マンション売却の注意点!失敗を防ぐポイント・流れ・費用を解説

マンション売却で失敗しないためには、事前に不動産売却に関する知識を深めておくことが大切です。
この記事ではマンション売却の注意点とポイント、流れや発生する費用、不動産会社の選び方などについて、分かりやすく解説します。

1. マンション売却で失敗しないためには?

「マンションの売却を考えているけど何から始めればよいか分からない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?せっかくマンションを売却するのであれば、失敗して損はしたくないですよね。

マンション売却にはさまざまな工程がありますが、売却前にまず整理しておきたいのは、「お金」「時間」「必要な準備」についてです。ご自身が希望する成約価格とスケジュールを把握し、売却に必要な諸費用と書類を確認することから始めましょう。

マンション売却を不動産会社に依頼する場合は、信頼できる会社かどうかを見極めることも大切です。基本的には不動産会社に仲介を任せれば、プロの知識と経験で全面的にサポートをしてくれるので、安心かつスムーズです。ただし、本当に信頼できる会社かどうかを見極めるためには、売主自身がある程度、不動産売却に関する知識を深めておくとよいでしょう。

また、売却する不動産に付けられる価格には、査定時に提示される「査定価格(査定額)」と、実際に売り出される価格である「売り出し価格」、買主と売主で最終的に決めた契約時の価格である「成約価格」があります。これらは一般的に「売却価格」と呼ばれていますが、全て異なりますので初めに理解しておきましょう。

この記事では、マンション売却を考えている方や、マンション売却にまつわる知識を身に付けたい方に向けて、以下のような流れでマンション売却のポイントを解説します。

高層マンション
A.

マンション売却にかかる平均的な期間は、3ヶ月~半年程度といわれています。長期間を要する場合もあるため、査定から不動産会社選び、引渡しや確定申告までの流れを把握し、余裕を持ってスケジュールを立てることが大切です。
▶︎ マンション売却の進め方についての説明はこちら

A.

マンション売却にかかる費用の総額は、成約価格の3.5〜4%程度といわれており、不動産会社に仲介を依頼してマンション売却を行う場合にかかる仲介手数料や、繰り上げ返済手数料、引越し費用などが含まれます。このほか、売却によって生まれた収益である譲渡所得にかかる税金、印紙税などの諸費用も発生するため、綿密な資金計画を立てましょう。
▶︎ マンション売却時にかかる費用についてはこちら

A.

売却の流れの確認と併せて、必要書類を把握し、提出するタイミングを押さえましょう。必要書類は種類が多いため、提出する直前に書類がないと気付いて慌てることがないように気を付けましょう。必要書類の準備ができていないと、売却活動がスムーズに進まない原因となってしまうので、注意が必要です。
▶︎ マンション売却の準備項目についてはこちら

A.

数ヶ月にわたる長期戦となることも考えられるマンション売却においては、信頼できる不動産会社に仲介を依頼し、担当者とコミュニケーションを取りながらよい関係を築くことが大切です。不動産会社と結ぶマンション売却の契約にはいくつか種類があるため、それぞれの契約の特徴についてもチェックしておきましょう。
▶︎ 仲介を依頼する不動産会社の選び方はこちら

A.

マンション売却時に起こりがちなのが、スケジュール管理がうまくいかなかったり、予期せぬ出費が増えてしまったりといった失敗です。思わぬ形で不利益を被らないよう、意識すべきポイントを押さえておくことが重要です。
▶︎ マンション売却時の注意点についてはこちら

A.

成約価格の相場は、築年数や構造といった物件の条件だけでなく、各地域の持つ特性にも左右されます。そのような条件を網羅的に加味したうえで、適正な相場価格を割り出すためには、実績のある不動産会社に査定を依頼することが大切です。三井のリハウスの豊富な実績によるデータをもとに、マイホームの相場をシミュレーションしてみましょう。
▶︎ 地域ごとの成約価格の相場を調べるならこちら

A.

