マンションの騒音トラブルを回避する方法!よくある事例や、苦情の対処法も解説

マンションは住居が上下左右に隣接しているため、騒音トラブルが起きやすい傾向にありますが、対策を講じることでトラブルを回避できる可能性があります。この記事では、騒音トラブルの事例やその対策、トラブルが起きたときの対処法などをご紹介します。

目次
  1. マンションの騒音トラブルは起こりやすい?
  2. マンションの騒音の種類と実例
  3. マンションの騒音は「デシベル数」が目安
  4. マンションの騒音が気になる場合の対処法は?
  5. マンションの騒音トラブルを防ぐポイント
  6. マンションの騒音の苦情を受けたらどうする?
  7. 騒音トラブルを防ぐマンションの選び方
  8. マンションの騒音に困ったら買い替えも検討してみよう
記事カテゴリ マンション
2023.12.01

マンションの騒音トラブルは起こりやすい?

マンションに住んでいる方のなかには、「隣の住人の騒音が気になって眠れない…」「子どもの足音が気になる場合は誰にいえばいいのかな?」と悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか?

同じマンションに暮らす住民でも、騒音と感じる音の基準はそれぞれ異なります。また、生活リズムの違いが原因で、騒音をより感じやすくなるケースもあるでしょう。このように、生活スタイルが異なる住民同士で住居が上下左右に隣接しているマンションは、騒音トラブルが起こりやすくなってしまうといえます。

快適な生活を送るためにも、騒音トラブルの加害者や被害者になるのは避けたいところです。この記事では、騒音トラブルが問題となる事例やその対策、騒音トラブルが起きたときの対処法などを解説していきます。

マンションの騒音の種類と実例

マンションで暮らしていると感じる騒音は、「固体音」と「空気音」の2つに分類されます。ここからは、それらの特徴や具体例を見ていきましょう。

マンションの騒音に悩む夫婦

固体音

固体音(固体伝播音)とは床や天井、壁などの固体が振動することによって発生する音です。具体的には以下のような音が挙げられます。

足音
何気なく歩いている場合でも、自分が想像している以上に足音が下の階に響いている可能性もあります。また子どもがいる場合は、子どもが廊下を走り回ったり、飛びはねたりする音は、苦情につながることもあるので注意しましょう。

衝撃音
ものを床に落としたり、壁にぶつけたりするときに発生する音も騒音トラブルを招きやすい要因の1つです。カーペットやマットを敷いていない床にものを落とした場合、思っている以上に下の階に響いている可能性があります。

給排水の振動音
キッチンやトイレ、浴室の排水する際に発生するボコボコといった振動音も、場合によっては騒音の1つになります。異音がする場合、多くは掃除で改善されますが、それでも改善されない場合は、業者に確認してもらう必要があります。

扉の開閉音
扉は壁とつながっているため、大きな音をたてて扉を開閉すると、上下左右の住居にうるさく聞こえてしまうことがあります。扉を開閉する際は、注意しましょう。

建物の構造上、固体音は音の軽減が難しく、騒音トラブルになりやすいので、特に夜中や早朝に発生する固体音には注意が必要です。

マンションの騒音に対するご注意の書類

空気音

空気音(空気伝播音)とは空気を通して響く音のことです。具体的には以下のような音が挙げられます。

人の会話や音楽
大きな声で話したり、笑ったりする際や、子どもが騒いだり泣いたりする際は、空気を通して音が周囲に響きます。たとえ、窓を閉めている場合でも、声の音量によっては近隣に聞こえてしまうことがあるため、配慮する必要があるでしょう。また、部屋でスピーカーを利用して音楽を聴く場合にも同様の注意が必要です。

電話の呼び出し音
電話の呼び出し音は、音量によっては空気を伝って周囲に響き渡ります。携帯電話は、バイブレーション機能をオンにしたまま床に置いていると、バイブレーションの振動が階下に伝わってしまう場合もあるので、注意が必要といえるでしょう。

テレビの音
特に、夜中や早朝にテレビを観る際には、音量の配慮が必要です。また、テレビやテレビのスピーカーが壁に近い場合、思っている以上に隣の住居に音が漏れているかもしれないため特に注意しましょう。

