
マンション売却のお金の流れとは?入金のタイミングを解説
マンション売却では、どのようなタイミングで入金されるのか気になるところでしょう。特に住み替えでは、購入資金の調達や引越しのスケジュールにも影響するため、事前に把握しておきたいものです。この記事ではマンション売却時のお金の流れを整理し、注意点やよくあるトラブルの対処法について解説します。
目次
マンション売却にかかわるお金の入金・支払いのタイミング
マンション売却のお金の流れで、入金や支払いといった大きな動きがあるのは売買契約時と決済・引渡し時の2回です。それぞれについて、1つずつ見ていきましょう。
売買契約時の入金
売買契約時には物件の購入者から手付金が入金されます。手付金とは不動産の購入の契約を結んだ証拠として、売買契約締結時に支払うお金を指します。物件にもよりますが、通常、中古なら購入金額の5%、新築なら購入金額の10%が相場です。たとえば、3,000万円でマンションを売却する場合は「3,000万円×5%=150万円」が手付金として入金されることが一般的です。
売買契約時の支払い
一般的に、売買契約時に売主が支払わなくてはならない主な費用は「仲介手数料の半額」と「売買契約書に貼付する印紙代」が挙げられます。
不動産会社への仲介手数料は、不動産の売買契約が成立したとき、売主と買主の双方が不動産会社に支払う成功報酬です。宅地建物取引業法によって上限額が定められており、成約価格が400万円を超える場合は「(成約価格(税抜)×3%+6万円)+消費税」と計算されます。
●仲介手数料について詳しい記事はこちら
不動産売買の契約が成立した際には印紙税を支払わなくてはなりません。印紙税は、不動産売買契約書に印紙を貼って消印することで納税と見なされます。納める額は契約金額によって異なり、2014(平成26)年4月1日から2027年(令和9)年3月31日までは軽減措置が適用されます。
決済・引渡し時の入金
決済・引渡し時には、買主から物件の残代金が入金されます。残代金は、マンション売却代金から手付金を差し引いた額です。たとえば3,000万円でマンションを売却する場合、手付金は「3,000万円×5%=150万円」のため、残代金は2,850万円です。
決済・引渡し時の支払い
決済・引渡し時には不動産会社へ仲介手数料の残額を支払います。売買契約時に半金を支払っていた場合は残額を、もし半金を支払っていなかった場合は、全額を支払います。
そのほか、以下のお金の流れが生じることもあります。個々の状況によって異なるため、不動産会社と確認しながら進めましょう。
・固定資産税等精算金または管理費等精算金
・火災保険の解約に伴う解約返戻金
・住所変更や抵当権抹消等の登記費用や司法書士報酬
・住宅ローンを繰り上げ返済するための事務手数料
マンション売却に関する具体的なお金の流れ
マンション売却には複数のプロセスが発生しますが、その都度お金が動くとは限りません。各プロセスに伴う具体的なお金の流れや、基本的な情報を押さえておきましょう。
具体的には以下の6段階です。それぞれに生じるお金の流れと、かかる期間やお金が発生する目安は次の一覧表の通りです。
項目 | 売主のお金の流れ | 買主のお金の流れ | 作業にかかる期間の目安 | お金が発生する目安 |
---|---|---|---|---|
査定 | 無料 | ― | 数日~1週間 | ― |
媒介契約 | 無料 | ― | ||
売却活動 | 無料 | ― | 3か月~6か月 | ― |
売買契約 | ・手付金の受け取り ・不動産会社への仲介手数料の半額の支払い ・印紙代の支払い | ・手付金の支払い ・不動産会社への仲介手数料の半額の支払い ・印紙代の支払い | 1日 | 購入申込から約1週間後 |
決済・引渡し | ・残代金の受け取り ・不動産会社への仲介手数料の半額の支払い ※契約締結時に仲介手数料を支払っていなかった場合、全額の支払い | ・残代金の支払い ・不動産会社への仲介手数料の半額の支払い ※契約締結時に仲介手数料を支払っていなかった場合、全額の支払い | 1日 | 売買契約から2か月~3か月後 |
確定申告 | ・売却益が出た場合は譲渡所得にかかる税金の支払い | ― | 1日 | 翌年2月~3月頃 ※確定申告の日時は国税庁の最新情報を確認ください |
