Column / 2021 06,17

家の解体費用の相場はいくら?安く抑える助成制度についても解説

「解体費用は高くつく」というイメージから、経済的な不安を感じてはいませんか?では解体費用はどのくらいかかるのでしょうか?解体費用を左右するポイントや費用を抑える対策についてご紹介していきます。

友田雄俊

さくら事務所 プロホームインスペクター。大手リフォーム会社にて、メンテナンス工事から大規模なフルリノベーションまで計300件以上を幅広く手掛ける。その後、株式会社さくら事務所に参画し、戸建てやマンション等様々な住宅診断の実施、本部運営に携わる。
https://www.sakurajimusyo.com/

家の解体費用、いくらかかる?

「不動産の売却や家の建て替えのために家を解体したい」。あるいは「相続した家が空き家のままになっているけれど、解体したほうがいいのだろうか?」と解体に踏み切れずにはいませんか?「解体費用は高くつく」というイメージから、経済的な不安を拭い切れないこともありますね。

では解体費用はどのくらいかかるのでしょうか?下記の表は建物の構造と坪数に応じた解体費用の目安です。ただし実際の解体費用は取り壊す家の条件によって金額が異なります。

20坪 30坪 40坪
木造 50~100万円 75~150万円 100~200万円
鉄骨造 70~140万円 105~210万円 140~280万円
RC造
(鉄筋コンクリート造)
90~160万円 135~240万円 180~320万円

解体費用を左右するポイントや費用を抑える対策についてご紹介していきます。

解体費用を左右するポイント

家の解体作業

解体費用は建築物の構造や立地といったいくつかのポイントによって左右されます。
解体費用に影響する要素は、大きく分けて2つ。1つは床面積に応じた費用と、床面積とは関係しない費用です。床面積に応じた費用としては、廃材の量や建物の構造、立地条件などが挙げられます。一方、床面積とは関係しない費用としては、ブロック塀や土間の撤去、整地の作業にかかる費用が考えられます。

床面積に応じた費用はあらかじめ見積もることができますが、床面積に関係しない費用は作業の途中で発生することがあります。

廃材の量

解体工事によって出る廃材は、分別をして処分するか、業者に買取をしてもらうことになります。
解体工事で出る廃材はリサイクル法に沿って産業廃棄物の分別します。この分別はとても煩雑で、廃材の分別を現場で行う職人の人件費がかさみやすくなります。

また、買取をしてもらう場合には、処分費用は相殺されます。そのため、廃材の需要と供給のバランス次第で買取費用が増減するのです。
ちなみに、建物の構造が鉄筋コンクリート造の場合、廃材となる鉄くずは2020年初頭には安く買い取られていましたが、2020年3月以降には高値取引されるようになっています。

積み上げた廃材

建物構造

木造よりも鉄骨、鉄骨よりもRC造と、素材が頑丈になればなるほど解体に必要な技術や機材、手間と時間がかかります。おのずと解体費用の坪単価も上がります。

坪数

坪数が多いほど解体作業量が増えるため、家が広いほど解体費用は高くなります。また、同じ坪数であっても、平屋よりも2階建てのほうが安くなります。なぜなら、解体費用がかかるのは、家のなかで造りが頑丈な屋根と基礎の部分になるからです。

たとえば100平米の平家と100平米の2階建てを比べてみましょう。100平米の平屋には、100平米すべてに対して屋根と基礎があります。一方、2階建てで1階の床面積を50平米、2階も50平米とした場合、重なる50平米の床に対して屋根と基礎があります。単純に計算して、床面積に対する屋根と基礎の解体費用は、平屋よりも2階建てのほうが半分になり、床面積に応じた解体費用は2階建てのほうが安くなるのです。

立地条件

立地条件は、解体作業のしやすさに違いが出てきます。重機が入りやすく作業がしやすい立地であればよいのですが、その逆で隣家と近接していたり、重機が入りづらかったりすると、人手による作業が増え解体費用がかさみやすくなります。

また、建物の解体後には整地をするプロセスがあります。地盤改良や木々の伐採やゴミや石、アスファルトの破片の撤去などが必要になると、解体費用は高くなりますよ。

そのほかのプラス要素

解体作業中の騒音の発生や粉塵の飛散への対策として、近隣に向けた強い配慮が必要になると、作業工程が増えるでしょう。また土間やブロック塀などの撤去が必要な場合はその分の費用も計算に入れる必要があります。ここまでは見積もりの段階で分かることです。

