【2023年】マンションの売り時はいつ?居住用、投資用それぞれのポイントを解説

マンションの売り時を見極めるには、不動産相場の状況、築年数、シーズン、周辺環境の状況、大規模修繕の予定、個人的な事情といった要素を考慮する必要があります。この記事ではマンションを売るタイミングについて、居住用・投資用それぞれのポイントを解説します。

目次
  1. マンションの売り時を知りたい!
  2. 居住用マンションの売り時は?
  3. 投資用マンションの売り時は?
  4. マンションの売り時を決める際の注意点
  5. 売り時の相談も不動産会社へ!
記事カテゴリ 売却 マンション
2023.09.04

マンションの売り時を知りたい!

マンションをできるだけ高く売却するにはタイミング、つまり「売り時」を見極めることも重要なポイントです。売り時を賢く見極めるには、相場や物件の状況、個人的な事情などさまざまな要素を考慮する必要があります。

そこで今回は、マンションの売り時について、居住用・投資用に分けてそれぞれのポイントを解説します。マンション売却を検討中の方は、ぜひタイミングを判断する参考にしてくださいね。

青空とマンション

居住用マンションの売り時は?

今住んでいるマンションの売り時を見極める場合、主に考慮したい要素は「相場の状況」「建物の築年数」「シーズン」「周辺環境の状況」「大規模修繕の時期」「個人的な事情」の6つです。それぞれについて、詳しくご紹介しましょう。

相場の状況

不動産の相場は経済市況に左右されるため、社会的な問題や出来事の影響を受ける場合があります。最近では、新型コロナウイルスや円安基調の為替などがその例です。こうした問題によって不動産の相場がどのように変動しているかを知るには、毎年公表される「地価公示価格(公示地価)」や「基準地価」、「不動産価格指数」などの推移をチェックするとよいでしょう。

●公示地価、基準地価に関する記事はこちら
公示価格とは?不動産売却時に知っておくとよい基礎知識と調べ方を解説

家のミニチュアとグラフ

また、住宅ローン金利やマンション価格の最新の動向をチェックすることも大切です。2022年12月と2023年8月には都市銀行を中心に固定金利の引き上げが発表されましたが、変動金利は2023年現在、低い状態が続いています。そのため、住宅ローン金利については引き続き住宅購入しやすい状況であるといえるでしょう。一方、中古マンションの価格も高騰し続けていることから、現在は売却するには有利なタイミングだといえます。

しかし、中古マンション価格の高騰がこのまま継続するとは限りません。なぜなら景気回復のために金利の引き上げがあった場合は、住宅ローン金利も高くなり、マンション購入を躊躇する人も出てくるためです。このような可能性も踏まえ、ローン金利やマンション価格の動向には常に注目しておくとよいでしょう。

建物の築年数

物件の状態も売り時を判断する際には、重要なポイントですが、特に建物の築年数は、不動産売却の売り時を判断するポイントの1つです。立地や面積などの条件がほぼ同じマンションの場合、一般的に築年数が浅いほうが高く売却できます。以下で築年数ごとのマンションの売り時を解説していきましょう。

家のミニチュアと数字

築10年未満
売りたい物件が築10年未満とまだ新築に近い場合は、比較的高い価格で売却できる可能性があります。築浅の物件ほど、内装のダメージや建物自体の劣化が目立ちにくいためです。

さらに、マンションの相場価格の上昇や経済情勢によっては、購入価格よりも高く売れることがあります。不動産会社に査定を依頼した時点でそのような査定結果が出た場合は、売り時と判断してよいでしょう。

ただし、築年数が10年未満であれば、新築で購入してからあまり時間がたっておらず、住宅ローンの返済がまだそれほど進んでいないため、売却にあたっては住宅ローンの残債が売却価格を上回っているか、よく確認する必要があります。

築10年以上築20年未満
築10年以上築20年未満の物件は、中古マンションのなかでもニーズが高い築年数といえます。新築マンションや築10年未満のものと比べると価格が少し安くなることに加えて、建物の劣化がそれほど進んでいないためです。設備については、新築時から一度も交換していなければ、修繕や交換の必要がありますが、建物としては室内の状態も、築10年から20年程度であれば損耗はそれほど目立たず、十分そのまま使用できるでしょう。ただし、築20年をすぎると、使い方によっては、フローリングや畳、クロスといった部分については張り替えや補修が必要になります。

中古マンションと青空

築20年以上築40年未満
中古マンションの価格は、築20年まではなだらかに下がっていきますが、築20年以降はほぼ横ばいになる傾向があります。築30年を超えると、さらに「一昔前のマンション」と感じる人が増えてきます。定期的なメンテナンスや修繕などをしていなければ、設備も老朽化して修繕の必要が出てくるためです。

さらに、築30年をすぎるころからは建物の老朽化もあり、管理費や修繕積立金が高くなってくるため、購入する側からすると、毎月の費用負担の大きさが購入へのハードルになるという側面もあります。

