
不動産価格査定とは?不動産の売却に向けた査定方法を分かりやすく解説
不動産の売却を検討する際に、売り出し価格の目安として査定価格を算出します。不動産の査定は不動産会社に依頼するのが一般的です。本記事では査定方法や必要書類など詳しく解説します。
目次
不動産価格査定とは?
土地や家などの不動産を売却するには、まず不動産価格査定を行うことが一般的です。不動産価格査定とは、不動産会社に売却したい不動産がいくらで売れそうかを算出してもらうことを指します。ただし、算出された査定価格は、あくまで売り出し価格の参考にするだけで、その価格がそのまま成約価格になるわけではありません。今回は、不動産を売却したい人に向けて、不動産価格査定の基礎知識をお伝えします。
まず、不動産価格の査定には、依頼先によって料金が発生する査定と、発生しない査定の2つがあります。それぞれの内容について見ていきましょう。
不動産会社が無料で行う査定のこと
1つ目は、不動産会社によって無料で行われる価格査定です。 不動産を売却するときに依頼する査定の場合は、こちらが一般的です。この査定では、不動産会社が売却したい不動産はいくらで売れそうかを算出します。
不動産鑑定士による有料の査定もある
不動産会社に依頼する無料の査定のほかに、不動産鑑定士に依頼する有料の査定もあります。たとえば、相続や離婚などで裁判所の調停が必要になり、不動産の評価額が証拠として必要となる場合は、不動産鑑定士に有料の査定を依頼することが一般的です。
なぜなら、不動産鑑定士が算出する鑑定評価額は国が定めた鑑定評価基準の手順に基づいて求められており、同じく国の機関である裁判所や税務署などが、適切な手順に基づいて求められた価格として扱ってくれるからです。
公的な文書で用いるといったことではなく、売却の際に不動産の金額的な価値を参考として知りたい場合は、不動産会社による無料の査定で十分でしょう。今回は不動産価格の査定のなかでも不動産の売却に向けた、不動産会社による無料の査定について分かりやすく解説していきます。
不動産価格の査定方法とは?
不動産価格の査定には、各不動産会社にネットや電話を通して依頼できる簡易査定、物件情報をもとにAIが査定額を算出するAI査定、不動産会社の担当者が、実際に不動産のある場所に訪問して詳細に査定する訪問査定の3種類があります。ここでは、この3つの査定方法の違いについてご紹介していきます。
簡易査定(机上査定)
簡易査定は、相場価格をおおまかに把握できる査定です。この査定では、住宅地図や登記簿謄本、公図、周辺の類似した不動産の成約事例などの情報から、不動産の査定価格を算出します。売却したい物件を実際に訪問せず、机上のデータの比較のみで査定することから、「机上査定」とも呼ばれます。
簡易査定は、まとまった時間を取らずに手軽に査定できることや、通常数日以内に査定結果を知ることができるのが特徴です。また、インターネットやメールなどを利用して依頼することができます。
簡易査定を依頼する際に入力する情報は、住所、物件の種類(マンション・一戸建て)、築年数、面積、間取りなどです。入力する情報が多いほど、算出される査定の精度が高まります。しかし、査定は書類上の情報だけで予想価格を導き出す方法であるため、精度という観点では訪問査定のほうが優れている傾向にあります。
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AI査定
近年、取り入れる不動産会社が増えているAI査定。AI査定は、スマホやパソコンから簡単に査定ができ、Webのみで完結します。また電話番号を入力する必要がないため、査定後に営業担当者から電話がかかってくる心配がなく、より気軽に査定したい人におすすめです。
AI査定は、蓄積された物件の取引情報のデータから査定額が自動的に算出されます。そのためAI査定を利用する際には、取引実績が豊富な不動産会社に依頼するのがおすすめです。三井のリハウスでは、100万件の取扱実績に基づいたデータを使用しているため、高精度な査定額を知ることができますよ。
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訪問査定
訪問査定では、不動産会社の担当者が実際に物件のある場所へ訪問し、査定額を算出します。
訪問査定では、査定する物件の日当たり、騒音、振動、高低差、経年劣化、リフォームの有無、デザイン性といった建物の状態、室内の使用状況のほか、周辺施設に至るまで、不動産会社の担当者が細かくチェックします。不動産会社の担当者が現場に訪問し、依頼者である自身もその場に立ち会うため、担当者に分からないことや気がかりなことを相談しましょう。
一方で、訪問査定では自宅に担当者を招く必要があるため、日程のすり合わせや査定当日の立ち会いなどの手間と時間がかかるでしょう。不動産の売却が明確に決まっている人といった、簡易査定やAI査定よりも精度の高い査定を受けたい人におすすめです。
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査定での注意点は?
