもつかず、メンテナンス不要です」と語る。光触媒の自浄作用によりいつも白く美しい屋根は八重洲口のシンボルとして親しまれている。
開業10年目の2023(令和5)年7月、グランルーフは地下の商業施設とともに名称を「グランスタ八重洲」に改めた。同時期に2階デッキ部をリニューアルし、GRANROOF GARDENという名称を付けた。「ペデストリアンデッキの234mにも及ぶ長さを活かし、公園のように自由な使い方ができる場としました。東京駅を利用する人々の様々なニーズを考慮し、多様なベンチやカウンターを配置しています」と山口さん。東京駅の構内の公共スペースにはない開放感とアウトドアインテリアのおしゃれなデザインは、SNS映えも申し分ない。「旅行前のわくわくした高揚感にふさわしい場になったのではないかと思います」と山口さんは笑顔を見せる。
植栽には関東圏の在来種を中心に68種が配置され、四季の彩を演出する。約10年前の八重洲口の駅前広場の開発時から緑化は大きなテーマの一つだった。緑は景観を美しく彩るだけでなく、温暖化対策の効果も高い。とくに夏は八重洲を南北に移動するなら地上よりもGRANROOF GARDENを通ったほうが快適だ。
今後、2029(令和11)年頃までに東京駅南口に八重洲側と丸の内側を結ぶ自由通路が開かれ、東京駅の回遊性は大きく改善する。緑を感じながら自由にくつろげるGRANROOF GARDENは、八重洲ならではの魅力として、より多くの人々に愛されるようになるだろう。

GRANROOF GARDENの壁面緑化も含めると、八重洲口駅前広場内全体で約3,000㎡が緑化されている。優れた緑化技術の導入と高い管理水準により、東京らしい緑の公共空間をつくり上げたことが評価され、公益財団法人都市緑化機構の第14回屋上・壁面・特殊緑化技術コンクールで国土交通大臣賞を受賞。

働き方の変化を意識し、カウンターには充電設備を設置した。

2階のリニューアルにあわせて、幅の広い外階段に可動式のベンチを設置。シンプルな大階段の景観にあたたかさが加わった。

大丸東京のあるグラントウキョウノースタワーとグラントウキョウサウスタワーをつなぎ234mのデッキの途中に3店の飲食店と多様なベンチやカウンターを配置。一部は稼働式で、イベントの会場として空間を広く使う場合もある。
協力:グランスタ八重洲
(千代田区丸の内1-9-1 Tel.050-3354-0707)
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目次
八重洲エリア全体MAP
REAL PLAN NEWS No.123 掲載
