Column / 2020 11,12

古い家の活用方法とは?古い家でも売却できる?

「地方にある実家を相続したけど、自分は上京していて管理できない…」「長いこと放って置いた空き家があるけど見てみぬふりをしている…」など、古い家の管理や活用に困ってはいませんか?今回は、そのままでは利用できない古い家を上手に売却する方法を中心にご紹介していきます。

秋津智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。物件の選び方や資金のことなど、不動産に関する多岐のサポートを行なう。

古い家の管理や活用、どうしたらよい?

「地方にある実家を相続したけど、自分は上京していて管理できない…」「長いこと放って置いた空き家があるけど見てみぬふりをしている…」など、古い家の管理や活用に困ってはいませんか?

こういった古い家も状況次第では、DIYやリフォームすることで住めるようになったり、賃貸物件として人に貸したりすることができます。最近では、古い民家でも立地や建物の状態によっては店舗として貸し出せる場合もあるかもしれません。DIYやリフォームを施して住むあるいは貸すのもよいのですが、費用面を考えるとやはり思い切って「売却する」という選択肢がおすすめです。

今回は、そのままでは利用できない古い家を上手に売却する方法を中心にご紹介していきます。

古い民家

売却しないなら人に貸すことを検討

生活圏と離れているといった理由で、自分で住むことができない古い家については、人に貸すことを検討してみましょう。

建物が、そのままでは貸すことができないような状態であればリフォームが必要になります。人に貸す場合は、キッチン、バス、トイレなどの水回りや、電気、ガス、上下水道など、住むにあたって最低限必要なものを使えるようにすることが必須です。リフォームにかかる費用と人に貸した場合の家賃収入とを比較検討して、数年程度でリフォーム費用が回収できるようであれば、人に貸すことを真剣に考えてもよいでしょう。

ただし、人に貸すといっても借り手がいなければ、リフォームするだけ無駄になってしまいますよね。そこで、周辺の賃貸住宅の入居状況や家賃相場などを調べて、需要があるか、リフォーム代など回収できるかといった検討が非常に重要になります。

最近は、「DIY賃貸」といった入居者が室内を自由にリフォーム、改装できる賃貸住宅も人気となっています。古い家は、こうした需要に応えられる可能性もあります。人に貸す場合は、何よりも借り手がいるかという視点が大切です。この点を重視して検討するようにしましょう。

古い家でも売れる?古い家を上手に売る方法

人に貸すといった活用が難しい場合は、やはり売却を視野に入れる必要があります。売却の場合、古い家を売る方法は大きく2つです。

・不動産仲介会社に「仲介」してもらって売却する方法
・不動産会社に「買取(かいとり)」をしてもらう方法

仲介の場合は、市場に物件情報を公開して買主を募集しますが、買取の場合は、市場に情報を公開する前に不動産会社が直接物件を購入します。

仲介で売り出す場合、仲介会社が売却活動をサポートしてくれるので、市場の相場価格で売却できるということがメリットです。ただし、売却までに時間がかかったり、確実に売却できるとは限らないという注意点もあります。

買取してもらう場合は、仲介に比べ早期に売却できて、仲介手数料もかからないという利点があります。その一方で、仲介で売る場合よりも売却価格が安くなる可能性があります。

ここでは、さらに4つの売り方に分けて「古い家の売却方法」をご紹介します。

不動産に関する打ち合わせ

「古家付き(ふるやつき)」の土地として売る

1つ目は、古家付きの土地として売る方法です。「建物」の価値はないものとして「古家がある状態で土地として」売るという方法です。
この方法では、土地として売却するため、売却の対象となるのは基本的に土地を探している人です。
不動産の売却では、たとえば木造の建物である場合、築年数が20年以上となるとほとんど建物の価値はないものとして売買されます。すでに築30年、40年となれば、購入者が建物を取り壊して建て替えることが前提になることが多く、その場合は取り壊しが必要な分だけ不動産の価値が下がることが一般的です。

古家付きとして売り出すメリットは、建物の解体などの手間が省けるという点です。最終的に取り壊し費用分値引きしてもその手間分はメリットになります。

また、古家付きの土地では、基本的に買主が住宅ローンを利用するのが難しくなってしまう点に注意が必要です。
一般的な住宅ローンは、融資の条件として「建物と土地を同時に購入する」があります。古家付きの土地の場合は建物の価値がほとんどなく、土地のみ購入するという扱いになるため、そのままでは住宅ローンの対象外となってしまうのです。