ここでは、不動産価格査定での注意点をお伝えします。不動産の売却を満足のいくものにするために、査定の段階で気を付けたいことをご紹介します。
「査定価格 = 売却」を保証するもの価格ではない
不動産価格の査定によって提示される価格は、買主と売買契約を交わして得られる成約価格と一致するとは限りません。
不動産売却に関係する価格には、査定時に提示される「査定価格」と、実際に売り出される価格の「売り出し価格」、買主と売主が契約する価格の「成約価格」があります。売り出し価格は、不動産会社から提示された査定価格を目安にして決めるもので、売主が「媒介契約」を交わした不動産会社と相談して決定します。なお、媒介契約とは不動産の売却活動にあたって、不動産会社と交わす契約のことです。
売り出し価格は購入希望者を募るうえで重要な要素となるため、慎重に検討しましょう。売り出し価格を見て集まった購入希望者のなかから最終的な買い手を選びますが、その際に購入希望者と売買交渉の末、実際に売買契約を交わす際の「成約価格」を決定します。
相場を把握する
依頼した不動産会社から算出された査定価格が妥当かどうか判断するために、自分でもある程度の相場は把握しておくようにしましょう。不動産会社が掲載している物件情報や、不動産の成約事例をまとめた不動産取引情報提供サイトである、レインズマーケットインフォメーション、国土交通省が実際の不動産取引情報についてまとめた土地総合情報システムなどを利用して、相場を自分でも調べておくとよいです。
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査定価格の根拠を確認しよう
不動産会社が提示した査定額に対して、なぜその査定額になったのかを聞くようにしましょう。不動産会社のなかには、よい印象を持ってもらうためにあえて高く査定額を出す会社もあります。提示された査定額が現実的ではない場合は、売れ残ってしまう可能性が高くなるため注意が必要です。
ただし、具体的な見込み客がいる場合には、高い価格が提示できる場合があります。見込み客がいる場合には、見込み客はどのような人で、どのような目的で高い価格でも買いたいといっているのかしっかり確認しましょう。具体性があり、信頼できる内容かどうかを確認することが大切です。
実際に媒介契約を結ぶ会社を決める際に、査定で提示された価格だけを判断材料にするのはおすすめしません。なぜなら提示された査定価格は、不動産会社が売却を保証する金額ではなく、あくまで目安であるためです。
媒介契約を結ぶ会社は、購入希望者を募り、買い手との具体的な売買交渉の末に、売買契約を交わすまでのパートナーとなります。査定価格だけではなく、担当者の説明の分かりやすさや、対応の誠実さ、信頼がおける会社かどうかといった要素を見極めて不動産会社を選びましょう。
査定価格に影響するポイントを把握しておく
不動産の価格査定を依頼するときには、査定価格に影響するポイントを把握しておきましょう。査定では、以下のようなポイントがチェックされます。
チェックポイント | チェックの内容や傾向 |
---|---|
築年数 | 通常、築年数が新しいほど評価が高い |
立地 | 交通の利便性や商業施設へのアクセスのよさ、周辺環境や住環境の快適さなど |
建物 | 基礎や躯体などの構造や1981年6月1日以降に建築確認申請を通した建物か、耐震適合証明書はあるかといった耐震性など |
維持管理状態 | メンテナンス履歴から管理状態の良好さやインスペクションの有無など |
間取り | ファミリー層向けの建物であれば3LDKといった間取りの使い勝手のよさ |
日当たり | 方角では南向き、集合住宅では高層階ほど評価が高くなる傾向 |
景観や眺望 | 高層階や首都圏であれば東京タワーや富士山が見えるといった眺望のよさ |
上記以外のチェックポイントとしては、一戸建てであれば土地の形状や接している道路の幅、集合住宅であれば建物内の住戸の位置や、エントランスや駐輪場といった共用部分の清掃状況、管理人の勤務状況などがあります。
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【家の売却ガイド】初めて不動産を売る人向けの基礎知識 – 家の売却成功を左右する査定価格
査定の流れは?