自分自身が住む予定のないマンションは、売却だけでなく「賃貸に出す」というのも選択肢の1つです。それぞれのメリットを比較して、後悔することがないように、納得できる形で売却か賃貸かを選びましょう。また、売却と賃貸で悩んでいる方は、売却と賃貸のどちらでも対応できる不動産会社に相談するとよいでしょう。
▶︎ 売却と賃貸の比較についてはこちら

マンション売却模型

2. マンション売却の流れ

不動産会社の仲介によるマンション売却は、一般的に以下のような流れで進みます。

事前準備
査定
媒介契約の締結
売却活動
売買契約
引渡し・決済
確定申告

それぞれのステップの要点について、注意点と併せて掘り下げていきます。

▶︎ マンション売却の流れに関する記事はこちら
▶︎ マンションの売り方のコツに関する記事はこちら

2-1. 事前準備

事前準備の要点は以下の3点です。詳しく見ていきましょう。

  • 希望する成約価格を考える
  • スケジュールを立てる
  • 必要書類をチェックする

マンション売却の事前準備は、「いくらで売りたいか」を考えることから始めましょう。住み替えを行う場合は、新居の購入や引越しにかかる費用も考慮する必要があります。そのうえで、成約価格をいくらくらいにしたいのか、考えるとよいでしょう。

次に、スケジュールを整理しましょう。マンション売却に要する期間は一般的に3ヶ月~半年程度といわれているため、売却したい時期から逆算して計画を立てておくと、売却をスムーズに進めやすくなります。また、相続したマンションを売却する場合、相続前、相続後のどちらのタイミングで行うかによっても、それぞれメリットと注意点があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

▶︎ 不動産相続に関する記事はこちら

電卓とスマホとノート

不動産売却に必要な書類もチェックしておきましょう。書類を事前に準備しておくことで、売却がスムーズに進むのに加え、購入希望者に書類を共有することができます。また費用に関する書類を早めに用意しておくと、購入希望者は資金計画を立てることができるため、購入につながりやすくなるでしょう。

▶︎ 必要書類の項目はこちら

2-2. 査定

マンション売却に必要な準備ができたら、不動産会社に査定してもらいましょう。査定とは、不動産会社が過去の成約事例に基づき、物件の成約価格を予想することを指します。マンションの査定方法には「AI査定」「簡易査定」「訪問査定」の3種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

AI査定とは、過去の取引事例をもとに、AIが査定価格を提示する方法です。匿名でできるものもあるので、「匿名査定」とも呼ばれています。

AI査定は住所や築年数などの物件情報を入力するだけで即座に査定価格が分かるため、最も手軽に受けられる査定方法です。ただし、注意点としてAIが算出しているため、不動産会社の営業担当者が査定を行う簡易査定や訪問査定に比べると精度の高い査定結果は見込めないことが挙げられます。そのため、マンション売却を決めたわけではないが検討し始めている方や、売却の意志が固まっておらず、参考までに成約価格の目安を今すぐ知りたい方におすすめの方法です。

累積取引件数100万件※の豊富な実績に基づいたリハウスAI査定で、所有しているマンションの相場価格をつかんでみましょう。

▶︎ リハウスAI査定はこちら
▶︎ AI査定に関する記事はこちら

不動産物件の間取り図

次に、簡易査定(机上査定)とは、物件情報に加えて、類似物件の成約価格や、公示地価(国土交通省が毎年発表する土地の価格)、路線価(国税庁が毎年発表する道路に面する1㎡あたりの土地の価格)なども考慮して査定価格を算出する方法です。

簡易査定は、次にお伝えする訪問査定と同様、不動産会社によって査定価格が算出されますが、自宅に担当者を招かないため、まとまった時間が取れなくとも気軽に査定を受けられるというメリットがあります。また、営業担当者と日程のすり合わせを行う手間もかからず、査定結果も通常数日以内に得られます。

ただし、AI査定と同様に簡易査定は書類上の情報のみで予想価格を導き出す方法であるため、正確さという観点では訪問査定のほうが優れている傾向にあります。おおまかな成約価格の目安を知りたい方や短期間で査定価格を知りたい方は、簡易査定を受けてみて、販売価格の概算値を知ることから始めてみましょう。

