Lifestyle / 2019 11,15 /Vol.2

【私が長距離通勤をする理由 Vol.2】
 〜自分にとってストレスがなく、グッドバランスが保てる小諸での暮らし~

昨今は職場の近くに住む「職住近接」のライフスタイルが注目されているが、一方で、何らかの理由で長距離通勤を選んだ人もいる。高速バスや特急電車、なかには新幹線を使い、都内へ2時間近くかけて通勤する長距離通勤者たち。なぜ、そうまでしてそこに住んでいるのだろうか?単純にその街が好きということもあるだろうし、あるいは何かやむにやまれぬ事情、知られざるドラマがあるのかもしれない。

連載第1回では、神奈川県逗子市の風景に魅了され、家を購入した女性を紹介。今回は、長野県の東部に位置する小諸市で暮らし、東京都内に勤務する小山剛さんに、約2時間の長距離通勤と引き換えに手に入れた暮らしについてお話を伺った。

小野洋平(やじろべえ)

1991年、埼玉県生まれ。東京の編集プロダクション「やじろべえ」所属。今までの実家引っ越し回数は4回です。
【やじろべえ株式会社】https://www.yajirobe.me/
【小野洋平/Twitter】https://twitter.com/onoberkon

■のどかな田舎で暮らしたかった

北に雄大な浅間山が広がり、市の中央部には千曲川が流れる詩情豊かな小諸市。小山さんがこの地に移住したのは2013年5月、今から6年前のことだ。

東京・代官山に勤務する小山さんは6年前から毎日、新幹線を使って都内へ通勤している。通勤時間は、およそ2時間15分。なぜ、そうまでして小諸市への移住を決意したのだろうか。

▲ログハウスメーカーに勤めている小山さん

小山さん(以下省略)「元々は妻と横浜で賃貸マンションに住み、それぞれ都内で働いていました。ただ、結婚して住居の購入を考えた時に、将来のこと、子育てのことなど、住まいに何を求めるかを話し合ったんです。その結果、二人とも田舎育ちだったこともあり、ずっと住むならば都内ではなく、何となく郊外のゆったりとした、のどかな環境で暮らしたいという結論に至りました」

――なぜ、小諸市を選んだのでしょうか?

「妻が小諸市の出身だったからです。最初は私も東京まで通勤する発想はなかったんですけど、ちょうどその頃に長野県から新幹線通勤している人の情報を耳にしたんです。ただ、当時は若い世代の移住や新幹線通勤などが今ほど注目されていなかったため、インターネットで調べても参考になる情報はほとんど得られなかったんですよね」

――そこで断念してしまいそうですけど……。そこからどうしたんですか?

「まず、新幹線を使った場合の通勤ルートや費用を調べました。そのあと、現実性を探るために帰省を利用し、実際に通勤してみました。数ヶ月、シミュレーションを繰り返していくと、徐々に慣れていき、何となくいける道筋が見えてきたんですよね」

――長距離通勤の練習をしていたんですね。会社の反応はいかがでしたか?

「弊社は幸い、ログハウスや個性的な木の家を扱っている住宅メーカーのため、郊外から1時間半〜2時間かけて通勤している社員が多かったんですよ。ただ、新幹線通勤については前例がなかったんですけどね(笑)。
そのため、上司に相談すると『できるならばやってみたら?』とあっさり容認してもらえました。交通費も会社に一部負担してもらえますし、なにより地方で生活しながら、今の仕事を継続できたのは嬉しかったですね」

――長野に住むことも、会社に勤め続けることも諦めたくなかったと。

「そうですね。ただ、実現可能となった途端、『本当に大丈夫かな?』って心配もありました。それでも、長野に住みたいという想いが勝ったんですよね。調べて想像するのにも限界がありますし、無理だったらまた東京に戻ればいいかっていう考えもありましたから。まずは、住んでみようって腹を決めて。計画から1年経った2013年5月に長野県小諸市に移住し、同時に新幹線通勤を始めました」