ただ、解体作業中に見積もりの段階では予想しなかったことが起こりえます。廃材にアスベストのような有害物質が入っていたり、整地の際に地中に古井戸が埋まっているのを発見したりすると、別途追加費用が発生します。

解体費用を抑える方法

解体費用の負担はできる限り軽減したいもの。費用を抑えるには、解体業者の手間を出来るだけ減らすために自分で出来ることを実施したり、資金調達の工夫をしたりしましょう。具体的にご紹介します。

家の模型と札束

事前に片付けをする

解体費用を抑えるためには、業者に頼まずにできる部分は、自分で行うことをおすすめします。庭木の伐採、廃棄物の分別や運搬など、自分で行うことができないか検討しましょう。

自治体のサポートを利用する

多くの自治体から、独自の助成金制度が出ています。自治体によって助成する対象や条件が違いがあるので、解体したい家が該当するかを確認して、申請手続きを行いましょう。

解体に利用できるローンもある

解体後に新築する予定がある場合は、解体費用を住宅ローンのなかに組み込めるかもしれません。住宅ローンで資金調達を検討する段階で、金融機関に相談してみましょう。

また、売却を前提とした解体の場合は、使用目的が自由な「フリーローン」や金融機関が独自の審査基準で融資してくれる「プロパーローン」、担保や保証人不要で低金利の「空き家解体ローン」も利用できますよ。

家の解体工事の流れ

解体工事とそれに伴う費用を把握し、自治体の助成制度を確認したら、複数の業者に見積もりを取りましょう。インターネットの一括見積もりサービスを利用するのもおすすめです。解体業者を選んだ後、どのように進めていくのか、解体工事の流れを順番にお伝えします。

家の解体作業

[ 1 ] 家屋調査

まず行われるのは近隣の家屋調査です。解体工事をする際、振動により近隣の建物にヒビが入ったり、建物が傾いたりする可能性があります。そのトラブルが解体工事によるものなのか判断するために、事前に家屋調査をするのです。特にRC造の建物を解体すると、振動が大きいといわれます。

[ 2 ] 現地調査

次に現地調査が行われ、正式に見積もりが出されます。現地調査には必ず立ち会って、依頼した業者の状況判断と費用の算出の仕方を現場で確認しましょう。
現地調査は1社ではなく、複数の業者に依頼し、比較検討するのがポイントです。

あくまで目安ですが、見積もりから解体工事終了までは1か月程度見ておくとよいでしょう。

[ 3 ] 解体工事

解体工事は、業者が始める前に施主が行うことと、業者に任せる工事の2つに分けられます。
解体工事を実施する準備として、以下を済ませておきましょう。

・自治体へ解体工事の申請(解体の1週間前まで)
・近隣への挨拶(解体の3日前まで)
・不用品の撤去(解体工事実施まで)

自治体によっては「事前周知標識の設置」の申請が必要な場合があります。近隣への挨拶と自治体への申請は、解体業者に代行を依頼することも可能です。

また、近隣への挨拶はできる限り早めに行うことをおすすめします。昨今では自宅で仕事をする人が増え、解体工事によっては「仕事にならない」ということがあるでしょう。近所迷惑にならないように、余裕をもって挨拶をしましょう。

[ 4 ] 廃材処理、整地

家屋の解体工事を終えたら、廃材の処理・運搬と、整地作業が行われます。解体工事の後、その土地をどうするか、土地の使用目的はあらかじめ決めておきましょう。整地した後、新たに住宅を新築するのか、更地として売却するか、駐車場にするのかなど、用途によって整地の仕上げ方は変わります。

解体工事後は、廃材の分別と運び出し、地中の確認、整地などの工程が行われます。

解体後のプランを考えよう!

これまで住宅用の建物があった土地の場合、更地にすると受けていた固定資産税、都市計画税の軽減措置を受けることができなくなります。住宅用の建物がある土地は200平米以下の部分で、固定資産税が1/6、都市計画税が1/3減税されていました。

解体するにもお金がかかりますが、解体後の土地をどうするか、ということも考えておかないと、費用が余計にかかる可能性があるということですね。家を解体する前に、あらかじめ解体後の土地を有効活用するプランを考えておきましょう。

なお、解体工事を行ってから1か月以内に「建物滅失登記」を申請することが義務付けられています。申請を忘れると、10万円以内の罰金が課せられることがあるので覚えておいてくださいね!

家の模型と電卓とお金