▶︎ 無料査定のお申込みはこちら
▶︎ ネットで申し込む家の査定に関する記事はこちら
▶︎ 不動産売却のコツに関する記事はこちら

一方で、訪問査定とは、物件情報に加え、室内や物件の周辺まで調べることで分かる物件の状況も加味して査定価格を算出する方法を指します。

訪問査定では、物件の状態や周辺環境まで加味した査定を行うため、AI査定や簡易査定より精度の高い査定結果を期待できます。また、訪問査定時に売却の目的や希望条件を担当者へ伝えることで、自分に合った売却戦略の提案を受けられる点もメリットです。

ただし、訪問査定では自宅に担当者を招く必要があるため、日程のすり合わせから査定当日の立ち会いも含め、AI査定や簡易査定より手間と時間がかかる傾向にあります。そのため、AI査定や簡易査定よりも細かい査定を受けたい方や、マンション売却が明確に決まっている方におすすめです。

不動産会社の営業担当者

査定価格は、不動産のプロによる客観的な予想価格です。査定価格を参考にすれば、「市場価格と乖離(かいり)した売り出し価格を付けてしまってなかなか売れない」、逆に「安過ぎる価格で売って損をしてしまう」といった失敗を防ぎやすくなりますよ。

査定価格の精度は、不動産会社の取引事例の数に左右されるため、取引実績が豊富な会社に依頼することをおすすめします。

▶︎ マンション査定の注意点に関する記事はこちら
▶︎ マンションの売却相場に関する記事はこちら
▶︎ 不動産査定に関する記事はこちら

2-3. 媒介契約の締結

売却活動を依頼する不動産会社が決まったら、売却の仲介を依頼するための媒介契約を不動産会社と結びましょう。媒介契約とは不動産売買の仲介を依頼する契約のことで、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。

それぞれの媒介契約は以下の通りです。

媒介契約の種類 概要
一般媒介契約
  • 複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約
  • 自分で買主を見つけて直接売買可能
  • 契約期間の定めなし(国土交通省の定める標準媒介契約約款では、専任媒介契約と同じ3ヶ月以内)
専任媒介契約
  • 1社の不動産会社とのみ契約できる契約
  • 自分で買主を見つけて直接売買可能
  • 契約期間は3ヶ月
専属専任媒介契約
  • 1社の不動産会社とのみ契約できる契約
  • 自分で買主を見つけて直接売買不可
  • 契約期間は3ヶ月

媒介契約を結ぶ際は、3種類それぞれのメリットと注意点を押さえたうえで、自分にとって望ましい形で売却活動を行える契約方法を選択しましょう。媒介契約については、以下の記事で詳しく取り扱っています。

▶︎ 媒介契約に関する記事はこちら
▶︎ 一般媒介契約に関する記事はこちら
▶︎ 専任媒介契約に関する記事はこちら

マンションの模型と電卓とペン

2-4. 売却活動

媒介契約を結んだら、売却活動を開始しましょう。売却活動は、以下の4つに分けられます。

  • 広告を掲載する
  • 内覧の準備をする
  • 媒介報告を受ける
  • 購入条件を調整する

まず、不動産会社を通じてホームページや各広告媒体への情報掲載を行い、購入希望者を募ります。なるべく多くの人の目に留まるように、これらの売却活動を積極的に行ってくれる不動産会社を選ぶことが理想的です。広告を目にした人に好印象を与えられるよう、見栄えのよい写真を撮る・選ぶといった工夫を施しましょう。

三井のリハウスではプロのフォトグラファーによる物件撮影を実施しています。また、静止画像では伝わりきらない物件の内観や眺望を、最大360°隅々まで確認できるパノラマコンテンツをご用意しております。

  • 一般的に撮影された内見写真

    一般的に撮影された内見写真
  • プロカメラマンが撮影した内見写真

    プロカメラマンが撮影した内見写真

次に、内覧の準備を行います。内覧は、購入希望者に直接対応して物件を見せる場面であるため、マンション購入の成約に直結する重要なポイントといえるでしょう。購入希望者が内覧を希望する日は、比較的週末が多い傾向にあります。予定がある場合は営業担当者に伝え、日程調整は事前に進めましょう。また、部屋の掃除をしておく、内覧中は各部屋の照明をつけて明るい印象にするなど、物件の印象をよくすると購入につながる可能性が高まります。