ここでは訪問査定の具体的な流れをご紹介していきます。
[ 1 ] 訪問査定を依頼する
不動産の売却が具体的に決まっている場合は、不動産会社に訪問査定を依頼するのがおすすめです。その際は、取引実績が豊富で信頼できる不動産会社に訪問査定の依頼をしましょう。
依頼のタイミングで査定してもらう訪問日を決めます。現在住んでいる家を売却する際には、当然立ち会いが必要となりますが、売主が住んでいない空き家の売却を検討している場合でも、不動産会社の担当者から立ち会いを求められることがあります。
訪問査定の際に、建物の劣化状況や設備の故障を把握していれば、担当者に伝えましょう。なぜなら劣化や故障の報告漏れがあった場合、売却後にトラブルに発展する可能性があるためです。
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[ 2 ] 訪問してもらい、現地調査をする
あらかじめ設定した日時に不動産会社の担当者が現地調査を行います。おおむね1時間ほどで実施される現地調査では、建物や土地の調査だけでなく、担当者から不動産に関して質問されることがあります。また、基本的に建物の内部も調査されるので、訪問前は可能であればきれいに清掃しておくようにしましょう。
[ 3 ] 査定結果をもらう
現地調査が終わると、いよいよ査定結果の報告です。査定結果は、1〜2週間程度で分かります。報告は口頭で説明されることもあれば、報告書による書面で報告されることもあります。先ほどもお伝えした通り、査定結果を踏まえて、なぜその査定結果になったのか必ず根拠を確認しましょう。
このあと、不動産会社と売却の仲介を依頼するための媒介契約を結びます。上記でお伝えした通り、媒介契約とは不動産売買の仲介を依頼する契約のことで、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、売主はどの契約を結ぶのかを選ぶことができます。
●媒介契約に関する記事こちら
媒介とは?仲介や一般媒介などの違いを一挙解説!
査定時にあるとよい書類は?
訪問査定の流れをご紹介しました。続いて、査定の際にあるとよい書類をお伝えします。書類がそろっていると、不動産価格査定の精度が上がります。簡易査定では特に書類が要求されることはありませんが、訪問査定を受ける際は、最低でも登記権利証または登記識別情報の有無を確認されるでしょう。それらは不動産の売却が所有者本人であることを確認するために必要な書類です。
さらに、訪問査定から媒介契約までの間にそろえておきたい書類は増えます。売却活動にあたり、売却する不動産の条件を不動産会社がしっかり確認するためです。たとえば、一戸建てや土地の場合は「確定測量図」、マンションや一戸建ての場合は購入時のパンフレットなどを用意しておくとよいでしょう。
では、確定測量図を含め、不動産価格査定であるとよい書類についてより詳しくお伝えします。
登記権利証または登記識別情報
「登記権利証」または「登記識別情報」は、売却すると決めた段階でそろえておきましょう。どちらも不動産の所有者を明確にする書類です。物件を購入または新築したときに、所有者として新たに登記すると発行されます。通常は、購入・新築した際、不動産会社または司法書士から受け取ります。非常に大切な書類であるため、所有者が保管しているものです。なお、いかなる理由でも再発行はされません。
査定時は、依頼者が真の所有者であるか否かの確認がなされるため、登記権利証または登記識別情報を提示できるように準備しておきます。また、登記権利証または登記識別情報は引渡し時に買主へ引渡す重要書類となります。
確定測量図と境界確認書
一戸建ての売却や土地売却をするならば、「確定測量図」と「境界確認書」は、訪問査定時までにそろえておきましょう。確定測量図とは、土地の測量を行い、隣接する土地の所有者と、その境界が正しいかどうかの確認を取った測量図のことを指します。境界確認書は、確定測量図を作成した際、隣接する土地の所有者と境界線に相違ないと証明した書類になります。
確定測量図や境界確認書は作成に時間がかかるため、それらがないとすぐには売却できないことになります。不動産会社はすぐに売れる物件かどうかを把握するため、査定時に確定測量図の有無を確認することが一般的です。なお、マンションの売却の場合、通常は土地の境界が確定しているため、確定測量図と境界確認書は不要となります。
通常の場合、建売の一戸建てや分譲の土地を購入すると、買主は売主である不動産会社から確定測量図と境界確認書を受け取ります。また、一戸建てや土地を売却するときは、確定測量図も引渡すことが条件とされるのが一般的です。確定測量図と境界確認書を作成する場合は、測量士と土地家屋調査士に依頼します。
