Column / 2019 02,01

【高田馬場】全世代の心を満たす若者スポット。実は住みやすい都内屈指の「学生の街」

下條 信吾

長野県安曇野出身、東京在住のフリーライター・カメラマン。レゲエベーシストとしてKaRaLi、Tropicos、The Kingstompersなどで活躍中。
趣味は地図なしの東京街歩き。
八王子から立川まで2時間半、下北沢から仙川まで4時間、お台場から笹塚まで6時間かかりました。
Instagram: https://www.instagram.com/bassieshimo/

信号が青に変わると同時に若者が行き交う駅前ロータリーの交差点。

ここは新宿区の北部に位置する街「高田馬場」。
私が初めてこの街に足を運んだのは、上京して間もない20代前半の頃でした。

駅を降りた瞬間から同年代の若者のエネルギーが溢れ、まるで街全体が大きな学校のキャンパスの中……そんなふうに感じたことを覚えています。

あれから15年。改めて高田馬場を歩いてみると、当時は気付かなかったさまざまな街の魅力に出会うことができました。

【高田馬場の基本情報】

駅名: JR山手線・西武新宿線・東京メトロ東西線「高田馬場」
ランドマーク: BIGBOX高田馬場

新宿・池袋・中野まで2駅!通勤・通学に便利な穴場駅

高田馬場は、新宿と池袋のちょうど中間に位置します。どちらの駅からも2駅と近く、東京メトロ東西線も乗り入れていて、中野や吉祥寺にもアクセスが可能。さらに、西武新宿線を利用すれば西武新宿駅まで1駅。新宿周辺エリアのアクセスにも便利です。

▲高田馬場駅前、早稲田通りの上を走るJR線
▲西武新宿線も利用可能

新宿・池袋・中野・吉祥寺……主要駅に気軽に足を運べる高田馬場は、東京の雰囲気を満喫できる場所であり、通勤・通学の拠点としても便利な街です。

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クールで洗練された東京とは違う、ゆるさと活気が交じった「安心感」

高田馬場といえば、一般的に“学生の街”というイメージが強い場所。
たくさんの大学があり、全国から多くの学生がやってきます。

▲高田馬場駅から徒歩約3分の場所にある「東京富士大学」

なかでも代表的なのが、明治15年に創設された「東京専門学校」を前身とする早稲田大学。
高田馬場から徒歩圏内のエリアに早稲田キャンパス・戸山キャンパス・西早稲田キャンパスがあります。

▲都道305号線沿いに面した早稲田大学の西早稲田キャンパス
▲西早稲田キャンパスの向かいに見える「学習院旧正門」。国指定重要文化財で、現在は学習院女子大学、学習院女子高等科・中等科の正門です
▲西早稲田にある男性限定まかない付きの下宿「日本館」。昭和11年に建てられてから今も現役で利用され、”学生の街”といわれる高田馬場の歴史を語り継いでいます

大学だけでなく、美容・看護・音楽・アニメ・外国語など、専門学校も多く、街は学生で溢れています。

▲駅前早稲田口ロータリー。写真右上は1974年にオープンした高田馬場のランドマーク「BIGBOX」
▲駅前から東京富士大学の方に伸びる「さかえ通り」。全長約200メートルの商店街には飲食店がひしめき、多くの学生で賑わっています
▲学生とともに多くの人が暮らす高田馬場。ピーコックストアやオオゼキなど、スーパーマーケットも充実しています。写真は早稲田通り沿いにある西友

若者が多いからか、ゆるさと活気が交じった、独特の自由な雰囲気が特長。
クールで洗練された東京のイメージとは少し違う「安心感」が高田馬場の魅力です。

せんべろ・とんかつ・ラーメン・アジア料理。高田馬場はB級グルメの楽園

学生が多いことから、懐に優しいお店が豊富なのも高田馬場の魅力のひとつ。
手頃な価格で、バリエーション豊かな食を楽しめます。

▲山手線の線路沿いに立ち並ぶ飲食店。“せんべろ”を楽しめる居酒屋もあります
▲神田川沿いに店を構える肉料理の店「レッドロック高田馬場店」。2014年のオープン時は、ローストビーフ丼で一躍話題になりました
▲日本外国語専門学校の前の通り。洋食レストランの「キッチン南海」に「ニュー早苗」、コーヒー&ワインの「パンデュール」という渋い3店舗が並び、ノスタルジックな雰囲気を醸し出しています

また、高田馬場はとんかつとラーメンの激戦区と知られる場所。多くの名店が学生たちの胃袋を満たしてきました。

▲さかえ通りにある老舗のとんかつ店「いちよし」。ロースカツ定食750円という良心的な値段設定。お手頃価格でボリュームのある王道の味が楽しめます
▲こちらは2018年にオープンしたとんかつ店「とん米」
▲とん米のランチのロースかつ定食(880円)。ジャズが流れる大人な雰囲気の店内で上質な味を堪能できます