買主が更地を求めている場合、土地のみの購入でローンを利用するには要件が厳しく、まず土地だけの購入でローンを組むのは難しいでしょう。
古家付きで販売している場合でも、買主が更地を求めているときは、家の解体費用がかかるため、売買価格の値引きを求められたり、解体を条件とすることを求められる場合があります。

更地にして土地を売る

売りたい家がかなり古い場合は、解体して更地にして土地を売るという方法もあります。建物を解体する費用はかかってしまいますが、更地にして土地を売る方法にもメリットはあります。

もともと更地が欲しい人にとっては、古家付きの土地と比べて建物の解体が済んでいる分、すぐに新たな建物の建築に取り掛かれるのはメリットになるでしょう。このため、古家付きで売り出すよりも早く、より高く、売却できる可能性があります。もともと土地は、その土地に最大限の価値を生む建物を建てることを想定して価値を見てもらえるため、更地が最も高く見積もられるからです。
また、建物がない分、売主は売却するまでの空き家の管理にかかる手間や費用がかからないというメリットもあります。

一方で、建物の解体費用やその手間は必要になります。さらに、更地を1年以上保有する場合は、建物付きの土地と比べて特例措置の適用がなくなり、固定資産税の負担が重くなるということもあります。売れない時期が長引いてしまうと、その分税金負担は増えるため、建物の解体については時期を事前に検討することが大切です。

家をリフォームして売る

古いといってもそれほどの築年を経ていなければ、家をリフォームしてから売るという方法も考えられます。古い家でもリフォームを施して快適に住めるようにできれば、物件の価値が高まります。

というのも、リフォームをすると不動産広告に「リフォーム済み」と表記でき、場合によっては購入希望者が増えることがあるのです。物件の清潔感が上がり、利便性も高まるので、築年数が同じくらいの物件の中でも高額売却が期待できますよ。

ただし、築年数の古い戸建て住宅では売主が売却するためにリフォームすることはほとんどありません。それは、一戸建てではマンションに比べ相当のリフォーム代がかかってしまうからです。古くなればなるほどリフォーム箇所が増え、考えていた以上に費用がかかってしまう可能性が高くなります。
売却前のリフォームについては、リフォーム箇所や規模、その費用を、売却できそうな価格と比較検討したうえで、実施するようにしましょう。

なお、耐震補強工事には地方自治体の補助金制度が用意されている場合があります。リフォームを検討する場合は、もし利用できるならこれらの補助金を上手に活用するのがおすすめです。
補助金を受けるためには条件があり、地域によっても金額が異なります。詳しくは国や自治体へ確認してみてくださいね。

不動産会社に買い取ってもらう

できるだけ早く売却したい場合は、不動産会社に買取をお願いする方法があります。買い取ってくれる不動産会社が見つかれば、仲介で売るよりも早く売却できるでしょう。

買取の場合、それほど家が傷んでいなければ、買主となった不動産会社が家をリフォームしたり、解体して更地にしたりと、売却するための対策をします。一戸建ての買取の場合は、更地にしてそこに新築住宅を建築して販売することが多くなります。
そのため、買取額は解体費用や税金など必要な経費を差し引いた額となり、価格は市場より低くなることが多いようです。

古い家の売却手順は?

ここまで、古い家を売る方法をご紹介しました。次に、家を売る手順についてご紹介しましょう!特に、仲介で売る場合の一般的な6ステップをお伝えします。

書類と捺印

[ 1 ] 事前準備
売却の希望条件の整理や不動産に関する必要書類の用意などを行います。

[ 2 ] 査定・媒介契約
希望する不動産会社に売却物件の査定をしてもらい、査定額を確認します。査定の結果を比較検討して、仲介してもらう不動産会社を選び、媒介(仲介)契約を結びます。契約後、不動産会社と相談して売出価格を決定します。

[ 3 ] 販売活動
不動産会社が物件の情報を一般に公開し、購入希望者を募ります。売却活動中、売主は物件の建物の内覧の準備や対応を行います。また、一戸建てや土地の場合、この売却活動中に土地の測量、隣地との境界確定などを行います。売却の話が進むと、価格交渉や引き渡し時期の相談など、購入希望者からの要望にも対応します。