続いて、媒介報告を受けましょう。一般媒介契約以外の契約方法で物件を売り出した場合、不動産会社は売却活動中、売主に対して物件の販売状況を都度報告する義務があります。専任媒介契約においては2週間に1回以上、専属専任媒介契約においては1週間に1回以上の報告をしなければいけません。主な報告内容は、ホームページの閲覧状況や問い合わせ状況などです。販売戦略については営業担当から共有を受け、疑問点があれば気軽に質問しましょう。

媒介契約について説明を受ける夫婦

最後に、購入希望者から購入申込書が届いたら、希望者と条件を調整します。購入申込書に記載されている購入条件を確認しましょう。主な購入条件としては、購入価格(売り出し価格を前提に資金計画に基づいた希望価格を買主が記載したもの)や、手付金・内金・残代金といった支払い条件、契約日や決済日(物件の引渡し日)などのスケジュールがあります。

2-5. 売買契約

購入条件の交渉が成立したら、いよいよ売買契約の締結へと進みます。売買契約は売主と買主、仲介している不動産会社がそろって実施します。契約を結ぶ前に、重要事項説明書の読み合わせを行い、その後契約書に署名・捺印、手付金の受領などをすることが一般的です。

マンション売買時には、売主と買主との間で決められる成約価格や、売買するマンションの状態などの条件が記載された売買契約書を交わします。売買契約を結んだ後に、売主の都合でマンション売却をやめてしまうと、違約金を支払う必要があるため、注意しましょう。

2-6. 引渡し・決済

引渡し・決済では、以下の2点を行います。詳しく見ていきましょう。

  • 登記申請の手続き
  • 不動産の引渡し

引渡し当日は、「修繕積立金やマンションの管理費を含む残代金受領」「固定資産税等の精算」をして「登記申請の手続き」を行い、「売却不動産の引渡し」となります。引渡しと決済は同日中に行われることが一般的です。

引渡し・決済と併せて、不動産登記の手続きも行いましょう。不動産登記は土地や建物の所有者が誰なのかを明確にするために行われます。不動産売却時には抵当権抹消登記と所有権移転登記が行われますが、一般的に売主側が行う必要があるのは、抵当権抹消登記や住み替えによる所有者の住所変更登記などです。

▶︎ 抵当権に関する記事はこちら

確定申告をしている女性

2-7. 確定申告

マンション売却が済んだ後には、確定申告を行う必要があります。マンション売却によって収入が得られた場合、取得費や経費を差し引いた額が譲渡所得として扱われ、課税対象となるためです。この場合、納税額を申告する必要があり、確定申告を行わなければなりません。

確定申告はマンションを売却した翌年の2月16日~3月15日までの間に行う必要があります。年度によってスケジュールがずれることもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

e-Taxを利用することで、インターネット上でも確定申告ができます。自宅から簡単に行えるので、忙しい方におすすめです。また税金の支払いもインターネットを通して行えます。

譲渡益が出たのに確定申告を行わないと、延滞税や無申告税、重加算税といったペナルティが課せられる恐れがあるため、注意が必要です。一方で、確定申告を行うことで節税につながったり、譲渡所得がマイナスであったとしても還付を受けられたりといったメリットがあります。

確定申告を行うことで節税につなげられる制度としては、「譲渡益が出た場合の3,000万円特別控除」や、「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」などがあります。詳しくはこちら、または以下の記事をご覧ください。

▶︎ 控除の特例に関する記事はこちら
▶︎ 不動産譲渡税に関する記事はこちら
▶︎ 確定申告が必要なケースを確認するにはこちら

マンションの間取り図と電卓

3. マンション売却にかかる費用

資金計画を立てるためには、マンション売却にどれくらいの費用がかかるのかを把握しておくことが大切です。ここからは以下のような流れでマンション売却にかかる費用を解説します。

