Column / 2019 08,23

幼少期から青春時代まで。「僕の知らない母親」が住んできた街を、思い出とともに巡ってみた

自分が生まれる前の親の人生とは?身近な存在でありながら実は知らないことが多い親の人生。今回は嶋田さん親子に協力してもらい、母親が昔住んでいた街を訪問。それぞれの土地での思い出を共有してもらいました。

小野洋平(やじろべえ)

1991年、埼玉県生まれ。東京の編集プロダクション「やじろべえ」所属。今までの実家引っ越し回数は4回です。
【やじろべえ株式会社】https://www.yajirobe.me/
【小野洋平/Twitter】https://twitter.com/onoberkon

■秀子さん生誕の地「千葉県旭市(倉橋駅)」

一家で秀子さんの実家へと移り住んだのは、光宏さんが5歳の時。以降、18歳まで過ごした千葉県旭市は、光宏さんにとっても地縁の深い場所だ。母子で共有する思い出も多い。

そこで、一気に時代をさかのぼり、秀子さんが幼少期の頃の旭市の思い出について振り返りながら歩いてみる。

▲実家の最寄駅、JR総武本線の倉橋駅

 

<お母さんの思い出の場所その6>幼い頃の夏の至福「とくざえもん」

母「とはいっても、60年も前のことだし本当にうっすらとした記憶しかなくて……。唯一覚えているのは『とくざえもん』っていう駄菓子屋だね」

▲約60年前、とくざえもんの店先で。一番左が秀子さん

母「親戚が集まると、子どもたちはもらったお小遣いを握りしめて、とくざえもんまで走ってね。夏に食べたかき氷が美味しかったなあ」

息子「昭和の夏休みって感じだね。映画みたいな風景が目に浮かぶ。でも、近所にそんな駄菓子屋があったことさえ、知らなかったな」

母「ゲームはもちろん、テレビもなかった時代だからね。遊びと言ったら木登りしたり、芋畑で追いかけっこしたり……」

息子「母さんにも子どもの頃があったんだよなあ。当たり前だけど、なんか不思議」

母「当時はどの家も食べていくために必死で、子どもに構うヒマがなかったみたい。だから、子供たちは外で勝手に遊んでたんだよ。ちなみに、私のお母さんとおばあちゃんは和裁の仕事で忙しかった。だから私も和裁の専門学校に通おうと思ったんだけどね」

 

<お母さんの思い出の場所その7>唯一の遊び場所だった「雷神社」

母「それから、近所の『雷神社』っていう場所でもよく遊んでたよ。境内にブランコや相撲場があって、たまに宮司さんが絵本の読み聞かせをしてくれたりしてね」

息子「へえ、俺も雷神社では遊んでいたけど、ブランコや相撲場はなかったな〜。同じ場所でも全然遊び方が違う」

▲現在の宮司さんに当時の話を聞く母と息子

母「雷神社の子ども会で飯盒炊飯もやりましたよね? 懐かしいな〜」

息子「いいな〜。俺の子ども会の思い出といったら、夏祭りに向けてひたすら笛の練習をしたこと。俺も飯盒炊飯がよかったわ~」

母「そうそう。笛、がんばってたよね~。ちなみに夏祭りは、お母さんが子どもの頃から盛んだったんだよ」

と、地元の思い出話で盛り上がる母子。いや、親子というよりも、時代は違えど同じ場所で育った友人のような目線で、いつしかしゃべり始めている――。二人の間には、そんな空気が流れているような気がした。

▲神輿を神社へと担ぎ込んでいく様子

▲現在も神輿は大切に保管されている

■親子で思い出の地を巡ってみて……

というわけで、お母さんゆかりの地を、親子で巡った今回の試み。最後に、二人に感想を聞いてみよう。

秀子さん「とても面白かったです。両国では街の変化に唖然し、検見川浜では『はとぽっぽ公園』が残っていることに感激し、地元の旭では忘れかけていた思い出に出会うことができましたから。それに、息子に改まって幼少期や青春時代の話をする機会もなかなかありませんからね。良い思い出が、また1つ増えました」

一方、息子である光宏さんは、どう感じたのだろうか?

「今まで昔の話は聞いてたかもしれませんが、やっぱり覚えてなかったんですよね。というのも、現在の場所に過去の話を持ち出されても正直、イメージって湧かないじゃないですか?でも、実際に足を運んで、一緒に巡ることで昔の話でもリアルに実感することができました。“こんな体験してたんだ”とか“こういうのが好きだったんだ”とか、時代は違えど、ちゃんと若い頃は楽しんでいたんだなって。この歳になって、また新たな母親を知ることができて楽しかったです」

身近な存在である親。しかし、子どもが知っているのはあくまで「親」としての側面に過ぎず、その人生そのものついては、あまり分かっていないのかもしれない。とはいえ、改まって話すのは照れくさい。そんな時は、親子でゆかりの街を歩いてみてはどうだろうか?

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