あまり聞き慣れない街「田無」ですが、西武新宿線ユーザーに聞くと「ああ、田無! 便利でいいよね」と即答されます。

西武新宿線の急行が停まるため、とにかく都心からのアクセスがよく、駅前の商業エリアも充実していて便利。閑静な住宅街の中に、公園や東大農場、自転車道など緑も多くあり、落ち着いて暮らせそう。ここまで好条件がそろっていながら、素朴なイメージの西武新宿線沿線であることや、23区外の西東京市であることなどから、地価や物価は比較的低め。

また、「シンエイ動画」という有名なアニメ制作会社が田無にあり、アニメ『あたしンち』の舞台や、『ケロロ軍曹』の住む街のモデルにもなっているのだそう。

実際にはどんな街なのでしょうか。
歩いて回って、地元の人の声を聞いてきました。

【田無の基本情報】

駅名:西武新宿線「田無」駅
ランドマーク:田無アスタ専門店街、東京大学生態調和農学機構

■西武新宿駅まで20分以内! 始発列車なら座って通勤可能

田無駅を通るのは「西武新宿線」。
特急と拝島ライナー以外、快速急行、通勤急行、急行、準急はすべて停まり、高田馬場駅より西側の主要駅と言えます。通勤・通学の時間帯は田無駅始発の列車もあるので、座っての通勤も可能です。

西武新宿駅までは急行で最速19分、高田馬場駅までは16分。JR山手線に乗り換える場合は、乗り換えの便利な高田馬場駅を利用する人が多いようです。

休日は新宿と反対方面に向かえば、人気の観光地である川越や、自然豊かな拝島、多摩湖までも1本です。

駅北口に大きめのバスロータリーがあり、路線バスも充実。吉祥寺駅や武蔵境駅、三鷹駅など、人気の中央線沿線へアクセスしやすいのも嬉しいポイントです。バスだけでなく、自転車でも行ける近さ。
青いラッピングの西東京市のコミュニティバス「はなバス」も走っており、広大な「小金井公園」や、世界最大級のプラネタリウムがある「多摩六都科学館」などに行くのに便利です。

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■すべての用事はここで! 商業施設が充実している北口エリア

駅の2階にある改札を出ると、目の前が「エミオ 田無」というモールが。おにぎり屋、立ち食い寿司屋などが並んでいます。

改札を出て左手の北口側は、複数のショッピングモールや飲食店が並ぶ商業エリアで、生活に必要な買い物や食事、用事などは一通り済ませられます。

2階に位置する北口を出ると右手には飲食店街が続きます。

1階に下りると、ベーカリーと、輸入食材なども手に入る「成城石井エミオ田無店」。ここで手土産を買うのもいいですね。

1階に下りずにそのまま陸橋を渡ると、そこは「田無アスタ専門店街」。雨の日でも駅から濡れずにたどり着けます。「コクミンドラッグ田無店」「ノジマ 田無アスタ店」「キャンドゥ 田無アスタ店」・食料品店・雑貨店など、アスタにはあらゆる専門店がそろいます。
また、生活雑貨の専門ストア「リヴィン田無店」が併設しており、1階には「無印良品 リヴィン田無」も。

北口周辺には個性豊かな飲食店も集まっています。驚いたのが、中華料理・タイ料理・フレンチ・メキシカン・インドカレーなど、各国のおいしい料理をリーズナブルにいただけること!

そのうちの一つ、カジュアルにイタリアンを楽しめる一軒家レストラン「武蔵野食堂」へ。

ランチに、数量限定という「武蔵野食堂特製ハンバーグ」(1,408円)をいただきました。
牛肉100%のジューシーなハンバーグに、肉やタマネギをよく煮込んだ味わい深いソースがかかって、親しみやすい家庭の味。

夜には本格イタリアンの雰囲気に変わるようです。

お隣にある同系列の喫茶店「武蔵野茶房」も人気。大正ロマンの雰囲気の店内で、香り高いコーヒーや四季折々の甘味を楽しめます。

■市役所、図書館、スポーツ施設のある閑静な住宅街、南口エリア

今度は駅の南口側に出てみると、こちらは打って変わって静かな住宅街。今後、駅前の交通広場の整備が予定されており、2023年完成予定のようです。

駅前には何軒か飲食店が並んでおり、こちらもクオリティが高そう。

駅からすぐの、線路に並行して走る市役所通りに、比較的新しそうなマンションが並んでいました。
そこからもう1本南に入れば、一軒家が立ち並ぶ閑静な住宅街です。

駅南口から徒歩2〜3分のところに、「西東京市役所」・「西東京市中央図書館」・「西東京市南町スポーツ・文化交流センター きらっと」が。

「きらっと」には体育館・多目的ホール・会議室などがあり、テニス・卓球・ヨガなど、大人や子ども向けのさまざまなスクールを、リーズナブルな価格で受けられるので要チェック!