マンション売却にかかる費用 概要
仲介手数料 不動産会社に対して支払う報酬
印紙税 契約時の書類にかかる税金
登記費用 不動産登記に対してかかる登録免許税と、登記を司法書士や土地家屋調査士に依頼した場合の報酬
所得税・住民税 不動産売却益(譲渡所得)にかかる税金

3-1. 仲介手数料

仲介手数料とは、不動産会社に対して支払う報酬のことで、売買契約成立後に支払います。成約しない限りは発生しない費用です。物件の成約価格によって仲介手数料は変わりますが、400万円超の場合、仲介手数料の上限価格は以下のように決められています。

仲介手数料の上限=
成約価格の3%+6万円+消費税

不動産売却の仲介手数料について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

▶︎ 仲介手数料に関する記事はこちら
▶︎ 仲介手数料の計算に関する記事はこちら
▶︎ 仲介手数料の消費税に関する記事はこちら

快晴の空とマンション

3-2. 印紙税

印紙税とは、契約時の書類にかかる税金です。書類に収入印紙を貼り付けることで納税したものと見なされます。成約価格が高くなるほど、収入印紙の金額は大きくなります。印紙税の金額については、以下の国税庁のサイトをご覧ください。

▶︎ 印紙税の金額についてはこちら

3-3. 登記費用(抵当権抹消)

マンション売却には不動産登記に関する費用を支払う必要があります。ここでは売主側が負担する抵当権抹消登記の費用をお伝えします。

原則として、不動産売却を行うには、住宅ローンの完済が必要です。金融機関は、住宅ローンの返済が滞った場合に、土地や建物を担保にすることができる「抵当権」を持っています。住宅ローンを完済しても、その抵当権が自動的に抹消されることはありません。

そのため、マンション売却時にローンの残債を完済する場合は、抵当権を抹消し、住宅ローンの担保にかけられている状態を解消する必要があります。抵当権が残った状態では、買主側としては物件が債権者に差し押さえられるリスクを伴うため、購入しにくくなってしまいます。

なお、成約価格が住宅ローンの残債を上回る状態をアンダーローン、下回ってしまうことをオーバーローンといいます。アンダーローンの場合はそのまま売却して、売却代金をローンの返済に充てることができますが、オーバーローンの場合には、一般的にローン残債を自己資金で解決するか、任意売却という方法で売却することになるので注意が必要です。

家の売却におけるアンダーローンとオーバーローンの違い。アンダーローン:残債が残らない、オーバーローン:残債が残る…

任意売却とは、債権者である金融機関の許可が得られれば、住宅ローンの残債がある場合でも売却できるという方法です。ただし、信用情報に履歴が残ってしまうという注意点もあるので、判断は慎重に行う必要があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

▶︎ 住宅ローン残債があるマンションの売却に関する記事はこちら
▶︎ 任意売却に関する記事はこちら
▶︎ 任意売却の流れに関する記事はこちら

確定申告の計算に関する画像

抵当権抹消登記に関する費用は、登録免許税と登記情報代、郵送代の主に3つです。登録免許税は不動産1つに対して1,000円がかかります。また、抵当権抹消登記は個人でも行えますが、司法書士に依頼する場合は、別途司法書士へ報酬を支払わなければなりません。

一般的に、抵当権抹消登記の費用は売主が負担しますが、不動産の所有権が売主から買主に移ったことを証明するための「所有権移転登記」については、買主側が負担することが一般的です。

▶︎ 抵当権抹消手続きを自分で行う方法についてはこちら
▶︎ 所有権移転登記に関する記事はこちら
▶︎ 登記費用に関する記事はこちら

税金申告書と眼鏡と電卓

3-4. 所得税・住民税

不動産売却で得た利益を譲渡所得といい、これは成約価格から物件の取得費や売却費用を差し引いたものになります。この譲渡所得には所得税と住民税などが課せられ、これらの税金を合わせて「譲渡所得税」と呼ぶこともあります。

▶︎ 譲渡所得にかかる税金の計算方法はこちら

不動産模型

譲渡所得に税金がかかるのは、売却益が発生した場合に限られます。譲渡所得がマイナスとなってしまった場合は「譲渡損失」として扱われ、所得税や住民税を支払う必要はありません。

