住み替えのタイミングはいつ?ベストな時期や成功のコツを解説

出産、子どもの巣立ちなどさまざまな人生の局面で家の住み替えを考え始めたとき、住み替えのベストなタイミングについて悩む人は多いでしょう。今回は、市場や住み替えの流れを踏まえ、住み替えを上手に進めるコツをご紹介します。

目次
  1. 住み替えはタイミングが大切!
  2. 住み替えの目的とは?
  3. 住み替えにベストなタイミングは3つ
  4. 住み替えの売却と購入のタイミングは?
  5. 住み替えを成功させるコツは?
  6. 理想のタイミングで納得できる住み替えを
記事カテゴリ 売却 購入 住み替え
2021.12.23

住み替えはタイミングが大切!

家族が増えたり、減ったり、ときには人生計画を見直したりする際に、住み替えを検討し始める人は多いことでしょう。一般的に住み替えは大きな決断を必要とします。人生の節目で住み替えを検討し、スムーズに住み替えを成功させた人もいれば、なかには住み替えのタイミングを逃して後悔する人もいるようです。

果たして住まいの住み替えに、ベストタイミングはあるのでしょうか?今回は住み替えのタイミングについて解説していきます。

マンションと戸建ての模型を見て悩むカップル

住み替えの目的とは?

住み替えのタイミングは、住み替えの目的によって人それぞれ異なります。まず、住み替えを実際に行った人たちはどのような目的を持って住み替えたのかを見ていきましょう。

国土交通省の「住生活総合調査(速報集計)結果」※1の資料によると、実際に住み替えを行った人の住み替えの目的の上位5位は、以下の通りとなっています。

順位実際に住み替えた人の目的
1位通勤・通学の利便
2位広さや部屋数
3位世帯からの独立(単身赴任・離婚など)
4位新しさ・きれいさ
5位結婚による独立

表を見ればお分かりいただけるように、人それぞれ異なる住み替えの目的のなかでも、以下のような目的や理由で住み替えを実現した人が多いということです。

・子どもの進学や親の転勤のために通いやすいところに住み替えたい
・家族が増えるので広さや部屋数を増やしたい
・進学や就職、または単身赴任をきっかけに独立したい
・経年劣化して古くなった家から新しい家に移りたい
・結婚を機に新居を持ちたい

しかしながら、こうした目的や理由で住み替えたタイミングは、あくまでも個人的なタイミングに過ぎません。実際に住み替える場合、後悔せずに住み替えを成功させるためのベストなタイミングというものはあるのでしょうか?それはいつなのでしょうか?次にご紹介します。

住み替えにベストなタイミングは3つ

今住んでいる家を売却して、新しい家に住み替える場合、納得できる住み替えにするためには、大きく3つのタイミングがあります。3つのタイミングを知り、住み替えを検討する際の参考にしてくださいね。

新居を検討する夫婦と不動産会社のスタッフ

建物の築年数が浅いうち

今の住まいを売却して住み替えをする際は、築年数が浅いうちに売却すると、高値で売却できる可能性があります。
木造の一戸建て住宅の場合、その資産価値は、新築からの15年間の下落率は比較的大きく、築10年で、およそ半分ほどに下がってしまいます。築15年を過ぎると、下落率は次第にゆるやかになり、築20年以降はほぼ変わらず、横ばいになります。
マンションの場合は、購入後1年で価値が急落しますが、資産価値の減少スピードは木造戸建て住宅に比べるとゆるやかです。一般的に築10年で、およそ70~80%程度の価値をキープしています。しかしながら、築25年を経過すると、資産価値はおよそ半分になる傾向にあります。

また、30年を経過すると、内装や設備などが古くなるため、売りにくくなります。さらに、大規模修繕の後は修繕積立金が高くなり、月額負担が大きくなる傾向があるため、売却がスムーズに進まないケースがあります。ちなみに、マンションの大規模修繕は平均築13~16年頃です。

これらのことから、住み替えを検討する際は、価値が大きく下がっていない、築年数が浅いうちがよいでしょう。

市場の相場が高いうち

一戸建てもマンションも、物件価格の市場相場が高いうちに売却することが住み替えを成功させるポイントの1つです。国土交通省の「不動産取引価格指数」を見ると、現在の市場の売却相場を知ることができます。それによると、2020年8月の不動産価格指数は113.9でしたが、その後、価格指数が上昇し、2021年7月の不動産価格指数は122.4となっています。

住宅ローンの金利が低いうち

住み替えに向けて新居を購入する際に住宅ローンを利用する場合は、当然ながら金利が低いときに契約することが理想です。金利が小さければ、住宅ローンの利息も少なくて済みます。特に住宅ローンのように、大きな資金を借り入れる際は金利の上がり下がりは重要です。2016年、日銀がマイナス金利政策を開始してから、金利が低い状態が続いています。住み替えは、低金利が続くうちが狙い目といえるでしょう。

住み替えの売却と購入のタイミングは?