ペットの鳴き声
たとえ、ペット可の集合住宅であっても、深夜や早朝にペットが吠えたり、走り回ったりすると騒音トラブルの原因になりやすいといえます。

意外と騒音になりやすいドアの開閉音

マンションの騒音は「デシベル数」が目安

音の大きさは「デシベル数」を基準に考えるのが一般的です。日常的な生活におけるデシベル数は以下の通りです。

デシベル数具体例
80デシベル鉄道の線路脇、飛行機の機内
70デシベル掃除機、騒々しいオフィス
60デシベル普通の会話、走行中の乗用車
50デシベル静かなオフィス
40デシベル昼間の静かな住宅地、図書館
30デシベル深夜の郊外、ささやき声
20デシベル木の葉のふれ合う音

※1

住んでいて望ましいデシベルの目安は昼間(午前6時〜午後10時)だと55デシベル以下、それ以外の夜間だと45デシベル以下であるとされます。つまり、昼間は静かなオフィス程度、夜間は図書館程度の静けさの範囲内であれば快適であるといえそうです。

これらはあくまで目安であることに加え、車道や幹線道路が隣接している地域では期待される静けさの度合いも異なってきます。騒音の目安について詳しく知りたい方は以下のサイトをチェックしてみてはいかがでしょうか?

●騒音による環境基準について詳しくはこちら
環境省 | 騒音に係る環境基準について

マンションの騒音が気になる場合の対処法は?

騒音トラブルに巻き込まれた場合、直接苦情を伝えるとかえって問題が深刻化する可能性もあります。騒音が気になった場合は、以下の対処法を試してみましょう。

マンションでの騒音に耳をふさぐ女性

管理会社や管理組合に連絡する

賃貸の場合は管理会社へ、分譲マンションなら管理組合へ相談しましょう。管理会社や管理組合が張り紙の設置や、文書の投函などで注意喚起を行ってくれます。

特に固体音の場合、騒音が上から発生しているように聞こえたとしても、実際はそうでないケースがあります。当事者を特定することが難しいため、推測だけで判断しないように注意しましょう。

知り合いなら話し合いをする

騒音の当事者が知り合いの場合は、直接話し合う方法があります。ただし、話し合いをする際には穏便に行うことが大切です。話し合いでトラブルが悪化しないようにするためにも、冷静な話し合いを心がけましょう。

弁護士に相談する

継続性があり、かつ、極めて悪質で一般的な受忍限度(我慢できる限度)を超えていると明らかに考えられるときは最終手段として弁護士に相談するようにしましょう。その場合、証拠として騒音を録音しておくと、より客観的な情報として受け取ってくれる可能性が高くなります。

弁護士に相談した場合は、弁護士から騒音主に通知書を送ることで問題が解決できることもありますが、改善する様子がない場合は裁判に発展するケースもあります。万が一、裁判になった場合は、騒音が起きた時間や場所を記録しておくと効果的です。

ただし、裁判沙汰になるとお互いにそのマンションに住みにくくなるため、できるだけ話し合いで解決できるのが理想です。

マンションの騒音トラブルを防ぐポイント

他人の発する騒音で自身が迷惑を被る可能性があるということは、自分の発する騒音が誰かに迷惑をかける可能性があることを意味します。つまり、騒音問題は誰でも被害者・加害者になりうる問題なのです。ここでは、自ら騒音トラブルを起こさないためのポイントをご紹介していきます。

騒音を防ぐためラグを敷いたマンションのリビング

マットやカーペットを敷く

衝撃を吸収できる防音マットや防音カーペットを床に敷くことがおすすめです。子どもがいる場合には、防音マットと防音カーペットを二重に敷いて厚みを持たせるとよいでしょう。また、分譲マンションであれば管理規約の範囲内でフローリングの床を防音性の高いものに変えることも効果的です。

家電の置き場所に注意する

テレビやステレオ、ピアノや電子オルガンなどは、壁側から離して設置しましょう。これらの家電や楽器が壁に接していると、空気音だけでなく固体音としても振動が伝わるので、周囲に迷惑をかけてしまう可能性があります。また、音が出るものを使用するときは、必ず窓を閉めるということも効果的な対策です。

どうしても壁の近くに設置する必要がある場合は、分譲マンションであれば管理規約の範囲内で壁に遮音シートを貼ったり、下に吸音マットを敷いたりして、周囲へ音が漏れないように工夫しましょう。窓に厚手の防音カーテンをかけるのも音漏れを防ぐ方法の1つです。

家事をする時間帯に注意する

洗濯機や掃除機を使う場合は、時間帯に注意することが大切です。就寝している人の多い夜間や、早朝はできるだけ控える必要があります。

マンションの苦情を受けて困る女性

マンションの騒音の苦情を受けたらどうする?