また、譲渡所得にかかる税額を抑えられる特例はいくつか存在し、知らない状態で納付をすると本来支払う必要のない額の税金を納めてしまう可能性があります。また、譲渡損失の場合も税制上の優遇措置を受けられる場合があるため、特例の条件に当てはまるかチェックしてみるとよいでしょう。

▶︎ マンション売却の税金シミュレーションはこちら
▶︎ 居住用財産3,000万円控除に関する記事はこちら

4. マンション売却の準備項目を押さえる

取引をスムーズに進められるように、マンション売却前には書類や費用の事前準備をしておくとよいでしょう。ここではそれぞれの準備項目を詳しくご紹介します。

4-1. 必要書類

マンション売却時には、売却の段階に応じて複数の書類を準備する必要があります。書類の入手先もそれぞれ異なるため、事前に確認し、早めに入手しておくと安心です。必要書類の項目や入手先、必要となるタイミングは以下の通りです。

必要書類 入手先 必要なタイミング
権利証(または登記識別情報通知書) 紛失してしまった場合は法務局
  • 査定
  • 売買契約
  • 引渡し
マンションの管理規約 マンションの管理組合または管理会社
  • 媒介契約
  • 引渡し
固定資産評価証明書(または固定資産税納税通知書) 紛失してしまった場合は市役所
  • 売却活動
  • 売買契約
  • 引渡し
マンションのパンフレット(間取り図などが分かるもの) -
  • 査定
  • 引渡し
購入時の売買契約書 -
  • 確定申告

なかでもマンションの「権利証」(登記識別情報通知書)は物件の所有者を証明する書類となるため、特に重要度が高い書類です。

▶︎ 不動産売却の必要書類に関する記事はこちら

マンション模型とお金

4-2. 諸費用

書類以外にも、事前に準備しておくことが望ましい項目として、諸費用が挙げられます。諸費用のなかには、まとまった金額となるものもあるため、資金計画を立てるうえで確実に押さえておきましょう。諸費用の詳細は以下の通りです。

必要なタイミング 費用の項目
売買契約時
  • 仲介手数料の半金
  • 収入印紙(売買価格により異なる)
引渡し時
  • 登記費用(抵当権抹消登記等がある場合)
  • 仲介手数料の半金

それぞれの費用の詳細な説明は、「3.マンション売却にかかる費用」からご確認ください。

5. 不動産会社の選び方

マンション売却において、不動産会社に仲介を依頼する際は信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。不動産会社の信頼度を見極める基準はいくつか存在しますが、代表的なものを2点ご紹介します。

マンション売却の打ち合わせをしている男女

5-1. 査定価格の根拠を聞く

不動産会社に提示された査定価格の根拠を尋ねたとき、納得のいく返答をしてくれるかどうかは1つの判断基準となるでしょう。

相場価格よりもかけ離れた査定価格を提示された場合に、そのまま販売価格として設定してしまうと、成約までの期間が長くなったり、そもそも売れなかったりと思わぬ形で不利益を被ってしまうことも考えられます。マンションが売れ残ってしまう可能性や、売却の利益が期待できなくなってしまうリスクもあるため、査定価格の根拠をきちんと聞くことが大切です。

不動産取引で握手している様子

5-2. 宅建業の免許番号を調べる

宅地建物取引業の免許番号を調べることも1つの判断基準となります。なぜなら、免許番号を調べることで、免許の更新回数が分かるからです。宅地建物取引業法により、宅建士資格の更新は5年ごとと定められています。免許番号に記載されている数字が大きいほど経験年数が長く、経験年数は信頼度を図る1つの指標ともなるため、確認しておくとよいでしょう。

また、信頼のおける不動産会社を見つけるために口コミを確認するのもよいでしょう。口コミはその会社のサイトに載っているものだけでなく、外部サイトの口コミも確認すると、よりリアルな情報を得られるのでおすすめです。不動産会社によって強みはそれぞれ異なるため、マンション売却の面で実績のある不動産会社に依頼することをおすすめします。