市内最大の中央図書館は、耐震補強等改修工事のため休館していましたが、令和4年4月1日に再開しました。

市役所の向かいにも、日本料理やラーメンなどのお店が並んでいます。

農地が点在しており、新鮮で珍しい野菜を入手できる直売所も! 残念ながら、夕方には売り切れでした。

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■新しく引っ越してくる子育て世帯が、生涯暮らしていける

緑も豊かなこのあたりは、都内でも有数の子育て世帯の多いエリア。
親子での散歩におすすめなのが、広大な林と畑が続く「東京大学生態調和農学機構」、通称「東大農場」。

火~金曜日(祝日・年末年始・機構指定日を除く)の9:00~16:30は一般に公開されており、敷地内を自由に散策できます。季節によって、桜並木やハスの見本園、ヒマワリ畑、野菜の特価スタンドなども楽しめるそう。

鎌倉期に創立された由緒ある「田無神社」もおすすめ!
ここは“開かれた神社”として、境内に農園があったり、キッチンカーが出ていたり、コンサートなどのイベントを開催したりと、何度でも訪れたくなる、ちょっと変わった神社なんです。

この日は「風薫る 神社なおきち」というコーヒーの屋台が出ており、おにぎり弁当も販売していました。
田無神社の宮司さんが新しい試みを積極的に行う方で、田無駅前のカフェ「田無なおきち」を出していた店主に、屋台を出さないかと声をかけてくれたそう。

暑い中歩き回って喉が渇いたので、西東京産の赤しそを使った「ペリーラソーダ」(500円)をいただきました。
お参りするだけではない居心地のいい境内は、子どもの遊び場にもいいですね!

救急外来のある総合病院「佐々総合病院」は駅北口から徒歩5分の近さ。

子どもの多い街だけあって、もちろん、保育園や児童館など子育て世帯のための施設もたくさん見かけました。

■子育て世帯とお年寄りが多い、自然豊かで住みやすい街です

最後に、田無在住20年弱の島本康則さんにインタビュー。学校給食の調理師をしており、早朝に出て夕方に帰宅し、田無駅周辺で食材を買って帰って、家族の夕食を作ることが多いのだとか。

▲中華料理店で働いた経験があり、キャンプでチャーハンを作るのが趣味という島本さん

(以下インタビュー。「 」内は島本さんのコメントです)

―――田無はどんな街ですか?
「駅の近くにお店が集まっていて買い物に便利だし、自然が近くにあって、住みやすいです。分譲マンションに住んで、23区内に通勤している30代共働きの子育て世帯が多いように感じます。年配の方も多いので、生涯住み続けられる街なんだと思いますね」

―――子育てしやすいですか?
「保育園や小学校が多くて、子育てしやすいと思いますよ。西東京市内の小学5・6年生が出場するドッジボール大会があって、毎年盛り上がっているみたいです。ドッジボールの強豪校もあって(笑)」

―――夕食の買い物などはどこですることが多いですか?
「田無アスタ専門店街の地下食料品売り場が多いです。野菜・肉・魚・惣菜などの専門店がそろっていて、新鮮な食材を安く買えるので、夕方はいつも大賑わいですよ。珍しい肉や魚も入手できます」

―――休日はどんなふうに過ごしていますか?
「自転車を使うとさらに行動範囲が広がるんですよね。全長約21kmの『多摩湖自転車道』を走ったり、『小金井公園』や『西東京いこいの森公園』に行ったり、ホームセンターに行ったり。キャンプが好きなんですが、大泉インターチェンジが近くて東北自動車道に乗りやすいので、車で東北方面に出かけることも多いですね」

■知名度も人気も上昇中! 今のうちにチェックしておきたいお得な街

地味な街なのでは、というイメージを持っていた田無ですが、コンパクトにまとまった商業エリアと緑豊かな街並み、閑静な住宅街と、住みやすい条件がそろっていると感じました。
これで地価や物価が低めとは、お得感アリ!
子育て世帯が多く移り住んできているというのもうなずけます。
チェーンだけでなく、変わりダネの飲食店やスポットが多くて、住んだら楽しそう。

まだチェックしていなかったという方は、ぜひ実際に街を訪れてみては?

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山賀沙耶(やまが さや)

編集プロダクション、出版社勤務を経て、フリーランスの編集ライターに。雑誌や書籍、ウェブメディアなどで活動中。自然と動物が好き。旅しながら仕事する生活を理想としつつ、いつも何かに追われている。
Instagram:https://www.instagram.com/jo_saya/