[ 4 ] 売買契約
購入希望者から購入申込があり、その条件に問題がなければ売買契約を行います。売買契約では、金銭的な条件や引き渡しのことなども取り決めます。

[ 5 ] 決済・引き渡し
買主の購入準備が整えば、日程を調整して決済・引き渡し日を決定します。決済では売買代金の残金を受け取り、必要なお金の清算をします。全てが完了したら、物件の引き渡しです。なお、この日に所有権移転登記など権利の移転なども同時に行います。

[ 6 ] 確定申告
不動産を売却したときに利益が出た場合は、売却の翌年に確定申告が必要です。売却益が出そうな場合は、あらかじめ税理士など専門家に相談して準備しておく必要があります。

マンション売却の流れに関する記事はこちら
【マンション売却の流れ】必要な準備や費用、売れるまでにかかる期間は?

古い家を売却するためのコツは?

古い家を売るのは、容易ではありません。家の売却の流れが分かって、より具体的なイメージが涌いてくると、「どんな古い家でも確実に売れるのだろうか?」と不安になる人もいるでしょう。
もちろん、どんな家でも必ず売れるとは限りません。そこで、古い家を売るためのコツをご紹介します。

家の模型と補聴器

頼れる不動産会社を選ぶ

家を売る場合、不動産会社が頼れるかどうかは重要なポイントです。特に古い家を仲介で売る場合、より高く、より早く売れるかどうかは、不動産仲介会社の営業力によって左右されることも多くなります。そのため、仲介してくれる不動産会社は、しっかりと吟味して選びたいものです。

まずは、不動産会社に相談してみましょう。そして、相談の対応のよい不動産会社に査定を依頼し、その中で不動産会社を比較検討してより信頼できる会社を選んでください。たとえば、古い家でも販売実績があるかどうか、そのエリアの不動産売却に強いか、担当者が親身になって対応してくれるかどうか、といった観点から見極めます。

建物に価値があるときはアピールする

古い家であっても、建物自体の価値が長く持続するような魅力を持っている場合があります。そうした家については、売却にあたってその点をきちんとアピールしましょう。

たとえば、鉄筋コンクリート造の家であれば、築30年であってもまだ十分に住むことができます。その場合は、事前に住宅診断を行い、不具合のチェックをしておくのもおすすめですよ。

住宅診断とは、ホームインスペクションとも呼ばれ、家の劣化や欠陥などを住宅診断士が調査してくれるサービスのことです。古い家でも強度に問題がないと分かれば、買主が付きやすくなります。また、不具合があった場合には、その旨を買主へ明確に伝えておくことで、売却後のトラブルを避けることができるでしょう。住宅診断を行いたい場合は、不動産会社に相談すれば住宅診断の専門会社を紹介してもらうこともできます。

ほかにも、「著名な建築家が設計・デザインした」「著名人が住んでいた」などの特殊な事情がある場合は、購入希望者にその旨をアピールすることで売却しやすくなることがありますよ。

更地での売却を検討する

古家付きの土地として売るとき、古い家があるために購入希望者がなかなか見つからないこともあります。その場合は、思い切って更地にして売却することを検討しましょう。

古い家に購入希望者が付きづらいのは、そのままの状態では住めないという理由からだけとは限りません。間取りや設備が時代に合っていないことも売れない原因となる場合があるのです。そんなケースでは、リフォームにお金をかけて売却するよりも、更地にしてしまった方が買主の自由にできるため、売りやすくなります。

建物の解体費用はかかりますが、古家付き土地の売却の際に建物の解体費用を値引き交渉されるよりも自分で解体した方が安く済み、手元に残るお金が多くなる可能性が高いですよ。

古い家を上手に活用するために

古い家から手を振る祖父と孫

所有していながら自分が住む、あるいは人に貸すなど不動産の利用を考えていない古い家は、売却した方が管理の手間や維持費もかからず得策といえます。家が古くても、よほど立地が悪くなければ売れる場合もありますので、まずは不動産会社に相談してみるとよいでしょう。

使用することのない古い家は、所有しているだけで無駄な維持費を払い続けていくことになります。また、こまめに家の状態をチェックできないと、「庭の木や雑草が伸び放題となって隣家にはみ出した」といったトラブルにもつながりかねません。
さらに、管理に困って空き家の状態で放置すれば、不法侵入や放火のリスクが高まったり、倒壊の危険性が上がったりと、近隣に不安を与えクレームにつながることもあるでしょう。

こうしたことになる前に、古い家を上手に売却しましょう。ぜひ頼れる不動産会社を見つけて、計画的な売却を進めていってくださいね!