住み替えを行う際、現在の住まいを売却してから新しい家を購入するのか、あるいは購入してから売却するのかなど、現居の売却と新居の購入のタイミングはどうしたらよいのでしょうか?住み替えの売却と購入には3つの選択肢があります。それぞれを見ていきましょう。

住宅の模型と計算機とお金

理想は購入と売却を同時進行

購入と売却を同時進行すると、住み替えは短期間で完了します。余分な時間をかけずに済むため、購入と売却の同時進行は理想的な方法です。

とはいえ、購入と売却を同時に進行させる方法には、難しい一面があります。スケジュールを合わせながら、多くの書類の準備をし、購入と売却の契約を行わなければなりません。急いで購入や売却を進めたために、不利な条件で売買してしまうケースもあります。

新居の購入資金が足りない人は売却先行

今の住まいを売ってから新しい住まいを買う方法を売却先行といいます。売却で得た資金を購入資金に充てられるため、購入資金が足りない人におすすめです。

しかし、売却先行の場合、現居を売却してから新居を購入するまでの期間、仮住まいが必要になります。現居から仮住まいへ、仮住まいから新居へ、と2回にわたって引越すことになるため、引越し費用や手間が余分にかかってきます。

新居をじっくり探したい人は購入先行

新しい住まいを購入してから、今の住まいを売る方法を購入先行といいます。まだ現居がある状態で物件探しをするため、新居をじっくり探したい人におすすめです。また、新居が決まるまで現居に住むことができるため、仮住まいの必要がありません。

ただし、この方法を取る場合は、新居の購入費を先に準備する必要があります。もし費用が準備できない場合は「つなぎ融資」の利用を検討するとよいでしょう。つなぎ融資とは、新居の引渡し前に必要となる資金を一時的に立て替える融資のことです。しかし、返済期限が早めに設定されていたり、金利が高い恐れがあるので、利用の際には十分な検討をしましょう。

また、一時的に現居の住宅ローンと新居の住宅ローンを同時に支払う二重ローンになる場合があります。その際は、月額の負担が大きくなることをあらかじめ念頭に置いておきましょう。

新居を購入したものの、現居の買い手がなかなか決まらないときには、「買い替え特約」の利用が可能です。買い替え特約とは、家が売れる前に新居の購入をする際、買主と売主の合意による特約で、物件が希望通りに売れない場合は、購入契約を白紙に戻せるというものです。

●住み替えに関する記事はこちら
住み替えは難しい?流れや費用、住宅ローンを解説

住み替えを成功させるコツは?

ベストなタイミングと合わせて、納得できる住み替えにするために知っておいてほしいポイントがあります。ぜひ覚えておいてください。

家の模型を見る若い夫婦

明確な資金計画を立てる

住まいの売却を行い、新居を購入するには、明確な資金計画を立てることが必要です。現居がどのくらいの価格で売却できるのか、住宅ローンをどのように組むのかなど、事前に資金計画を立てておくことが大切です。

また、家の売却と購入時には、仲介手数料、登記費用、売買契約書に必要な印紙代、引越し費用などの諸費用がかかります。事前に、そうした諸費用はどのくらいかかるかをシミュレーションしておくとよいでしょう。さらに、手持ちの資金がどのくらいあるかを確認し、売却先行か購入先行かを検討する必要もあります。

住宅ローンが残っている場合は、売却した資金で残債が支払えるかどうかを確認しましょう。売却資金だけで残債が支払えない場合は、手持ちの資金でどのくらい用意できるかを確認します。

家の模型を虫眼鏡で見る男性

相場に見合った売り出し価格を決める

現居を売却する際に、売り出し価格の設定が重要になってきます。売却価格には相場というものがあり、相場に合った適正な売り出し価格を設定することでスムーズな売却ができます。

適正な売り出し価格を設定するためには、まず相場を把握しましょう。相場を知ることで、売り出し価格が高過ぎたり安過ぎたりすることから回避できます。売り出し価格が高過ぎると、なかなか売り手が見つからなかったり、逆に売り出し価格が安過ぎると思うように資金調達ができなかったりします。

売り出し価格の相場を手軽に知るためには、不動産会社のHP上で行える机上査定を利用するとよいでしょう。机上査定はデータのみで行う簡易的な査定です。

その後、売却価格を本格的に決定する際は、訪問査定を不動産会社に依頼します。訪問査定では実際に不動産会社のスタッフが物件を調査しながら、詳細に査定を行い、より適正な査定額を出してくれます。

信頼できる不動産会社を選ぶ

住み替えには、売却と購入を仲介してくれる不動産会社選びが重要になってきます。そのため、複数の不動産会社へ訪問査定を依頼するようにします。そのなかから比較検討して、同じ地域や同じタイプの物件の取り扱い実績が多い不動産会社を選ぶとよいでしょう。

また、査定を依頼したときに相場に見合った査定額を提示してくれる会社であること、さらに担当者が親身に相談に乗ってくれる会社かどうかも、不動産会社を決める際のポイントです。以上のことを行いながら、頼れるパートナーを選ぶようにしましょう。

●上手に住み替える方法に関する記事はこちら
住み替えに失敗したくない!よくあるケースと対策について知ろう

理想のタイミングで納得できる住み替えを

住み替えには、個人的なタイミングと、より条件のよい住み替えにつながるタイミングがあります。住み替えの必然に迫られたときは、個人的タイミングを優先させるしかありません。しかし、上手に住み替えるためには、なるべく今回ご紹介したようなベストなタイミングを選んで住み替えの時期を検討することをおすすめします。

また、売却と購入のタイミングも、住み替えを成功させるための重要なポイントです。自分が置かれている状況や、調達できる資金などから最善の方法を選ぶようにしましょう。分からない場合は、不動産会社に相談して、ベストな選択をし、納得できる住み替えを行ってくださいね!

※1出典:平成30年「住生活総合調査(速報集計)結果」, 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001329355.pdf
(最終確認:2021年10月27日)

村田洋一

らくだ不動産 不動産コンサルタント。宅地建物取引士、行政書士。消費者にとっての最良の不動産取引を目指し、多岐にわたる不動産トラブルの相談を受ける。
https://www.rakuda-f.com/