Lifestyle / 2020 03,12 /Vol.4

【私が長距離通勤をする理由 Vol.4】
 〜楽しいこと以外なにもない、一宮町での暮らし〜

昨今は職場の近くに住む「職住近接」のライフスタイルが注目されているが、一方で、何らかの理由で長距離通勤を選んだ人もいる。高速バスや特急電車、なかには新幹線を使い、都内へ2時間近くかけて通勤する長距離通勤者たち。なぜ、そうまでしてそこに住んでいるのだろうか?単純にその街が好きということもあるだろうし、あるいは何かやむにやまれぬ事情、知られざるドラマがあるのかもしれない。

連載第4回目では、千葉県一宮町で暮らし、東京都内に勤務する土生康弘さんを訪ね、約2時間の長距離通勤と引き換えに手に入れた暮らしぶりを伺った。

小野洋平(やじろべえ)

1991年、埼玉県生まれ。東京の編集プロダクション「やじろべえ」所属。今までの実家引っ越し回数は4回です。
【やじろべえ株式会社】https://www.yajirobe.me/
【小野洋平/Twitter】https://twitter.com/onoberkon

■移住の理由はなんといってもサーフィン

九十九里浜に面した千葉県東部に位置する一宮町。昔から、サーフィンに適した良質な波に恵まれ、「サーファーの聖地」として親しまれてきた。近年では2020年東京オリンピックのサーフィン競技会場に決定したことで、国内外を問わず多くのサーファーが訪れている。9年前から一宮で暮らす土生さんもまた、移住の理由はサーフィンだったそうだ。

▲都内にある情報通信系の会社に勤めている土生さん

土生康弘さん(以下土生さん)「都内に住んでいた頃は、基本的に職場から近い街に住んでいました。ただ、どこに住んでいても週末は必ず海に行っていたんですよね。そんな時に、ふと『もしかしたらサーフポイントの近くでも住めるんじゃないかな』と思い、移住先を探し始めたのがきっかけです」

——なぜ、一宮町を選んだのでしょうか?

土生さん「私は15歳からサーフィンをはじめ、今までにいろんな海を見てきました。なかでも、一宮の海は年間を通して、サーフィンに適した波がコンスタントに来ており、ここは日本屈指のサーフスポットだなって思ったんです」

——サーフィンと言えば、湘南なども盛んだと思うんですが?

土生さん「たしかに、職場がある都内までの通勤圏内で調べると、候補地は湘南か一宮に絞られました。ただ、私の中では一宮での生活自体にも漠然とした憧れがあったんです。高校時代の先輩が一宮に別荘を持っており、よく遊びに来ていたことが影響しているんだと思います」

——いつ頃から移住を計画されていたんですか?

土生さん「これといった計画はしていないです。もともとは、なんとなく30歳の時に都内でマンションを購入しようと思っていました。しかし、東京の港区や品川区で探していたところ、駅前のマンションとなると6000万円は下らなかったんですよね。その時に『移住』の二文字が頭によぎったんです」

——都心暮らしの利便性を手放すことに抵抗はなかったですか?

土生さん「確かに、都内での生活は便利でした。でも、結局都内で家を購入しても、週末にずっと一宮にいるのであれば、いっそのこと海の近くに住んだ方が楽しそうじゃないですか? もちろん、平日の通勤はしんどいだろうなって心配や不安もありましたが、それよりも楽しみの方が圧倒的に強かったんですよね。そのため、私からしたら都内での引っ越しと何ら変わらない感覚で移住を決めることができました」