Interview / 2018 07,24 /Part.3

神楽坂で息子夫婦と一緒に喫茶店を営む平岡さんご夫婦

夫婦でお店を営む二人の記憶に残る、ある日の出来事をお聞きする企画「おじいちゃんとおばあちゃんが一番しあわせだった日」。
今回お伺いしたのは、神楽坂で喫茶店を営む、創業20年「トンボロ」の平岡さんご夫婦。長年お店を営んできた二人だからこそわかる、その土地の魅力からお店のこと、お二人の関係などをお聞きしました。

平岡さんご夫婦

左:平岡伸三さん(69)
右:平岡好美さん(68)

—お二人の一番しあわせだった日を教えてください。

伸三さん
20年前にお店を始めるまで、ここで設計事務所をしていました。だから、この街にはいたけれど、街の人との付き合いは濃いほうではなかったんです。でもお店を始めてから、お客さんはもちろん、勝手口に到来物が届くなど、自分たちの生活が街に溶け込んだことを実感できるのが毎日しあわせでしたね。神楽坂でお店をやっているから、芸者さんがお昼に来てくれることも。ある日、用事があって信号待ちをしていると、交差点の向かい側に見覚えのある芸者さんがいて、目が合ったんです。するとすれ違うとき、その方が差していた日傘でさりげなく日舞の動きをして。言葉は交わしていないけれど、この街らしい素敵な挨拶でした。お店の外でもお客さんと出会って素敵な挨拶をしてもらう。この街らしい非日常が経験できることは嬉しいね。

好美さん
こうやってお店を始めてから、20年来の友人が来てくれた日がありました。学生のときからの友人で、電話では話してはいたけれど、もう10年以上は会っていませんでした。その友人が5~6年くらい前に初めてお店に来てくれたんです。その日は週末だったから、私は忙しくてカウンター越しにコーヒーを淹れながら、3時間くらいお喋りしました。それから年に何度かお店に来てくれて、他愛もない会話をしたり、昔話をして笑ったり……。なんてことはないけれど、とてもいい時間です。そうやって少し疎遠だった友人とまた繋がることができたのは、このお店のおかげです。友人でも、お客さまでも、それが何年ぶりであっても、うちを思い出してくれて、「コーヒー飲みに来たわ」って言って、ここで時間を過ごしてくれることが何よりしあわせですね。