確定測量図と同じ目的の書類に、「地積測量図」「建物図面」「公図」などがあります。どの書類も不動産の所有者ではなくても法務局で入手できます。地積測量図とは簡易な土地の実測図、建物図面とは建物の形状と敷地の関係を示した図面、公図とは物件の大まかな位置や形状、地番を表した地図です。これら3つは公的な書類ではありますが、不動産会社側で入手することが可能であるため、確定測量図と境界確認書を用意しておけば十分でしょう。
建築確認済証と検査済証
建物を売却するなら、「建築確認済証」と「検査済証」は依頼する際にそろえておくとよいでしょう。建築確認済証とは、これから建築する建物が適法であることを証明する書類で、建築確認済証がないと建築を始めることができません。また、検証済証は、完成した建物が建築基準法に則って建設されたことを証明する書類を指します。これらの書類は物件を新築または取得したときに受け取っているものです。
注意したいのは、一戸建てやアパート1棟の土地建物で検査済証がないと、購入時に銀行といった金融機関による融資が受けられないケースがあることです。住宅ローンが組めない物件では買主が現れない可能性があるため、検査済証の有無は査定価格を左右します。
購入時の売買契約書・重要事項説明書
売買契約書とは売主が物件を取得する際に、どのような条件で購入したかを明らかにする書類を指します。一方で、重要事項説明書とは、物件に関する権利や公法上の規制、近隣との申し合わせなど、不動産にかかわる重要な事項を明らかにする書類です。
購入するときの売買契約書は物件を購入する際、重要事項説明書は売買契約時に、それぞれ買主が受け取る書類です。この2つは不動産会社が事前に入手できないため、査定時にコピーを渡してあげると親切でしょう。
登記簿謄本(登記事項証明書)
登記簿謄本とは、登記している不動産の権利の状況や、土地の面積や建物の構造など不動産自体の状況を明らかにする書類です。登記簿謄本は所有者ではなくとも、不動産会社側が法務局で取得することができます。
リフォームの実績を示す書類
過去に建物をリフォームしている場合は、リフォーム箇所が分かる書類があれば準備するのもよいでしょう。特に、大規模なリフォームを行った場合は、提示できる書類がなくても、その事実はリフォームした箇所、時期、設備の仕様など分かる範囲で伝えると査定がスムーズに進みます。またマンションならば長期修繕計画表を用意しておくのがおすすめです。
建築設計(完成)図書
建物を売却するなら「建築設計図書」か、購入時のパンフレットを売却活動の内覧時までには用意しておきましょう。建築設計図書とは、建物の設計図面のことを指します。建物が着工した後に設計時から工事中に修正された場合には、完成図書(竣工図)が作成されます。マンションの場合は、購入した際のパンフレットを代用することができます。これらの書類で間取りを伝えることができるため、購入希望者が物件を検討するときの有益な情報源となるのです。
管理費・修繕積立金の記載書類
マンションを売却するなら、マンションの管理費や修繕積立金額および滞納の有無が分かる書類を訪問査定時に用意するのがおすすめです。たとえば、築年数がたつとともに、マンションでは修繕費が高くなりやすく、購入者にとっては大きな負担となります。そのため、管理費と修繕積立金の金額が査定価格に影響を与えることがあるのです。そこで、査定時点では特に書類がない場合でも、口頭で構わないので正確な金額を伝えるようにしましょう。
固定資産税(・都市計画税)納税通知書または固定資産評価証明書
「固定資産税(・都市計画税)納税通知書・固定資産評価証明書」は、売買契約を結ぶ前までにそろえておきましょう。これらの書類は、その年の固定資産税や、都市計画税の税額、その計算根拠となる不動産の価格(課税標準)が記されたものです。
固定資産税(・都市計画税)納税通知書の発行時期は自治体によって異なり、毎年4月下旬~6月頃に不動産の所有者に送り届けられます。固定資産評価証明書は市区町村(東京都は都)の役所の窓口で取得するか、役所のホームページから申請し、郵送で取得できます。ただし、原則として所有者しか取得できず、所有者以外が取得するには所有者からの委任状が必要です。
通常、これらの書類をもとに、物件の引渡し時に税金の精算が行われます。固定資産税や都市計画税の納税義務者は1月1日時点の所有者であり、途中で売却しても1年分の税金の支払い義務があります。ただし、引渡し日以降の固定資産税をはじめとした税金は、買主が負担することが合理的です。そのため、引渡し日以降のこれらの税金を割り出し、その金額を買主から売主に渡すことで負担の公平化を図ります。
●固定資産証明書に関する記事はこちら
固定資産評価証明書とは?手数料や取得の方法などを分かりやすくご紹介
住宅性能評価書や耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書など
