古い家を売る方法は?売却やリフォームの注意点について解説

長年住んだ古い家や、相続で引き継いだ古い家は、築年数の経過による劣化や不具合が発生する可能性が高く、売却やリフォームの際には注意が必要です。この記事では、古い家を所有することの注意点や、売却・リフォームの方法について解説します。

目次
  1. 古い家とは?
  2. 古い家(空き家)を所有することのリスク
  3. 古い家を上手に売る方法
  4. 古い家を売るためのコツ
  5. 古い家を売るときに使える税制優遇措置とは?
  6. 古い家の上手な売却は査定から
記事カテゴリ 売却 一戸建て 土地
2024.03.28

古い家とは?

「古い家」とはどのような状態の家のことを指すのでしょうか?古い家に明確な定義や判断の基準は存在しませんが、判断の目安として考えられるのは以下の2点です

・法定耐用年数
・耐震性

順番に解説していきましょう。

法定耐用年数

古い家か否かを判断する目安の1つは、「築年数が法定耐用年数を超えているかどうか」です。法定耐用年数とは、固定資産の資産価値が会計上なくなるまでの期間を定めた年数のことで、建物の寿命とは異なり、主に税額を計算するうえで、減価償却費を求める際に用います。

法定耐用年数は、あくまで税務上で定められた使用可能期間であり、実際に使用できる期間とは異なります。家自体は、きちんと修繕して維持管理していれば、耐用年数を超えているからといって一概に古い家とはいえません。ただし、法定耐用年数が税務だけでなく、金融機関でも建物の価値判断の目安となることは覚えておきましょう。

たとえば、木造住宅の法定耐用年数は22年です。実際は、22年が経過したからといって住めなくなるわけではありませんが、住宅ローンを利用する際に、金融機関が法定耐用年数を参考にして融資条件を判断することがあります。金融機関によっては、法定耐用年数をすぎていると、ローンの審査が厳しくなる可能性があることに注意しましょう。

●耐用年数について詳しくはこちら

売却予定の古い家

耐震性

古い家の目安として、現在の建築基準法で定められている耐震基準を満たしているかどうかも挙げられます。

現在の耐震基準が導入される前の基準(旧耐震基準)では、10年に一度発生すると想定される中規模の地震動(震度5程度の揺れ)でも建物が倒壊せず、破損の程度も補修可能な範囲の構造であることが条件とされていました。

一方、1981年(昭和56年)6月から導入されている現在の新耐震基準では、震度6~7程度の揺れで損傷はしても、倒壊・崩壊しない耐震性があることが条件とされています。建築基準の変更により、新耐震基準を満たしていない家は「旧耐震基準で建てられた古い家」と見られることが多く、特に住宅ローンの審査において厳しく判断されることがあります。

古い家(空き家)を所有することのリスク

古い家のなかでも、特に人が住まなくなった空き家を、管理もせず放置することには、いくつかのリスクがあります。人が住まなくなった、古い空き家を放置した場合の主なリスクは以下の3点です。

・税金が高くなる
・倒壊の危険性がある
・衛生面や治安の悪化を招く

それぞれのリスクについて具体的に見ていきましょう。

古い家と樹々

税金が高くなる

空き家となった古い家を放置すると、固定資産税が高くなるリスクがあります。通常、居住用の建物が建っている土地には特例が適用され、固定資産税において以下のような軽減措置が認められています。

土地の広さ固定資産税評価額の軽減措置(評価減)
200㎡までの部分1/6
200㎡超の部分1/3

しかし、令和5年12月、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が改正され、周囲に著しい悪影響を及ぼす「特定空家等」だけでなく、特定空家等となる恐れのある「管理不全空家等」であると自治体から指定され勧告を受けると、上記の固定資産税の軽減措置の対象から除外されることになりました。そのため、古い家に住まず、かつ維持管理を怠っていると、税負担が最大6倍になる恐れがあります。維持管理に手間や費用をかけたくない場合は、早めの売却が望ましいでしょう。

