Lifestyle / 2019 10,21 /Vol.1

【私が長距離通勤をする理由 Vol.1】
 〜景色を眺め、空気を吸い、人に寄り添う。逗子で見つけた幸せな暮らし~

昨今は職場の近くに住む「職住近接」のライフスタイルが注目されているが、一方で、何らかの理由で長距離通勤を選んだ人もいる。高速バスや特急電車、なかには新幹線を使い、都内へ2時間近くかけて通勤する長距離通勤者たち。なぜ、そうまでしてそこに住んでいるのだろうか?単純にその街が好きということもあるだろうし、あるいは何かやむにやまれぬ事情、知られざるドラマがあるのかもしれない。

そこで今回は、神奈川県の逗子で暮らし、東京に勤務する麻衣さんに、約2時間の長距離通勤と引き換えに手に入れた暮らしについてお話を伺った。

小野洋平(やじろべえ)

1991年、埼玉県生まれ。東京の編集プロダクション「やじろべえ」所属。今までの実家引っ越し回数は4回です。
【やじろべえ株式会社】https://www.yajirobe.me/
【小野洋平/Twitter】https://twitter.com/onoberkon

■憧れの地に住み、自分自身を見つめ直したかった

麻衣さんが逗子に住み始めたのは2016年10月。山に近い高台に夫と一軒家を建て、現在は子ども、ペットとともに暮らしている。

なお、逗子は故郷でもなければ、親しい友人が住んでいたわけでもないという。では、なぜ縁もゆかりもなかった土地を移住先に選んだのだろうか。

麻衣さん(以下省略)「きっかけは25歳の頃に訪れた葉山のホテル。足を踏み入れた瞬間、自分の中でピピッと反応してしまったんですよね。ラウンジの窓から見える、ターコイズブルーの海、テラスに並んだ青色のパラソル、生い茂った山々。もう一目見た瞬間、葉山の景色に心を奪われてしまったんですよ。それ以来、“いつか葉山に住みたいな”という憧れの感情が芽生えるようになりました」

――それで、葉山にも近い逗子を選ばれたわけですね。

「夫婦ともに一戸建てが欲しくて、でも都内だといい土地に巡り会うことは稀ですし、コストも高い。そこで、郊外に目を向けてみた時に、葉山や逗子の風景を思い出したんです。もともと夫は札幌、私は仙台と、自然に恵まれた地域で育っていたこともあって、海も山もある葉山・逗子・鎌倉エリアは理想に近かったんですよ」

――逗子の中でも、今の土地を選んだ決め手は何だったのでしょうか?

「地元が仙台ということもあり、ハザードマップに引っかからない場所は重要でした。あとは、治安だったり、スーパーや学校等の住環境、駅までのアクセスなどを挙げていくと、希望の条件を満たす土地はあまり多くありませんでしたね。ただ、色々と条件を挙げたものの、最後に決め手になったのは美しい並木道。初めてこの場所を訪れた時に素敵だなと思い、すぐに決めてしまいました。その後、並木道の木々が桜ということを教えてもらってからは、春が待ち遠しかったです」

――最初に逗子に来たとき、どんな暮らしをイメージしていましたか?

「具体的なライフスタイルまでは考えていませんでしたが、移住を機に自分自身と向き合ってみようと思いました。東京にいると、友達に会いたい時には会えるし、物も溢れるほどに揃っているじゃないですか。でも、そういうものからふと離れてみて、自分にとって重要なものや大事にしたい軸は何なのか、じっくり考えてみたかったんです」