Column / 2018 09,27

【立川市】誰もが2度は訪れる。そしてふと、住もうと思う街「立川」

下條信吾

長野県安曇野出身、東京在住のフリーライター・カメラマン。レゲエベーシストとしてKaRaLi、Tropicos、The Kingstompersなどで活躍中。
趣味は地図なしの東京街歩き。
八王子から立川まで2時間半、下北沢から仙川まで4時間、お台場から笹塚まで6時間かかりました。

平日のハードワークの疲れのせいか、それとも月の前半にショッピングで散財してしまったからなのか……
理由はどうであれ、東京で生活をしていると、人は無意識のうちに「公園」を欲する時期を迎える。

なんだか気の抜けた表情でスマホを手に取り、「東京 公園」とゆるく検索。『東京にはこんなにたくさんの公園があるのか』と感心していると、ある太字が目に飛び込んでくる。

『東京ドーム39個分の広さ!?昭和記念公園 ……?』

この昭和記念公園を入り口にして、初めて「立川」という街の存在を意識する人は少なくないだろう。

私も漏れなく、その中の1人だった。
「東京ドーム39個分の公園」というパワーワードを当時の彼女に伝えて,人生で初めてJR中央線で吉祥寺よりも西へ向かった。立川駅に着き、連絡通路を歩きながら、巨大で近代的な街並みや・充実した商業施設を見て、彼女はつぶやいた。

『何この街……パラレルワールドの新宿?』

あのとき出会った光景は強烈に記憶に残り、惹かれ、再びこの街を訪れる十分な理由になった。昭和記念公園・商業施設などトピックをあげればキリがない立川の魅力……『すべて伝えることは難し過ぎる』と、いきなり弁解しつつ、今回はそんな立川をいろいろな角度からご紹介したいと思います。

【立川の基本情報】

駅名: JR東日本 中央本線・青梅線・南武線「立川」
乗換えできる路線:多摩都市モノレール線「立川北」及び「立川南」
ランドマーク:国営昭和記念公園
映画や漫画に登場するスポット:「シン・ゴジラ」「聖☆おにいさん」など

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「基地の街」から“ゴジラ”を撃つ最終拠点に

東京に住む人たちのオアシスとなっている、立川のランドマーク「国営昭和記念公園」(以下、昭和記念公園と表記)。昭和記念公園が開園したのは1983年のこと。今では子ども達がはしゃぎ周り、大人達はのんびりと寝そべるような緑豊かで穏やかな場所だけれども、その昔は日本初の民間飛行場「立川飛行場」があり、終戦後約30年間はアメリカ軍の基地となっていました。

▲秋の昭和記念公園。「コスモスまつり」の期間中、みんなの原っぱ東側の花畑には70万本ものキバナコスモスが咲き誇ります。

都心部から約30㎞も離れていながら、国防の歴史と深い関わりを持ち、「基地の街」として独自の発展を遂げていった立川。映画「シン・ゴジラ」ではゴジラの襲撃で都心部が壊滅状態になったとき、緊急対策本部が移される場所として立川が登場しました。実際の立川にもその予備施設が存在し、首都直下型地震などの災害時は政府の拠点となることは意外と知られていません。

▲内閣府 立川災害対策本部予備施設の入り口。実際に映画「シン・ゴジラ」では、俳優の長谷川博己さん演ずる矢口蘭堂・内閣官房副長官がこの門を通り、施設に入っていきました。

サブカル臭漂うフロム中武・アレアレア……都心に負けない買い物天国

立川に住む人は口を揃えてこう言います。

『立川に住むと立川から出たくなくなる』と。

それもそのはず、立川には大型のショッピング施設が満載なのだから。

まず立川駅の改札を出てみると、北口と南口を結ぶ自由通路には「LUMINE」「グランデュオ」「エキュート」と3つの商業施設が隣接している。他にも、「伊勢丹」や「高島屋」「IKEA」「ららぽーと立川立飛」と、出店している施設はそうそうたる顔ぶれ。都心部に出なくても日用品から家電・インテリア・衣類などなど、なんでも揃ってしまうのだ。

