Column / 2020 03,31 /Vol.9

「みつめさんは今日も完食」に登場!
ネタの濃厚さが違う“熟成”鮨を楽しめる「鮨 まるふく」

昨今ブームとなっているグルメマンガ。その中には実際に食べてみたい“美味しいもの”がたくさん登場します。作品に登場したマンガ飯を、実食しリポート。マンガの世界にトリップしながら、グルメだけでなく街の魅力も紹介します!

矢崎智也

山梨県生まれのグルメライター。「世の中に散らばったキラリと光る個性的なお店を紹介する」というコンセプトのもと、公式ブログ「へんてこグルメガイド」で記事を執筆。月間PV数は60万を越えるほど。また、雑誌、ウェブメディアでもグルメ記事を寄稿するなど多岐にわたり活躍中。
公式ブログ http://asobigokoroblog.com
Twitter https://twitter.com/asobikikaku
Instagram https://www.instagram.com/hen_gourmet/

◯江戸前鮨に端を発する“熟成”させたネタを楽しめる「鮨 まるふく」

©ツレヅレハナコ•山崎童々/小学館

今回紹介するのは山崎童々さん、ツレヅレハナコさん(原案・協力)による「みつめさんは今日も完食」(全3巻)に登場する「鮨 まるふく」。
「みつめさんは今日も完食」は、グルメブログの執筆を任された新米編集者の物語で、登場するお店はどれも魅力的なものばかり。
原案を担当しているツレヅレハナコさんは、レシピ本など多くの本を執筆している編集者さん。美味しいお酒や料理をこよなく愛し、著書はもとよりTwitterやInstagramで発信する美味しそうな料理やレストランの情報は、食通を始め多くのファンが絶大な信頼を寄せています。
このマンガは、食への造詣が深いツレヅレハナコさんが美味しいお店を紹介すると同時に、食に関する歴史や背景も知ることができる、グルメも唸る読み応えのある作品です。

※写真は取材用のもの。通常はおまかせで一貫ずつ提供されます。

「鮨 まるふく」は、「みつめさんは今日も完食」の2巻で紹介される江戸前鮨店。
同店の特徴は仕入れた海鮮を数日から数週間寝かせてから提供する“熟成”というもの。
今回は熟成されたネタを使った握りと、小鉢料理が提供される「おまかせコース」13,500円(税込・サービス料別)をいただきました。

◯熟成されたネタは旨味の濃厚さがまるで違う!

下田で水揚げされたマグロを1週間熟成させた「マグロ」。
見るからに赤色が美しくつやつやと輝いています。しっとりとした舌触りと共に、口の中で花開く凝縮されたマグロの旨味はまさに至高の味わい…!

©ツレヅレハナコ•山崎童々/小学館

作中で使われている「どこまでも濃いマグロの旨味…!」という表現にも納得。桁違いの旨味の濃さは、夢に出てきそうなほどの美味しさです。

こちらの「ブリ」の熟成期間は26日。なんと1カ月近くも寝かせています。
熟成期間が長くなればなるほど、管理が難しくなり職人の腕が求められるようになります。
その分、甘味は強く身はねっとりとした食感に。食べた瞬間から笑みがあふれる一品です。

「鮨 まるふく」に来たのであれば「サヨリ」などの白身魚にも注目です。
獲れたての白身魚はコリコリとした食感で淡白な味わいであることが多いですが、熟成させることによって濃厚でトロリとした食感に変化。
新鮮なだけでは感じられない白身魚の味わいは初めての体験です。

「シマエビ」は「鮨 まるふく」でも一番人気のメニューです。
身が引き締まった北海道産のシマエビにエビ醤油を塗り、エビ味噌をのせてエビ塩を振りかけたエビづくしの一貫です。
甘味がギュッと凝縮されていて、噛むたびに溢れ出す海老の旨味は感涙ものです。

「コハダ」は佐賀県産のものを塩〆し、酢〆してからじっくりと13日間も熟成させています。
光物の酢〆というと、ツンとした酢の香りがすることが多いですが、同店の「コハダ」は時間をかけて酢を入れているため、酢の尖りは全くなくさわやかな旨味が感じられます。

握りのシメは「中トロ」が出てきました。
こちらも赤身と同じく1週間かけて熟成させており、濃厚な赤身の旨味とそれに負けない脂の甘味が、絶妙なバランスで口の中を駆け巡ります。

◯握りの合間に提供される小鉢料理にも職人の技を感じられます

△「ホタルイカのふくめ煮」

料理人の腕が光る小鉢料理にも注目です。

提供される料理は、季節や仕入れによっても大きく異なるのですが、「ホタルイカのふくめ煮」や「白子のづけのあぶり」「ノレソレに黄身醤油かけたもの」「煮ダコ」の三種盛りが提供されていました。

△「三種盛り」

©ツレヅレハナコ•山崎童々/小学館

©ツレヅレハナコ•山崎童々/小学館

作中で紹介されていたのはハモ料理やエビ料理でしたが、いずれにしてもレベルが高く登場人物たちの舌をうならせるほどです。

◯デートや記念日の利用にぴったり!西荻窪の名店「鮨 まるふく」

「鮨 まるふく」があるのは、西荻窪駅から荻窪駅方面に2分ほど歩いた場所。
西荻窪の雑多な雰囲気の中では、ひときわ目立つ凛とした空気が漂っています。

カウンターに檜の一枚板を使い、裏には組子細工があしらわれているなど、和を基調とした店内。
高級感があり記念日やデートにと、大切な人との時間を過ごすのにぴったりです。