近年は外国人が増えた影響で、少しずつ飲食店の雰囲気が変わりつつあります。
さまざまな国のお店が出店しており、「多国籍料理」が街のトレンドに。

▲ベトナム風サンドイッチ「バインミー」を提供する専門店「バインミーシンチャオ」
▲インドやネパール、タイ、ベトナムなど、アジアの国々の料理を味わえる「アジアンダイニングさくら」

高田馬場は、「とんかつやラーメンが楽しめる老舗」と「刺激的な多国籍料理の新店舗」を手頃な価格で楽しめるB級グルメの楽園。
この街で暮らせば、「食」の楽しみが増えることは間違いありません。

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童心に返って遊ぶレトロスポットと心を癒やす豊かな自然

さかえ通りから路地に入ると、年季の入った建物が見えてきます。
中を覗いてみると夢中でラケットをふる学生さんや、ネクタイを外して汗をかくサラリーマンの姿。

▲昭和33年に創業した卓球場「山手卓球」。アニメ「ピンポン」に登場するタムラ卓球場のモデルにもなり”卓球の聖地”と呼ばれています。

山手卓球の他にも、昭和30年から続くビリヤード場「山水ビリヤード」や、古いタイトルのゲームを中心にラインナップするゲームセンター「高田馬場ゲーセン・ミカド」など、レトロな雰囲気のスポットが満載。
ノスタルジックな気分に浸りながらさまざまな遊びを楽しめます。

▲早稲田通り沿いにある「シチズンプラザ」。屋内のスケートリンクで一年中アイススケートが楽しめます

また、高田馬場というとやはり賑やかな駅周辺の印象が強いですが、駅からそう遠くない場所に広々とした公園や緑がたくさんあります。

▲駅の東側にある戸山公園。大久保地区と箱根山地区に分かれ、芝生広場やアスレチック広場、じゃぶじゃぶ池などがあります。
▲駅の東側にある「おとめ山公園」。江戸時代は徳川家の狩猟地で一般人の立ち入りが禁止されていた場所なのだそう。起伏に富んだ地形で一歩足を踏み入れれば深い緑が広がります

手塚プロダクションに名画座。時が流れても変わらず“高田馬場カルチャー”を発信

B級グルメ・レトロスポットの他、高田馬場にはカルチャーの発信地という一面があります。
特に有名なのが、マンガの神様「手塚治虫」とゆかりの深い街だということ。

▲漫画家の手塚治虫さんが1968年に設立した手塚プロダクション

▲駅前の高架下には鉄腕アトムやブラックジャックなど、手塚作品のキャラクターが描かれています

また、高田馬場は映画でも独自のカルチャーを築いています。
その象徴が、1951年に松竹系作品の系列封切館としてスタートした「早稲田松竹」。
1975年からは旧作を2本立てで上映する名画座として、世界中のさまざまな作品を紹介してきました。

▲早稲田松竹の外観
▲早稲田松竹の内観

2002年に一度休館しましたが、早稲田大学の学生が立ち上がって「早稲田松竹復活プロジェクト」を発足。無事復活を果たし、今にいたります。
今回は同劇場で支配人を務める菊田眞弓さんに、高田馬場についてお話を伺いました。

(※以下、「」内は菊田さんのセリフです)

▲早稲田松竹のみなさん。(中央が菊田さん)

――開館してから70年近く経つ早稲田松竹さんですが、当時のことはご存知でしょうか?
「開館した頃、この辺りは他にもたくさんの映画館があったそうです。その中で、当館は新作映画を上映していました。当時はインターネットやパソコンはおろかレンタルビデオもない時代。映画は庶民にとってとても大切な娯楽で、若者を中心に多くの人が足を運んでいたと聞いています。中には早稲田大学に向かう途中、つい映画館をハシゴしてしまって学校にたどり着けない……そんな学生さんもいたようです。」

――現在のお客さんはどんな方が多いですか?
「若い学生さんももちろんいらっしゃいますが、平日の昼間は当時を懐かしんで来る年配の方が多いですね。あとは熱心な映画ファンの方がわざわざ遠くからいらっしゃったりもします。」

――高田の馬場の魅力を教えてください。
「今も昔も変わらず、学生さんの若いエネルギーがあって、新しい文化がどんどん生まれる街。同時に、当館もそうですが山手卓球さんや山水ビリヤードさんのように、歴史のある場所も取り残されずにしっかりと共存しているのが高田馬場の魅力だと思います。」

大人にとっても子どもにとっても魅力的な「若者の街」

“学生の街”という言葉から、「大人を寄せ付けない」……そんなイメージを高田馬場に持つ人がいるかもしれません。

しかし、「低価格なグルメ」「童心に返って遊ぶレトロスポット」「マンガや映画などのカルチャー」といった高田馬場の特長は、大人の心を癒やすオアシスであり、子どもの好奇心を満たす新しい世界との出会いの場でもあります。

若者文化によって発展してきたこれらの街の特長は、若者だけでなく大人にとっても子どもにとっても充分に魅力的。高田馬場は、学生だけでなくあらゆる世代にとって住みやすく楽しい街なのです。