築40年以上
中古マンションのほか中古一戸建てなどの建物は、1981年6月以降に建築許可を受けた建物とそれより前の建物で耐震基準が異なります。1981年6月以降の耐震基準を「新耐震(基準)」、それより前の耐震基準を「旧耐震(基準)」と呼んでいます。ただし、築40年前後のマンションの場合、築年数だけでは旧耐震基準のマンションかどうかは判断できないため、建築確認済証がいつ交付されたのか確認が必要です。

中古マンションも築40年以上になると、旧耐震の建物が多くなります。旧耐震基準の物件は、住宅ローン控除や、不動産取得にかかる税金の軽減措置といった税制面での優遇が受けられなかったり、金融機関によっては旧耐震基準の物件では住宅ローンが利用できなかったりと、購入する側にとって不利な点が多く、購入につながりにくくなる傾向があります。そのため、新耐震基準の物件と比べると、売却価格が下がってしまう可能性が高いのが一般的です。

マンションを高く売却したい方は、以上の築年数ごとの傾向を参考に、なるべく早めに売り出すとよいでしょう。

マンションのミニチュアとお金

シーズン

1年の間でもいつ、どのような時期に売るかということも、売り時を判断するポイントの1つです。一般的におすすめの売り出し時期は、1~3月といわれています。この時期は新学期、新生活を迎えるのに合わせて、新居の購入を考える人が多くなるためです。ただし、おおよそマンション売却には平均3か月程度必要とされていることから、1〜3月に売却するためには、少なくとも前年の12月には不動産会社との媒介契約を結び、売却活動を開始しておく必要があります。

家のミニチュアとカレンダー

売り時とは反対にやや売りにくいといわれる時期は、6~8月です。5月のゴールデンウィークをすぎると、人の移動が減り始め、6月の梅雨の時期や1年のなかでも気温が高い7月、8月は人の移動が鈍る傾向があります。この時期は、会社の人事異動や新学期のような転居の理由となるものもほとんどなく、梅雨時や暑さで購入前の物件の内覧へとなかなか進まないことも理由の1つになっているようです。

周辺環境の状況

周辺環境の変化も、マンション売却のタイミングを判断する大切なポイントです。たとえば、近隣に大型の商業施設が開業するといったことだけでなく、高速道路のインターの新設や、道路拡幅といった道路の整備、急行や特急の停車、新規路線の乗り入れ、新駅の開設といった交通機関の拡充など生活にプラスとなる変化があると、物件の需要が高まるため、不動産価値の上昇につながりやすいといえるでしょう。

反対に、マンション周辺にそれまであった主要な大学や大手企業の工場、オフィスなどの移転や、大型ショッピング施設の閉店などがあると、その結果として周辺の不動産の価値が下がることも考えられるので注意が必要です。

公園と住宅

大規模修繕の時期

大規模修繕の実施時期が、マンションの売り時を左右するポイントの1つとなることがあります。大規模修繕とは、経年に伴うマンションの設備や共用部分の劣化を補修、改修する目的で計画的に大規模な修繕工事を行うものです。大規模修繕はマンションの区分所有者が毎月支払う修繕積立金を充当して行われます。

大規模修繕を実施した後のマンションは、設備や共用部分が新しくなり、または不具合や損傷も修繕されているため、買主によい印象を与えることができます。

その一方で大規模修繕の最中は、建物の周りに足場やメッシュシートが設置されるため、マンションの外観の状態が分かりにくく、魅力が十分に伝わらない状態のため、大規模修繕中の売却は避けるほうが無難でしょう。

売却するマンションの大規模修繕の実施が近い場合は、少し売却時期をずらして、大規模修繕完了後に売り出したほうがより早く、希望に近い価格で売却しやすくなります。

マンションの大規模修繕

個人的な事情

個人的な事情がマンションの売り時を決める場合もあります。たとえば、転勤や子どもの進学・独立、離婚や相続税対策などです。ほかにも失業や病気、ケガなどの理由で住宅ローンの返済が厳しくなったといったように、経済的理由でどうしてもマンションを売却しなければいけない理由がある場合は、時期や価格はある程度目をつむって、売却することを最優先とするケースが多くなります。ただし、個人的な事情で売却する場合は、必ずしも不動産を売却しやすいタイミングとはなりにくいため、高値での売却は難しいでしょう。

投資用マンションの売り時は?

