Interview / 2018 06,12 /Part.2

王子で34年間美容室を続けている羽田さんご夫婦

長年夫婦でお店を営む二人の記憶に残る、ある日の出来事をお聞きする企画「おじいちゃんとおばあちゃんが一番しあわせだった日」。
今回お伺いしたのは、王子で美容室を営む、創業34年「美容室 リベーヌ」の羽田さんご夫婦。北区で長年お店を営み、近所の人々と交流してきた二人だからこそわかる、その土地の魅力からお店のこと、お二人の関係などをお聞きしました。

羽田さんご夫婦

右:羽田二雄さん(70)
左:羽田和枝さん(65)

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—お二人の一番しあわせだった日を教えてください。

prof_oji2二雄さん
1984年、当時僕は36歳で銀座の美容室に勤めていました。でも、夏に突然そのお店が閉店してしまって、いきなり収入源を失ってしまったんです。そのとき長女は1歳にも満たない赤ちゃんで、妻は妊娠中。なんとか家族を養わなきゃと身の回りの物をすべて売って資金を集め、突然の閉店から2ヵ月後、この場所にお店を開きました。お店のことや家族のこと、自分の中で8割は不安や恐怖でいっぱいでした。でも残りの2割は、どうなるかわからないけど未来だけはずっと広がっていて、僕ががんばればどうにでもできるってワクワクして。あの気持ちは、希望だね。当時はとてもつらかったけど、希望があって、幸せだったね。

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prof_oba2和枝さん
私たち夫婦は、二人でこの美容室を営んできました。子どもが3人もいたこともあって、贅沢はできない生活でした。自営業だから休みもなく、子どもと遊ぶこともあまりできなくて。もしかすると、寂しい思いをさせていたかもしれないですね。うちに従業員がいた頃は、子どもの面倒を見てもらったこともありました。保育園の先生も、休みの日なのに預かったりしてくれたんです。だから、うちの子たちはみんなに育ててもらったようなものなの。そうして大きくなった長男が大学を卒業して働き始める前に、いつもは照れくさそうに話す息子が妙に真剣な顔で「お母さん」って私を呼んだんです。そして私の前に正座すると「うちは貧乏なのに、大学まで出してくれてありがとう。がんばります」って言ってくれたの。すっと肩の力が抜けて、嬉しかったな。

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