▲こちらは北口にある高島屋。家具・インテリア・生活雑貨などを取り揃えるニトリや、ルイ・ヴィトンやシャネル、グッチといったハイブランドまで豊富に取り揃えています。

全国展開する大型店だけでなく、1961年から続く「フロム中武」や、アイドルグループ「アレアガールズ」を輩出した南口の「アレアレア」など、サブカル色漂う個性的なローカルデパートも見逃せない。アクの強いこれらの店の存在が、立川住民を『立川から出たくなくなる』と言わせる所以なのかも。

▲フロム中武の入り口の巨大な看板には大胆なキャッチコピーが。オシャレさゼロの厚かましい感じが味わい深い……?キャッチコピーは不定期で変わり、立川住民を楽しませています

昭和記念公園だけじゃない。季節の移ろいを感じられる豊かな自然

ショッピング施設だけではなく、立川には豊かな自然がたくさんあります。

例えば冒頭でも登場した「昭和記念公園」。この公園は、「ふれあい広場」や大ケヤキが目印の「みんなの原っぱ」「こどもの森」など、いくつかのエリアに分かれ、その中には夏季限定のレインボープールやバーベキュー場・サイクリングコース・ドッグランなどの施設が充実しています。間違っても『1日で全部回れるでしょう!』なんて、遊園地感覚で行かないようにご注意を。東京ドーム39個分の広さは想像以上で、最初は誰もが度肝を抜かれます。年間パスポートを買って、毎週のように子どもを遊ばせに行くパパ&ママも少なくないほどの広さです。

▲冬の昭和記念公園を彩るイルミネーションは、日本夜景遺産にも認定されているほどの圧巻の美しさ。夏には花火大会が開催され、そのときもたくさんの人で賑わいます。

また、駅の南口を出て多摩川を目指すと見えてくる全長1.3kmの「根川緑道」は、散歩コースとして愛される場所。春には250本もの桜が咲き乱れ、薄紅色のアーチの下、川のほとりでお花見が楽しめます。

▲桜が満開の根川緑道。川のほとりでは多くの人がシートを敷いてピクニックを楽しみます

こちらのエリアを歩いている多くの方は、地元の人々。川遊びをする子ども達と、それを優しい眼差しで見守りながら会話に花を咲かせるパパやママ、息を潜めて野鳥に望遠レンズを向けるご年配など、住む人たちの穏やかな暮らしが垣間見えます。

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アーティストやクリエイターの新たな拠点に

高円寺や吉祥寺といった文化的なイメージの強い街と同じ中央線沿線にありながら、カルチャー色の薄い印象の立川。しかしここ数年、立川でも新たなムーブメントが巻き起ころうとしています。その中心を担っているのが「たちかわ創造舎」。2004年に廃校となった多摩川小学校の校舎や体育館を活用し、劇団やダンスカンパニーの稽古・発表場所としてや、美術作家の制作場所として使われています。

▲たちかわ創造舎で稽古をする劇団「Theatre Ort」。立川を中心に様々なところで音楽朗読劇や演劇公演を行なっています

また、2018年の2月には都内最大級のファブスペース「Tschool(ツクール)」が誕生しました。

▲ツクールの外観。1階の工務空間ではレーザー加工機や業務用の刺繍ミシンなど充実した設備を使ってものづくりができ、2階はコワーキングスペースなどの事務空間というハイブリッドな施設です

こうした施設の誕生により、立川が東京多摩エリアで活動するアーティストやクリエイター、ものづくりに取り組む人たちの拠点となり、新たなカルチャーを発信していくという未来像……考えただけでもワクワクします!