「万が一、マンションの騒音で苦情を受けたらどうすればいい?」と不安な方もいるのではないでしょうか?ここでは、実際に苦情を受けたときに取るべき対応について解説していきます。

情報を聞いて改善する

寄せられた苦情に心当たりがある場合は、問題点を見つけ、すぐに改善していきましょう。いつまでも改善されないと、再び苦情をいわれたり、問題が悪化したりする恐れもあります。騒音については管理会社や、管理組合、騒音を感じている住人から直接伝えられるケースが多いようです。

その際に、騒音の種類や、騒音が発生した時間帯など、騒音の具体的な情報を聞くことで、早期の改善につなげることができます。

管理会社や管理組合に相談する

もし、騒音に心当たりがない場合は、まずは管理会社や管理組合に相談してみましょう。先ほどもお伝えしたように、騒音の発生源は特定が難しいため、勘違いをされている可能性もあります。騒音の種類や騒音が発生した時間などの情報を聞いて、心当たりがなければしっかりとその旨を伝えることも大切です。

クレームをいった住人に管理会社や管理組合から伝えてもらうことで、当事者間の摩擦や言い争いといったトラブルを防ぐことが期待できます。

騒音について相談する夫婦と管理会社

騒音トラブルを防ぐマンションの選び方

マンションの選び方も騒音トラブルを防ぐためには重要な要素の1つです。ここからは、騒音トラブルを防ぐマンションの選び方について見ていきましょう。

防音に優れた構造を選ぶ

防音性に優れたマンションの構造には、RC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)があります。RC造やSRC造は、アパートや一戸建てで用いられる木造と比べると、遮音性の高さがメリットです。

また、壁や床などが厚いと遮音性能は高くなります。特に分譲マンションの場合は床の構造に二重床を用いる場合が多く、床が二重構造になることで一定の空間ができるため、重い衝撃音が伝わりにくいことが一般的です。

なお、床の遮音性は「L」で表示され、「L-50」より「L-40」といったように数字の小さいほうが遮音性は高くなります。一方で、壁の遮音性は「D」で表示され、「D-40」より「D-50」と数字の大きいほうが遮音性は高くなるので要注意です。遮音等級はパンフレットに表示されている場合があるため、参考にしてみてください。

また、防音性の優れた窓サッシを採用しているマンションも、物件選びのポイントです。サッシの遮音性は「T-1」や「T-2」で表現され、数値が大きい程防音性能が高くなります。

階層・位置・間取りを選ぶ

騒音トラブルに遭遇しにくい住戸を選ぶのも、騒音トラブルを回避する方法の1つです。たとえば、最上階の住居なら階上からの足音は聞こえませんし、1階なら子どもの足音が階下に響きません。加えて、角部屋であれば面している住戸が少ないため、必然的に伝わる音の発生源も少なくなります。

反対に、エレベーターの隣や機械式駐車場の近くの住戸は、それらを使用する際の音が伝わりやすい傾向にあるため注意が必要です。

マンションの騒音に困ったら買い替えも検討してみよう

ここまで騒音トラブルの事例やその対策、騒音トラブルが起きたときの対処法などを解説してきました。マンションで暮らしていく以上、騒音をゼロにすることは困難ですが、対策を講じたり、生活音について注意したりすることで、騒音を減らせる可能性があります。この記事を参考に、騒音トラブルを未然に回避し、もし起きてしまった場合は適切な対応を取れるようにしましょう。

問題が解決しない場合は、住み替えや買い替えも1つの選択肢です。騒音問題や近隣トラブルによってマンションの買い替えを検討している方は、不動産会社に無料の不動産査定を依頼してみましょう。

三井のリハウスでは、豊富な取引実績をもとに査定を受け付けておりますので、ぜひ気軽にお問い合わせくださいね。

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※1:音の大きさ及び振動のめやすについて,旭川市環境指導課,
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/kurashi/271/299/306/d053190.html
(最終確認:2023/10/31)

不動産鑑定士 竹内英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/