△席はカウンター9席のみ。

お客さんの層は幅広く、若い方から年配の方までいろいろな方がいらっしゃるそうです。
常に人気の「鮨 まるふく」ですが、席に空きがある日は同店のインスタでお知らせをしているので、運が良ければ直前でも予約が取れるかもしれません。

◯新進気鋭の江戸前鮨店「鮨 まるふく」を深堀り

高い技術を持つ西荻窪の人気店「鮨 まるふく」のオープンは2011年10月。
大将の伊佐山さんの実家は東京で50年続いた老舗の鮨屋。さらに別の鮨店で長年修行を積んだのち独立し「鮨 まるふく」を開きました。
小さいころから鮨と触れ合う機会が多く長年の修行を積んでいるため、老舗の名店に勝るとも劣らない実力です。

©ツレヅレハナコ•山崎童々/小学館
△伊佐山さんは作中でも横顔が描かれています。

鮨屋の大将というと気難しいイメージがありますが、伊佐山さんは気さくで話しやすくおちゃめな笑顔の素敵な方でした。

お店の特色である「熟成」というのは、焼肉業界で2012年頃から話題になったエイジングビーフの後に、鮨業界でも注目されるようになりましたが、本来は古くからある江戸前鮨からきたもの。
江戸前鮨は獲れたての鮮魚をそのまま提供するだけではなく、漬けマグロや〆鯖などひと手間加えたネタを使うことが多いのが特徴です。そして熟成もまたそんな江戸前鮨に端を発するものなんです。

©ツレヅレハナコ•山崎童々/小学館

「鮨 まるふく」では、マグロひとつをとっても、漁の方法や産地などで、絶妙に熟成の仕方を変えています。最高のネタを提供できるように、常に見極めをしているのはさすが職人の技といったところです。

お店で使われている魚は、神経締めをした五島列島産や、豊洲市場、季節によっては金沢産を使っています。
特に長期熟成は五島列島の魚を多く使っていて、「放血神経締め」という、血を抜ききる締め方をするために熟成させても臭みが出ず美味みが増すそうです。

シャリに使われる米や酢にももちろんこだわりを持っています。
酢は赤酢をベースに4種類をブレンドした特製のものを使い、米は秋田と新潟産をブレンドしています。
酢の華やかな香りは熟成されたネタの旨味を邪魔することなく、ワンランク上の味わいに押し上げています。

ドリンクは、ビールやウイスキー、焼酎など、様々なものを提供しています。
中でもおすすめは日本酒。常時20銘柄以上も用意していて、日本酒に精通している女将がお鮨と合わせたチョイスをしてくれます。またワインの持ち込みも可能で、自身のお気にいりのワインとお鮨のマリアージュを楽しむことも可能です。

◯「鮨 まるふく」がある西荻窪ってどんな街?

「鮨 まるふく」が、銀座や六本木ではなく西荻窪にお店を構えた理由は、西荻窪に実際に住んでみて街や人々の雰囲気が気に入ったからだそう。
西荻窪といえば高円寺、阿佐ヶ谷に次ぐ中央線カルチャーの発信地。新宿まで中央線で一本と交通の便もよく吉祥寺や中野と比較して家賃も安いため、学生や夢追い人から人気の高い駅となっています。

街には渋めの大衆居酒屋が立ち並び、地域に根付いた活気のある雰囲気。西荻窪に住めば飲み屋に困ることはまずなさそうです。

このような赤ちょうちんがちらほら見受けられて風情があっていいですよね。

また南口の飲み屋街の中にある柳小路は、韓国料理やタイ料理、ベトナム料理店が立ち並ぶ多国籍横丁になっています。
このような雑多で一つの駅でいろいろな体験ができるのも西荻窪の魅力かもしれません。

おわりに

「みつめさんは今日も完食」の2巻に登場する「鮨 まるふく」を紹介しました。
江戸前鮨に端を発した「熟成」をさせたネタを取り扱うお店で、他のお鮨屋さんとは一味違う濃厚な魚の旨味はどれも感涙ものの美味しさ。
記念日やデートに使える素敵なお店なので、知っていて損はありませんよ。

■鮨 まるふく
所在地:東京都杉並区西荻南3-17-4 第五PRビル 1F
TEL:03-3334-6029
営業時間 :18:00~21:00最終入店
定休日:日曜定休(月曜祝日の場合、日曜営業で月曜祝日はお休みです)
Facebook:https://www.facebook.com/sushimarufuku
Instagram:https://www.instagram.com/sushi_marufuku

※完全予約制。(メニューはおまかせコースのみ)
※コースのお料理を準備していますので、ご変更のご連絡は前日までにお願い致します。
※当日のご変更、キャンセルは100%コース料金のキャンセル料が発生しますのでご注意ください。
※海外からのお客様のご予約は、ホテルのコンシェルジュ経由でお願い致します。
※掲載の内容は取材時点(2020年3月)の情報に基づくため、変更される場合がございます。ご利用の際は事前にご確認ください。

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