建物を売却するなら、「住宅性能評価書」や「耐震診断報告書」、「アスベスト使用調査報告書」などの書類を訪問査定時までにそろえておきましょう。住宅性能評価書とは客観的に建物の安全性や劣化の度合、快適な環境であるかなどについて評価した書類を指します。また耐震診断報告書とは建物の耐震構造の診断結果を示す書類、アスベスト使用調査報告書とは建物のアスベスト使用の有無を示す書類です。
ご紹介したどの書類も国による基準で第三者機関が評価し、有料で発行します。義務ではないため、必ずそろえておかなければならない書類ではありません。ただ、建物の安全性を評価する基準として査定価格に影響するほか、購入希望者が購入を検討するうえでの安心材料となるなど、売却にメリットをもたらす可能性があります。
査定前に押さえるべきチェックポイントは?
納得のいく売却につなげるためには、査定前から入念に準備をしておくことが大切です。先ほどお伝えした書類をそろえるほかに、どのような準備をしておけばよいのか、詳しく見ていきましょう。
不動産の所有者名義を確認する
不動産会社は訪問査定の際にあらかじめ登記簿謄本を取得している場合があり、査定では、売却したい物件の所有者と売主が同一人物かどうかの確認が行われます。たとえば、相続した不動産で所有権移転登記を行っていない場合、買主が客観的に所有者を確認できないため、実質的に売却することができません。そのため、事前に登記簿謄本の所有者が誰になっているのか、念のため確認しておくのがおすすめです。
魅力をまとめておく
査定価格に影響するポイントをチェックして、自分がこれから売却する物件の魅力をピックアップしておきましょう。ピックアップした魅力を訪問査定時に、現地で調査する不動産会社の担当者に伝えることで、査定時の評価が高くなる可能性があります。事前に物件のアピールポイントを整理し、訪問査定時はもちろん、査定後の売却活動において購入希望者が内覧する際に、的確に物件の魅力を伝えましょう。
不具合や修繕状況を確認する
売却する不動産に不具合がある場合は、必ず事前に伝えるようにしましょう。また、洗面台や給湯器など、建物内の設備を新しいものに変えている場合、査定価格が上がることもあるため、査定をする不動産会社に伝えることが大切です。なお、リフォームは買主に対する第一印象がよくなる傾向にあります。一方で、リフォーム費を売却額で回収できなかったり、買主のニーズに合わずに売れ残ったりとリフォームが徒労に終わってしまう可能性もあるため、売却のためにリフォームを検討している場合は前もって不動産会社に相談してみましょう。
瑕疵の有無をチェックする
住宅の瑕疵(かし)の有無は訪問査定前に確認しておきましょう。瑕疵とは欠陥のことです。たとえば、売却予定の住宅に配管の水漏れや換気扇の作動不良、シロアリの被害などがないか、事故物件に相当しないかなど、事前にチェックしておきましょう。心当たりのある場合は、不動産会社に伝えられるように写真や書類などをあらかじめそろえておくのがおすすめです。故意に瑕疵を隠してしまうと、後々のトラブルになる恐れがあるため注意しましょう。
瑕疵の有無をチェックするのは、売主が「契約不適合責任」を負っているためです。売主は契約内容と異なる物件を売った場合、その責任を負わなければなりません。
●契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)に関する記事はこちら
瑕疵担保責任とは?不動産売買前に知りたい情報を解説
●事故物件に関する記事はこちら
事故物件を売却するには?告知義務や売却のコツを紹介
境界線を確認する
土地や一戸建ての場合は、境界線が明確になっているかを把握しておくようにしましょう。確定測量図や境界確認書で、隣地との正確な境界線を確認できます。境界線に問題がなければ、売却活動をスムーズに進められます。
最低限の修繕や掃除をする
最低限の修繕や掃除は査定前に行っておきましょう。少しでもきれいにしておくと、査定時の高い評価につながる可能性があるからです。また、ハウスクリーニングの利用を検討してみるのもよいでしょう。ハウスクリーニングでは、簡単にはきれいになりにくいキッチンやトイレ、バスルームなどの水回りが、専用の機材を使用することで劇的に改善されることがあります。
ただ、規模や掃除場所によって料金が高額になる場合もあるため、業者の見積もり額を確認して、プロに任せるのか、それとも自分で清掃するのかを判断するようにしましょう。なお、不動産会社との媒介契約締結前に実施したハウスクリーニング費用は、確定申告時に費用として認められにくいことから、税金が高くなってしまう可能性があります。そのため、有料のハウスクリーニングは無理に行う必要はありません。
査定価格はどうやって決まるの?
