Column / 2019 04,12

自然の中に神様を見つけていた頃の暮らし

初詣やお祭りなど、神社と日本人の生活は切っても切れない仲。昔の人は知っていたけど、今では多くの人が知らない作法や、しきたり、神社や自然との関係性などを神社好きの料理家・豊田麻子さんがわかりやすく解説してくれます。

豊田麻子

神社を愛する料理家。学習院大学経済学部経営学科および文学部哲学科卒業。都内の博物館で働く傍ら、リヨンのアンスティチュポールボキューズでフランス料理を学び、ランスの三ツ星レストランで研鑽を積んだ。一方で神社好きが高じて津々浦々、全国の神社を飛び回っている。

■木が神様ってどういうこと?

日本人は昔から、木や岩を神様だと思って信仰してきたことを知っていますか?昔の人たちは目には見えないけれど尊い何かが宿るとして、自然を祈りの対象としてきました。

現代でも注連縄(しめなわ)が張ってある木を見ると、それが特別なものだとわかりますよね。たとえ注連縄がなくても、近所の人が通り過ぎるときに手を合わせていく木や、樹齢数百年規模の巨木を目にすると、圧倒されたり包み込まれるような不思議な感覚ってありませんか?

▲京都の貴船神社の御神木「相生の大杉」

そのようにして、日本人は身近にある木の中に神様を見出して暮らしてきました。また、木だけではなく山を神様とすることもあります。日本最古の神社の1つ、奈良の大神(おおみわ)神社は本殿を持たず、拝殿からご神体の三輪山を拝むような形になっています。山自体を神様として祀っている神社があるなんて驚きですよね。

日本では古くからの信仰で、あらゆるものに魂が宿るとして自然が慈しまれています。木、山、岩、河など自然界に当たり前に存在するものの中に、私たちの祖先は尊いものを見出してきました。日本の神様は自然の中にいるのです。