査定
マンション売却を考え始めたら、不動産会社に査定を依頼して、推定売却価格を把握しましょう。不動産会社による査定は無料のため、お金の流れは生じません。
媒介契約
査定を受けた不動産会社のなかから、最も納得のいく査定額を提示し、信頼できそうと判断した会社と媒介契約を結びます。媒介契約とは、不動産会社に仲介を依頼する契約のことです。この段階でも特に金銭的なやりとりはありません。
売却活動
不動産会社が広告や宣伝、内覧などを通じて売却活動を行い、購入希望者を募ります。居住中のマンションの売却を考えている場合は、売主も内覧時に協力が必要です。ここでも、お金のやりとりは発生しません。
売買契約
購入希望者から物件購入の申し込みが入ったら、申し込み条件を確認し売主の応諾後、売買契約に進みます。このとき、買主から売主へ、マンション売却価格の5%程度の手付金を支払うのが一般的です。そのほかのお金の流れとしては、売主と買主ともに、売買契約書に貼る印紙代と不動産会社に仲介手数料の半金を支払います。
決済・引渡し
売買契約後、買主が住宅ローンを利用する場合は、金融機関で残代金の決済と引渡しが行われます。同時に、売主、買主、不動産会社の担当者、そして司法書士が立ち会い、所有権移転登記の手続きを済ませるのが一般的です。
主なお金の流れは、買主から売主へ売買価格から手付金を差し引いた残代金の入金があります。また、決済・引渡しのタイミングでも売主と買主ともに不動産会社へ残りの仲介手数料を支払います。売買契約時に支払っていない場合には一括で支払うこともあります。
確定申告
売却時に利益が出た場合は、翌年度の2月~3月頃に確定申告をして、必要な税金を支払います。
なお、固定資産税は「その年の1月1日時点の所有者」が支払うこととされています。そのため、年度の途中で不動産を売却しても、納税義務者は変わりません。ただし、売却後は所有権がないのに固定資産税を支払うのは不公平でしょう。実際には、売主と買主が話し合い、固定資産税を日割り計算するケースが一般的です。
マンション売却のお金の流れに関する注意点
マンション売却のお金の流れでは、あらかじめ注意しておきたい3点があります。
・契約解除すると手付金の返還と同額の支払いが必要
・決済・引渡し時の入金には時間がかかる
・売却利益が出たら税金の支払いがある
それぞれ詳しく解説していきます。
契約解除すると手付金の返還と同額の支払いが必要
売買契約時、売主が買主から受け取った手付金を使うことに問題はありません。ただ、万が一契約をキャンセルすることになったときのために、物件の引渡しが終わるまでは使わないほうが賢明です。契約がキャンセルされると、手付金の扱いは以下のようになります。
比較項目 | 手付金の扱い |
---|---|
売主理由による契約解除 | 買主から受け取った手付金を返還したうえで、さらに同額を支払う |
買主理由による契約解除 | 買主は売主に支払った手付金を放棄する |
不動産売買では「手付金」を設定して、簡単にキャンセルされないような仕組みになっています。
決済・引渡し時の入金には時間がかかる
決済・引渡し時は、売主がお金を受け取るまでに時間がかかることがあります。
主な理由は2点あります。1つ目は、買主が住宅ローンを組んでマンションを購入する場合、金融機関の本審査や融資実行の手続きに、一般的には1か月程度かかるからです。2つ目は、引渡し時には売主や買主など関係者の日程調整に時間がかかってしまうためです。
さらに、万が一引渡し時に、残置物があるといった、契約書類と物件の状態が異なる場合は、合意形成に至るまで引渡しはできません。再度、日程調整から行わなければなりませんので、相違がないように注意しておきましょう。
売却利益が出たら税金の支払いがある
マンション売却代金から諸費用を引いても、そのマンションを取得した費用より高く、売却による利益が出た場合は、譲渡所得となります。譲渡所得には復興特別所得税(2037年まで)を含む所得税と住民税が課され、まとめて「譲渡所得税」と呼ばれることもあります。譲渡所得税には要件にあてはまれば控除が受けられる特例もあるので、事前に確認するとよいでしょう。
マンション売却をして利益が出なければ税金の支払いは発生しません。ただし、売却によって赤字になってしまった場合(譲渡損失)は、税金の特例措置が受けられる可能性もあるため、確定申告をしたほうがよいことを覚えておきましょう。