投資用マンションの売り時を見極める場合も、上記の居住用マンションでご紹介した「相場の動向」「周辺環境の状況」「建物の築年数」「大規模修繕の時期」などを考慮するのが基本です。加えて、次のような状況にも注目しましょう。

減価償却期間の終了が近い

減価償却とは、不動産などの固定資産の購入費用を使用可能期間にわたって、分割して費用計上する会計処理です。実際の支払い(支出)が伴わない経費で、減価償却費を経費として計上することによって所得税の節税につながっています。

しかし、減価償却が行えるのは、国税庁が定めた法定耐用年数の期間となりますので、耐用年数をすぎると計上できる経費が減るため、節税効果が薄れ、その分、税額が上がることになります。そのため、自分が住んでいない投資用マンションであれば、耐用年数がすぎる前に売却するケースも多くなります。

なお、耐用年数については、中古マンションの場合、購入した時点の築年数が耐用年数を超えている物件では、建物の償却期間の計算に特例があります。

減価償却費の計算用紙と紙幣

運用の負担が大きい

投資用マンションの運営管理は賃貸管理会社に委託するケースが多くなっています。主な委託業務は入居希望者への対応、家賃や管理費の徴収・督促、入居者募集などがあります。

また、注意点として、マンションの建物管理をするマンション管理会社と賃貸の運営を委託する賃貸管理会社は、同じ委託先の場合もありますが、委託先が異なっているケースが一般的です。従って、建物のことは建物管理会社、賃貸のことは賃貸管理会社へ委託するため、2つの管理費用が必要になります。

賃貸管理については、契約条件を決めたり、修繕工事の実施を許可したりなど、オーナー本人がかかわらなければならない業務が必ずあります。オーナーが忙しい場合、そういった業務を負担に感じたり、運用にかかる経費負担が重くなったりした場合は、マンションを手放すタイミングだといえるかもしれません。

入居者が入らない

周辺環境が変わった、築年が相当に古くなり今のままでは入居者が入りにくくなってきたなどの場合は売り時といえるでしょう。多額の費用をかけないと入居者が入らないとなる前に売却するのが一般的です。

投資用マンションは入居者がいても「オーナーチェンジ物件」として売ることが可能です。購入する投資家側としては、購入後に入居者を募る必要がないという安心感があります。一方、入居者がいない場合は、投資家のほかに自分が住みたい人、セカンドハウスが欲しい人など、幅広い層に対しての売却活動が可能です。そのため、入居者がいない状態で売り出すのも選択肢の1つとして検討の価値があるといえます。

マンションの売り時を決める際の注意点

ここまではマンションの売り時についてお伝えしてきました。ここからは、実際に売却するタイミングを決める際の注意点についてご紹介していきます。

所有期間5年以内で売却すると、課税率が高くなる

マンションを所有していた期間が、5年超か5年以下かで譲渡所得がプラスになった(譲渡益が出た)場合の譲渡所得の課税率が変わってきます。さらに、ここで注意したい点としては、所有期間がマンションを売却した年の1月1日時点で5年超か、5年以下が判別されるということです。

また、譲渡取得がプラスになった(譲渡益が出た)場合にかかるのが、まとめて譲渡所得税と呼ばれる所得税と住民税、特別復興所得税の3つです。所有した期間が5年超で「長期譲渡所得」の対象となり、5年以下では「短期譲渡所得」の対象となります。この長期譲渡所得か、短期譲渡所得かで課税される税率が大きく異なります。具体的な税率は以下の通りです。

種類税率
短期譲渡所得39.63%(所得税30%、住民税9%、特別復興所得税0.63%)
長期譲渡所得20.315%(所得税15%、住民税5%、特別復興所得税0.315%)

取得してからの所有期間が5年前後でマンションを売却する際、もし売却益が出るようなら譲渡所得の税率を考えて、税率の下がる5年超を目安に手放すのも1つの方法といえます。

●短期譲渡所得と長期譲渡所得に関する記事はこちら
長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや計算方法、税金を抑える方法について解説

売却には半年ほどかかる

マンションを売り出したらすぐに買い手が見つかるとは限りません。マンションを売り出してから売買契約が成立するまでに平均3か月程度、準備を含めると引渡しまでには6か月程度かかるといわれています。

そのため、タイミングを見て売りたいと思ったら、少なくとも半年前には不動産会社に相談しましょう。早めにスタートすることで、適切なタイミングでスムーズに売却しやすくなります。

売り時の相談も不動産会社へ!

今回はマンションの売り時について、居住用・投資用それぞれのポイントを解説しました。このように売り時を判断するタイミングはさまざまですが、不安や迷いを感じたら、やはりプロである不動産会社に相談するのがおすすめです。

そのほか、そもそもマンションを売却したほうがよいのか、賃貸として貸し出すほうがよいのかといった相談もプロなら対応してくれます。物件の売却については、プロの視点からアドバイスを受けることでよい選択ができるでしょう。

三井のリハウスは、累積仲介取扱件数100万件以上の経験と実績によって、売却や賃貸活用など、お客さまの希望に応じたベストな方法へサポートします。マンションを売却すべきかお悩みの方は、ぜひ一度三井のリハウスへ相談してみてはいかがでしょうか?

なお、三井のリハウスでは物件売却の第一歩となる不動産査定についても無料で承っております。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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秋津智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。物件の選び方や資金のことなど、不動産に関する多岐のサポートを行なう。