倒壊の危険性がある

空き家となった木造の古い家を長い間適切な管理をせずに放置すると、建物が倒壊するリスクが高まります。人が住んでいない家は、室内に風が通らず湿気がたまり、カビ・結露などが発生しやすくなるのに加え、風雨による侵食やシロアリ被害などもあってより老朽化が進みやすくなり、思っているより早く建物の倒壊する可能性が高まるのです。

衛生面や治安の悪化を招く

空き家となった古い家を管理せず放置すると、敷地に雑草が生い茂り、近隣からクレームが来る恐れがあります。それだけでなく、ゴキブリや白アリ、ムカデなどの害虫が大量に発生したり、ねずみやハクビシンなどの害獣の巣になったりすることも。害虫や害獣の被害が近隣に及ぶと、対応に追われてしまうこともあるでしょう。

また、空き家となった古い家は、犯罪者の拠点となるリスクもあります。たとえば、禁止植物の栽培拠点や、犯罪者や不審者の潜伏場所となることもあり得るため注意が必要です。

木と白アリ

古い家を上手に売る方法

それなりの築年数を経過した「古い」とされる家は、住宅として売却する場合、ハードルが高くなります。しかし、古い家に適した売り方をすれば、購入希望者を見つけることは可能です。ここでは、古い家を上手に売る2つの方法をご紹介します。

・古家付きの土地として売る
・空き家バンクを利用する

古家付きの土地として売る

古い家を売却するときは、土地に焦点を当て、「古家付きの土地」として売る販売手法が挙げられます。もちろん、建物を解体して更地として売るほうが売りやすいですが、解体には費用も手間もかかります。現状のまま建物のある土地として売ることで、費用や手間を省けるのは売主にとって利点といえるでしょう。また、土地が欲しい人と、今ある建物に少しの間だけ住み、その後新築の家を建てたい人の両方が購入対象者となるため、売りやすくなります。

空き家バンクを利用する

特に地方や郊外の空き家の場合、自治体やNPOなどが運営する空き家バンクを利用すれば、不動産会社に仲介や買取を依頼せず古い家を売りに出すことができます。空き家バンクとは、空き家の賃貸・売却希望者の情報を集め、空き家を利用したい人に紹介する仕組みです。

空き家バンクは、一般的に仲介手数料が発生せず、不動産会社に断られてしまった物件でも登録が可能です。ただし、売却価格は著しく低くなる傾向があり、場合によっては無償となるケースもあります。また、ほとんどの場合、売買契約は当事者同士で行うことになるため、物件や取引条件についてトラブルが発生する恐れがあることに注意しましょう。

上記以外にも、家をリフォームして売るといった選択肢がありますが、リフォーム費用と売却価格とのバランスを考えることが大切です。詳しくは、以下をご覧ください。

●古い家の売却方法に関して詳しくはこちら

古い家の売却については、その家の状態に合わせた売り方があるため、不動産会社の担当者とよく相談し、売却の方法を検討しましょう。

造成地

古い家を売るためのコツ

古い家を売る方法はありますが、築年数が浅い家と比べると、売却のハードルは高くなる傾向にあります。ここでは、古い家を売るための主なコツとして、以下の2点について紹介します。

頼れる不動産会社を選ぶ

古い家に限らず、家を売却するときは、頼りになる不動産会社を選ぶことが大切です。特に古い家を一般的な仲介で売却する場合、不動産仲介会社の営業力が成約価格や売却期間に大きく影響します。そのため、仲介を依頼する不動産会社は慎重に選びましょう。

不動産会社を選ぶときのポイントは、以下の通りです。

・担当者の対応が誠実で丁寧か
・古い家の販売実績があるか
・査定額に根拠があるか
・その地域を理解しているか

古い家は、どのような売り方をするかによって査定額が変化します。査定額について納得のいく説明があり、物件の状況に合わせた売却プランを提案してくれる不動産会社を選ぶようにしましょう。

三井のリハウスでは、地域密着型の店舗展開と豊富な取引実績から、古い家の売却も手厚くサポートしております。ぜひ一度査定をお試しいただき、気になることはお気軽にお問い合わせください。

●査定のお申し込みはこちら

家の中をチェックする作業服姿の男性

ホームインスペクションを実施する

古い家の購入を検討している人は、物件の耐震性や欠陥の有無と程度について不安に思うものです。そのようなときは、ホームインスペクションを受けて物件の状態を明らかにすると検討している人の不安が軽減され、取引がスムーズになりやすくなります