●不動産売却にかかる税金について詳しい記事はこちら
マンション売却は売却先行にするとお金の流れがスムーズ
マンション売却をして住み替えを考えている場合、売却先行にするとお金の流れがスムーズです。売却先行とは、現在住んでいる家を先に売ってから、新たにマイホームを購入することをいいます。反対に、購入先行は、新たなマイホームを購入してから、自分が住む家を売る手順です。
それぞれの方法のメリットと注意点を以下の表にまとめました。
項目 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
売却先行 | ・資金計画が立てやすい ・売却資金を購入資金に充てられる | ・売買契約後、引渡しまでに新居が見つからなければ仮住まいが必要 ・仮住まいに住むと引越しが2回になる |
購入先行 | ・新居探しに時間をかけられる ・引越しが1回で済む | ・一時的に家を2つ持つことになるため、住宅ローンや維持費が二重にかかることがある |
売却先行は売却資金を購入資金に充てられるほか、住宅ローンを完済してから新居の購入手続きに進むので、お金の流れが分かりやすくなります。マンション売却では、仮住まいや二重ローンの期間ができるだけ短くなるようなスケジュールを立てるとよいでしょう。
●売却先行と購入先行について詳しくはこちら
マンション売却のお金の流れでよくあるトラブルと対処法
マンション売却では、お金に関するトラブルが生じることもあります。ここではよくあるトラブルの対処法について解説します。
振込手数料のトラブル
マンション売却では、振込手数料をどちらが支払うかで、トラブルに発展するケースもあります。一般的には、振り込みを希望する側が手数料を負担します。たとえば、本来なら1回の支払いで済むところ、売主が夫と妻の口座別の振り込みを希望すれば、1回目は買主、2回目は売主の負担です。スムーズな取引のために、売主と買主でしっかり相談をして決めましょう。
水道光熱費や火災保険の解約漏れのトラブル
水道光熱費や火災保険の解約漏れもトラブルになることがあります。売主が停止の手続きを忘れていると、住んでいない家の公共料金や保険を払い続けることになります。たとえ使っていなくても契約者が支払うことになるので、引渡し日付の解約を忘れないようにしましょう。
買主からの残代金振り込みが遅れるときのトラブル
買主が残代金を振り込んでも売主が残代金の着金を確認できないというトラブルもあります。そのときは振り込んでもらう口座が正しいか今一度確認しましょう。よくあるのが、ローン返済用口座と、決済時の振込口座が異なるケースです。銀行から送られている繰り上げ返済依頼書に記載されている口座番号を確認し、買主に伝える前にも口座が正しいか、注意しておきましょう。
あまりにも長引き、決済が行われないと判断した場合は、買主の契約違反となります。違約金を請求したうえで解約もできるため、不動産会社に相談しましょう。
マンション売却のお金の流れに不安があれば三井のリハウスへ
ここまでマンション売却のお金の流れについて整理し、注意点やトラブルの対処法をご紹介してきました。マンション売却は大きな金額が動くため、売主としてはいつお金が入ってくるのか、不安に感じることも多いでしょう。
三井のリハウスでは、累計取扱実績100万件の豊富な経験を生かし、お金の流れを含めてスムーズな売却を行うためのサポートを行っています。具体的な査定額が分かると資金計画が立てやすくなり、売却時のお金の流れについて不動産会社の担当者に相談することもできます。マンション売却をご検討中の方は、まずは無料査定をしてみてはいかがでしょうか?
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監修者:三上隆太郎
株式会社MKM 代表取締役
大手ハウスメーカーにて注文住宅の受注営業、家業の建設会社では職人として従事。
個人向け不動産コンサルティング会社のコンサルタントやインスペクターを経験し、中古+リノベーションのフランチャイズ展開、資格の予備校にて宅地建物取引業法専属講師など、不動産業界に幅広く従事。
https://mkm-escrow.com/