Lifestyle / 2019 11,15 /Vol.2

【私が長距離通勤をする理由 Vol.2】
 〜自分にとってストレスがなく、グッドバランスが保てる小諸での暮らし~

昨今は職場の近くに住む「職住近接」のライフスタイルが注目されているが、一方で、何らかの理由で長距離通勤を選んだ人もいる。高速バスや特急電車、なかには新幹線を使い、都内へ2時間近くかけて通勤する長距離通勤者たち。なぜ、そうまでしてそこに住んでいるのだろうか?単純にその街が好きということもあるだろうし、あるいは何かやむにやまれぬ事情、知られざるドラマがあるのかもしれない。

連載第1回では、神奈川県逗子市の風景に魅了され、家を購入した女性を紹介。今回は、長野県の東部に位置する小諸市で暮らし、東京都内に勤務する小山剛さんに、約2時間の長距離通勤と引き換えに手に入れた暮らしについてお話を伺った。

小野洋平(やじろべえ)

1991年、埼玉県生まれ。東京の編集プロダクション「やじろべえ」所属。今までの実家引っ越し回数は4回です。
【やじろべえ株式会社】https://www.yajirobe.me/
【小野洋平/Twitter】https://twitter.com/onoberkon

■これから移住する人に向けた小山さんの思い

――趣味以外に、小諸で今後やってみたいことはありますか?

「漠然とですが、いずれは『移住』をテーマにした企画を行っていきたいと思っています。私の住む小諸市のように、寒い地域での暮らしに関心はあっても、具体的な生活のイメージが湧かない人が多いと思うんです。例えば、積雪してしまった朝は雪かきをして、暖気する必要があります。昔から住んでいる人にとっては日課に過ぎませんが、慣れてない移住者には面倒な作業だと思います。そのため、1泊2日で過ごせる小諸での暮らし体験や、穴場のお店を巡るツアーなどの企画を練っています」

「また、近年は東京以外に拠点を求める人が増えている一方で、空き家や空き別荘が多くなってきています。移住だけじゃなく、週末の拠点として、そういった物件をマッチングできたら面白いかなと。だから今はあえて知らない道を通って、土地や建物の情報をストックしているんですよ。いずれは、1年間のパッケージで住める物件を用意したり、私のように移住した人のサポートができたらいいなと思います」

――住居のハードルが下がると、移住したい人も増えそうですね。

「移住と聞くと、ハードルが高そうに思いますが、このエリアはそこまでストイックじゃないんですよ。山に囲まれたのどかなロケーションながら、東京までのアクセスも良いですし、軽井沢が近いため買い物環境も整っています。もちろん、移住の良い側面だけでなく、地域のコミュニティや医療環境、学校、交通網など、リアルな生活を伝えたいです。それは、実際に住んでいるからこそできることですからね」

――では、小山さんのように都内へ長距離通勤している方も多いのでしょうか?

「多いです。最近では、SNSでそういった人たちとつながることも増えてきました。実際に面識がある人もいれば、ツイッター上でやりとりしている人もいます。この前、新幹線が水没してしまった際、当面は臨時ダイヤだけだったんですけど、みんなでツイッターでやり取りし、この便は座れないよとか、高崎まで上越新幹線でいったほうがいいよとか、有益な情報を交換していました」

――SNSでもリアルでも、しっかりとしたコミュニティが築けているんですね。

「リモートワークも増加していることから、今後は物理的な制約、つまり通勤時間がなくなってくるわけじゃないですか。となると、どういう環境で生活したいのか、自分にとって、家族にとっての理想の暮らしについてより深く考えるようになり、住まいの選択肢が広がっていくと思います。私も今、それを実践している最中です」

――長距離通勤、どういう人が向いていると思いますか?

「良い意味でいい加減な人ですかね。根詰めて考えちゃうと、どうしても物理的なところ、時間的なところでストレスを感じてしまうと思うんですよ。多分、既成概念が強い人ほどストイックになり、結果つぶれてしまうと思います。だから、ほどよく適当な人が向いていると思います。仕事においても、ノマドワーカーのようにちょっとした環境で頭が回せる柔軟性や、天候で遅れた時に臨機応変に対応出来る力が必要だと思います」

「そもそも2時間かけて通勤って意味わからないですよね(笑)。でも、自分にとってはベターな選択なんです。より自分が良い状態で過ごすためにはどうすれば良いのか。私は環境って自らが作り出すものだと思っています。だから、自分に必要以上の負荷をかけてまで現状を維持する必要はないとも思いますし、逆に気持ちにゆとりがあると、新しいことへの関心やエネルギーが向いていきます。

私にとって、その環境を作り出せる場所は都内ではなく、この場所でした。ほどよい田舎に生活のベースを置くことで、家族も私も心身のグッドバランスの状態を保てる。これが、私が長距離通勤を続けている理由ですね」

(取材協力)
小山剛
移住と通勤の日々を綴るブログ「二つを一つに」
https://www.yamapan.life/

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