ホームインスペクションとは、住宅診断とも呼ばれ、家の劣化や欠陥などをインスペクター(住宅診断士)が調査してくれるサービスです。古い家でも現状に問題がないと分かれば、買い手が現れやすくなります。たとえば、一戸建てであってもRC造や重量鉄骨造の家で、かつきちんと維持管理ができていれば、築30年であってもまだ十分に住むことが可能です。ただし、一般の人が見ても判断がつかないため、インスペクションによる報告書があると安心材料になります。

また、インスペクションを受けて不具合があった場合も、その旨を買主へ伝えておくことで、売却後のトラブルを避けることができるでしょう。住宅診断を行いたい場合は、不動産会社に相談して住宅診断の専門会社を紹介してもらうこともできます。

●ホームインスペクションに関する記事はこちら

古い家を売るときに使える税制優遇措置とは?

古い家を売却した場合、物件の譲渡価格(売却価格)から、取得費用と譲渡費用を差し引いた額を「譲渡所得」と呼びます。譲渡所得がプラスの場合には、所得税や住民税などの税金が課されます。

古い家を売ってプラスの譲渡所得が発生し、要件を満たした場合、これらの税を軽減する優遇措置を利用することが可能です。古い家を売却する際に活用できる税制優遇措置は、主に以下の3つです。

・居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
・マイホームを売ったときの軽減税率の特例
・被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

歪んだ家の模型

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

居住用財産とは、この場合マイホームのことを指します。マイホームを売却してこの特例が適用されれば、所有している期間に関係なく、売却益が発生しても3,000万円まで控除され、所得税と住民税(合わせて譲渡所得税と呼ばれる)の節税が可能です。

適用されるためには、さまざまな要件を満たす必要があり、確定申告が必要なので、国税庁のサイトを確認し、当てはまるかチェックしてみましょう。

●3,000万円の特別控除の要件はこちら

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

売却した年の1月1日時点で、所有期間が10年を超えるマイホームを売却した場合、もう1つ特例を受けられる可能性があります。要件を満たすと、上記の3,000万円の控除に加えて、長期譲渡所得(所有期間が5年を超える不動産を売ったときの譲渡所得)の6,000万円以下の部分について、通常より低い税率で計算する軽減税率の特例を受けることができます。

適用要件については、以下のページをご確認ください。

●軽減税率の特例の要件はこちら

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

この特例は、自宅以外でも相続によって取得した空き家を売却したとき、要件を満たせば、プラスとなった譲渡所得から最大3,000万円を控除できるというものです。この特例の要件の1つは、昭和56年5月31日以前に建築された区分登記建物ではない古い家であることで、古い一戸建てが対象となっています。ほかの要件については、以下の国税庁のページで確認しましょう。

●被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例について詳しくはこちら

古い家の場合、建物の価値が低くても土地の評価が高く、高値で売却できることもあります。売却益が高額になる場合は、上記2つの特別控除のいずれか、もしくは軽減税率の特例が利用できるか確認し、所得税や住民税を軽減できるか検討しましょう。

ほかにも、古い家を売却し、別の家を購入した場合は「特定の居住用財産の買換えの特例」、譲渡損が生じた場合は「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」といった税の優遇措置を利用できる可能性があります。それぞれの要件を確認しておきましょう。

古い家から手を振る祖父と孫

古い家の上手な売却は査定から

これまで、古い家を管理せずに放置するリスクや、売却時の選択肢、売却時に活用できる税制の優遇措置について紹介してきました。

最適な売却プランを立てるためにも、まずは査定を受け、不動産会社に売却方法や節税について相談してみてはいかがでしょうか?不動産の知識を持つプロが、売却する家や土地の、資産価値や状態を考慮し、最適な売却方法を提案してくれます。

三井のリハウスでは、地域密着型の店舗展開と豊富な取引実績から、家を売るお客さま一人ひとりに寄り添った売却を提案しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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秋津智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。物件の選び方や資金のことなど、不動産に関する多岐のサポートを行なう。