▶︎ 不動産会社の選び方に関する記事はこちら

6. マンション売却時の注意点

売却時の注意点を知っておくと、事前にトラブルを防げるほか、損をしない売却につながります。

6-1. 売却のタイミングを見計らう

マンションの売却を行うタイミングを見計らうことは大切です。新生活が始まる4月に向けてマンションを購入する人が多いため、中古マンション市場は2~3月に活発化する傾向があります。2~3月に売却するとなると、6ヶ月前の8~9月には事前準備に入っておくとよいでしょう。

▶︎ マンションの売り時に関する記事はこちら

6-2. 相場価格を参考に売り出し価格を決める

売却活動を行う際には、自分で売り出し価格を決める必要があるため、査定時に提示された査定価格を参考にしましょう。その際には、不動産会社の営業担当者に査定価格の根拠を尋ねることも大切です。

上記でもお伝えしたように、売り出し価格が高過ぎると売れ残ってしまったり、低過ぎると損をしてしまったりする可能性があるので、適切な売り出し価格を設定するためにも相場を把握しておく必要があります。

査定価格のほか、過去の取引事例を知ることも相場価格の参考になりますよ。国土交通省のホームページである「不動産取引価格情報検索」で調べられます。

6-3. 余裕を持ったスケジュールを立てる

売却には最低でも3ヶ月ほどかかるため、スムーズに進められるようスケジュールを立てておくことが大切です。いつまでに売りたいかといった期限も決めておくとよいでしょう。売れなかった場合は売却方法を変えてみると、売れ残りを防げる可能性もあります。

また売買契約が完了した後は、売主は引渡し日までに新しい住居に引越さなければなりません。引越しまでに行うべきことを整理して、計画的に行動しておけば、住み替えで慌てるリスクを避けられます。引越しまでに必要となる準備は以下の通りです。

時期 準備内容
引越し1ヶ月前
  • 引越し方法の検討と業者の手配
  • 荷造りや粗大ごみの手配
  • 駐車場解約の手続き
  • 学校の転校手続き
引越し2週間前
  • 電話の移転・郵便物転送の手配
  • 役所への転出届の提出
  • 電気、ガス、水道会社への届け出
引越し当日から引渡し直前
  • 電気、ガス、水道の開栓(当日)
  • 住所変更の手続き(引越し後)
  • 売主と買主の立ち会いのもと、最終の引渡し前確認

引越し前後では準備することが多いため、忘れないようにチェックリストを用意し、1つ1つ確認しながら準備を進めましょう。

▶︎ 引越しに際しての注意点に関する記事はこちら
▶︎ 引越し費用に関する記事はこちら
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指を立てる男性

6-4. 瑕疵を正確に伝える

売買契約を結ぶ際に、「契約不適合責任」を問われないように注意しましょう。これはかつて「瑕疵担保責任」と呼ばれていたもので、目的物の種類や品質、数量に関して、契約の内容に適合しなかった場合、売主が負担する責任となります。

2020年4月の民法改正によって、通知や失効までの期間、買主に認められた権利の範囲などが変わり、売主にとってのリスクがより大きくなってしまいました。引渡しから一定期間、売買契約書に書かれていなかった家の不具合を買主が発見した場合、契約不適合とされ、損害賠償請求や契約解除、追完請求、代金減額請求をされることがあります。

契約不適合責任を問われないようにするためには、売買契約書にきちんと瑕疵の事実を表記し、家の不具合を買主に伝えておくことが大切です。また、売買契約前の住宅診断である「インスペクション」を利用するのもよいでしょう。

▶︎ 瑕疵担保責任に関する記事はこちら
▶︎ インスペクションに関する記事はこちら
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積まれた段ボール

しかし、瑕疵がないか念入りにチェックしたとしても、「マンション売却後も契約不適合責任を問われないか不安…」と感じる方もいるのではないでしょうか?そのような方には、三井のリハウスの「建物チェック&サポート」の利用がおすすめです。三井のリハウス独自の仲介サポート「360°サポート」に含まれるこのサービスでは、売却後に瑕疵が見つかっても、一定の範囲内で補修費用を負担させていただくため、売主の費用負担の軽減が可能です。以下よりお気軽にチェックしてくださいね。