教育機関も充実。子育てを始めるファミリーにもオススメ

立川には19の小学校と9中学校に加え、子育てや市民活動・文化芸術活動を支援する「子ども未来センター」など、教育機関が充実しています。立川市が子育て支援事業に力を入れ、情報の提供や講座、ワークショップを頻繁に行っているので、パパやママには心強いでしょう。

▲子ども未来センターの館内にある「立川まんがパーク」は、漫画の文化的価値を多くの人に知ってもらうことを目的に、あらゆるジャンルの漫画を集め収蔵。中央線ならではのサブカル色を立川流に発信するこの場所は、アニメ好きの聖地となりつつあります

公立の教育機関以外にも、園児の人数が日本で3番目の規模というモンテッソーリ教育をベースとした幼稚園「ふじようちえん」や、宮沢賢治の精神のもとにシュタイナー教育を実践する「たんぽぽこどもの園・東京賢治シュタイナー学校」など、公立とは違った教育を受けられる幼稚園や学校も充実。子育てを始めてから、立川に住むファミリーも多いのです。

▲多摩川の河川敷沿いにある東京賢治シュタイナー学校は、豊かな自然の中で15年間の一貫教育を受けられます。

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「立川が好きだから」――街を盛り上げる老舗の青果問屋3代目の思い

2016年に立川北のサンサンロード沿いに完成したコトブキヤビルの2階でひと際オシャレな雰囲気を漂わせるのが「Adam’s awesome PIE(アダムス オウサム パイ)」です。店長の根津祐太郎さんは、長野県から初めて立川にリンゴを卸した、老舗の青果問屋「株式会社根津」の3代目。この街で生まれ、この街で育ち、自分の店を構えた根津さんに、お店と立川への思いをお伺いしました。

(※以下、「」内は根津さんのセリフです)

――子どもの頃の立川の思い出を聞かせてください。

「僕が子どもの頃の立川は、今よりも怖いイメージがありました。南口のアレアレアの場所にあった通りは、浅草の仲見世通りみたいに活気があって、悪い感じのお兄さんも多かったです(笑)。ビビりながらそこを歩いたことは、今となっては懐かしい記憶ですね」

――ここにお店を出した理由は?

「立川が好きだから、他の街に店を出すという選択肢は考えませんでした。なんでも揃っていて緑もたくさんあるし。お店だけではなく新居も立川に建てて、妻と2人の娘と一緒に住んでいます。

あえて駅から少し離れたところに店を出したのは、歩きながら他の魅力的な個人店や街並みも知ってほしかったから。最近は駅周辺の開発が進んでチェーン店が多くなったため、駅だけで食事や買い物を済ませてしまう人が増えました。それもいいんだけど、せっかくならもっと楽しくて個性溢れる立川ならではのモノに出会ってほしいなと思っています」

お店の看板メニューは、青果問屋のルーツでもあるリンゴを使ったハンバーガーやアップルパイ。その他、新鮮な野菜を楽しめる豊富な種類のサラダバーも大人気です

――根津さんが思う、立川の魅力とは?

「私のように若い世代が活躍させてもらえる懐の深い街だという点かと思います。これからも街の成長とともに、自分自身(お店)も変化を恐れず、常に新しいことにチャレンジしていきたいです。立川を訪れる人には、駅前や昭和記念公園だけでなく、ぜひいろいろなところに足を運んでほしいですね。立川の本当の魅力を感じてもらえると思います」

立川で東京生活の第2章を始める

私(筆者)が昭和記念公園をきっかけに初めて立川を訪れ、その後買い物で再び足を運んでからどれくらいの月日が経っただろうか。

3度目に立川に足を運んだとき、利便性や豊かな自然・カルチャー・子育て環境など、求めていたすべてが丁度良いバランスで揃っていることに気づく。だからこそ、彼女と家庭を築き、長く腰を落ち着かせる”東京の居場所”を見つけようと考えたとき、フッと頭の中に浮かび上がったのが、どうしても「立川」だった。

今では”パラレルワールドの新宿“を抜け出し、立川で普通の日常を送っている。