ここまで査定の種類や査定時に見られるポイントなどについてご紹介しました。ここでは、不動産会社に提示された査定価格が適正であるかを確認するために、査定価格の算出方法をお伝えします。査定価格を算出する方法は主に「取引事例比較法」、「原価法」、「収益還元法」の3つがあります。以下で各方法について詳しく解説します。
市場性に着目して算出する取引事例比較法
取引事例比較法は過去の取引事例を参考に、売却する不動産と条件の似ている不動産を比較して算出する方法です。この方法は主に、中古の一戸建ての土地部分や中古マンション、更地(土地)の査定に用いられます。査定価格の算出方法は以下の通りです。
査定価格 = 標準的な物件の単価 × 査定物件の評点 × 査定物件の面積
土地価格の場合、同じ地域の過去に取引された事例から標準的な土地の坪単価を出し、査定したい土地の坪数をかけて査定価格を算出します。
50坪の土地の査定価格を一緒に算出してみましょう。標準的な土地単価を坪60万円とし、対象地が角地のため査定の評価がプラス5%、面積が50坪の場合、査定価格は以下の通りです。
査定価格 = 標準的な物件の単価 × 査定物件の評点 × 査定物件の面積
= 60万円/坪 × 1.05 × 50坪
= 3150万円
また、土地の大きさや建物の広さが同じであっても、立地や建物の築年数などによって査定評価は変動します。そこで計算式で求められた査定価格に補正をかけて、最終的な査定価格を計算します。
費用性に着目して算出する原価法
原価法とは、今建っている物件を再建築した際にかかる費用(再調達価格)から、老朽化した分(減価修正)を考慮して、計算する査定方法になります。この方法は、一戸建ての建物の査定に用いられることが一般的です。計算方法は以下の通りです。
「査定価格 = 再調達価格 × (1 – 減価修正率)」
一戸建て売却の査定では、一般的に土地は取引事例比較法、建物は原価法で計算されます。
収益性に着目して算出する収益還元法
収益還元法とは、その不動産が将来的にどのくらい収益が見込めるかによって査定額を算出する方法です。この方法は主にアパートや賃貸マンションなどの収益物件の査定に用いられます。収益還元法には「直接還元法」と「DCF法(ディスカウントキャッシングフロー法)」の2種類があります。DCF法は複雑な計算のため、一般的には直接還元法が用いられます。直接還元法は、家賃収入から経費を差し引いた利益である純収益を、還元利回り(純収益に対応する利回り)で割って計算します。
「査定価格 = 純収益 ÷ 還元利回り」
収益還元法の場合、このような式で算出することができます。
査定の依頼は取引実績が豊富な不動産会社に!
今回は不動産売却時に必要な不動産会社による査定についてお伝えしました。査定の際には、必要書類や査定時のポイントを押さえて、売却に備えましょう。
査定は取引実績が豊富な不動産会社に査定を依頼することがおすすめです。取引実績が多いということは、査定に関する情報を多く持ち、相場をより深く理解しているといえるでしょう。また多くのお客さまに信頼されている会社であると考えられるため、より安心して査定を依頼できます。
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不動産鑑定士 竹内英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
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