▶︎ 建物チェック&サポートはこちら

6-5. リフォームの検討は慎重に行う

マンション売却を検討している方のなかには、売却前にハウスクリーニングやリフォームを行って、成約価格を高くしたいと考えている方もいるのではないでしょうか?しかし、リフォームを行う場合は注意が必要です。なぜなら、リフォームを行ったことによる成約価格の上がり幅よりもリフォームにかかった金額のほうが大きい場合、損失になってしまうためです。マンション売却前のリフォームを検討している場合には、不動産会社と相談のうえで実施するとよいでしょう。

▶︎ ハウスクリーニングの相場に関する記事はこちら
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6-6. 確定申告を忘れずに行う

先にも述べた通り、売却により譲渡所得が生じた場合は、1年間の所得とその所得税を計算し、申告を行わなければなりません。確定申告の期間は、マンション売却を行った翌年の2月16日~3月15日の間です。申告が遅れると延滞税をはじめとするペナルティがかかる場合があるため注意が必要です。

また、確定申告は譲渡所得にかかる税金の控除を受けるためにも必要なものとなります。譲渡益がある方、譲渡損失がある方、どちらにも控除を受けられる可能性があるので確認してみてください。譲渡所得にかかる税金に関する特例には、以下のようなものが存在します。

譲渡損益 受けられる控除の特例
譲渡益
  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
  • 長期譲渡所得の税額を通常の場合よりも低い税率で計算する軽減税率の特例
  • 所有期間が10年以上の場合の軽減税率の特例
譲渡損失
  • マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

▶︎ 長期譲渡所得に関する記事はこちら

確定申告の手続きに不安がある場合は、マンション売却時の担当者に相談してみましょう。また、三井のリハウスでは、確定申告に関する疑問点を解決するうえで役立つ、予約制の税理士による個別相談会を実施しております。ぜひ、お近くの三井のリハウスまでお問い合わせください。

▶︎ 【三井のリハウス】店舗を探すにはこちら

確定申告を行う男女

7. マンション売却の際は都道府県ごとの相場価格を調べよう

三井のリハウスでは、マンションの査定価格と相場価格を、地域区分や都道府県ごとに調べられるサービスを用意しています。売却したいマンションがある都道府県をクリックして、査定価格や成約価格の相場を確認してみてください。

8. マンション売却を検討の際は賃貸もおすすめ

ここまでマンション売却に関係するさまざまな情報について解説してきましたが、いかがでしたか?マンション売却はさまざまな工程を踏む必要があることに加え、知識も必要となるため、ここで解説した基礎知識を売却前にしっかり身に付けることが大切です。

マンションの外観

マンションの活用方法としては、売却だけでなく賃貸も考えられます。賃貸のメリットは、居住者が家賃を支払うため、安定した収入が見込まれることでしょう。しかし、居住者が集まらず、空室となってしまった場合は赤字になるリスクがあることに加え、確定申告に手間がかかるといった注意点も存在します。マンション売却と賃貸、どちらが自分に合っているか見極めて、所有しているマンションを活用するとよいでしょう。どちらも相談できる不動産会社であれば、物件に合わせて売却か賃貸かを考えることができるため、おすすめです。

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また、この記事では一般個人の買主に対して売却する方法をご紹介しましたが、ほかに「買取」という売却方法もあります。買取とは、中古物件にリフォームを施し付加価値を付けて再販売する不動産会社に、物件を買い取ってもらうことです。

売却価格は一般個人の買主に売却するより低くなりますが、「買い手を探す手間がかからずスピーディーに売却できる」、上記でお伝えした「契約不適合責任が免責になる」というメリットもあります。「とにかく早く売却したい」「時間がかかってもいいので高く売却したい」など、ご希望の条件に合わせて売却方法を選びましょう。

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三井のリハウスでは、「マンションを売却するならどこがいいかを迷っている方」や、「マンションを貸したい方」「買取で売却したいと考えている方」へのサービスも豊富にご用意しております。不動産売買や不動産賃貸をはじめ、不動産に関するご相談や査定依頼なら、いつでもお気軽に三井のリハウスをご活用ください。

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  • 1975年の売買仲介業務開始以来の累積取扱件数