不動産売買にかかる仲介手数料とは?計算の仕方や負担を抑える方法を解説!

仲介手数料の価格は、不動産会社によって多少の差があります。しかし、物件の売買価格に応じた上限があるため、事前に上限金額を把握することは可能です。今回は、仲介手数料を計算する方法と、仲介手数料を抑える方法について解説します。

目次
  1. 売却時にかかる仲介手数料とは?
  2. 仲介手数料を計算してみよう
  3. 仲介手数料は節約できる?
  4. 成約価格によって費用の負担は抑えられる
記事カテゴリ 売却 費用 税金 マンション
2023.03.06

売却時にかかる仲介手数料とは?

家を売却する際には、さまざまな費用がかかります。たとえば印紙税や引越し費用、そして最も大きな金額になるのが、不動産会社に支払う仲介手数料です。

この仲介手数料、「そもそもなぜ支払わなければならないの?」と思っている人も多いのではないでしょうか?そこで今回は、仲介手数料を支払う意味や金額の仕組み、また負担を抑えることはできるのかについて、改めてご説明しましょう。

不動産会社に成功報酬として支払うもの

仲介手数料とは、物件の売買契約が成立した際、売主・買主の双方が不動産会社に支払う成功報酬のことです。

不動産売買の仲介を行う不動産会社は、売買を成立させるため、物件情報サイトに物件を掲載したり、チラシを作成したり、新聞に広告を出したりといった活動を行います。こうした「仲介サービス」に対して支払う報酬が、仲介手数料なのです。この報酬は、「約定報酬」「媒介報酬」「媒介手数料」とも呼ばれます。

営業マンに相談する中年夫婦

支払いは売買が成立したとき

前述の通り、仲介手数料は成功報酬なので、支払いが発生するのは売買契約が成立したときです。具体的なタイミングは、売買契約時と物件の引渡し時の2回に分けて、半金ずつ支払うというものが一般的です。

ただし、不動産会社によっては、物件の引渡し時に仲介手数料の全額支払いを求める場合もあり、必ずしも上記のタイミングとは限りません。トラブルを防ぐためにも、支払うタイミングは事前に確認しておくと安心でしょう。

なお、仲介手数料は「成功報酬」なので、活動の成果として売買契約が成立しない場合や、売却を途中でやめた場合、不動産会社に仲介ではなく直接買取をしてもらう場合は、一般的に仲介手数料を払う必要はありません。

仲介手数料を計算してみよう

仲介手数料の金額には、独特の仕組みがあります。ここからは、仲介手数料の計算方法や、消費税がかかる理由について見ていきましょう。

仲介手数料の上限額は法律によって決められている

仲介手数料に「相場」というものはありませんが、宅地建物取引業法による上限額は定められています。不動産会社は、この上限額を超える仲介手数料の請求はできません。

また、この上限額を求める際には物件の成約価格(取引額)に応じた異なる計算式で算出します。成約価格が「200万円以下」「200万円超〜400万円以下」「400万円超」によって、それぞれ「成約価格の5% + 消費税」「成約価格の4% + 消費税」「成約価格の3% + 消費税」で計算し、それらの数値を加算した額が上限額となります。

ですが、成約価格を3つに分類してそれぞれ計算を行っていくと時間がかかるため、「速算式」と呼ばれる手軽な求め方で計算することができます。

速算式で算出する際は、成約価格に応じて以下の数式を使います。

成約価格
(税抜)
仲介手数料の上限
400万円超「成約価格(税抜) × 3% + 6万円 」+ 消費税
200万円超~400万円以下「成約価格(税抜) × 4% + 2万円」 + 消費税
200万円以下「成約価格(税抜) × 5%」 + 消費税

「+6万円」「+2万円」の根拠は?

速算式で使用されている「+6万円」「+2万円」は、前述の通り仲介手数料の計算を簡略化するためのものです。

もしも速算式を使わずに仲介手数料を計算する場合、たとえば成約価格が4000万円なら「200万円以下の部分(200万円)」「200万円超〜400万円以下の部分(200万円)」「400万円超の部分(3600万円)」と分けて計算し、それぞれ出た金額を合算する必要があります。このような面倒を調整するために考えられたのが、速算式の「+6万円」「+2万円」なのです。

速算式を使っても使わなくても、算出される総額に差額は生じませんのでご安心くださいね。

仲介手数料には消費税がかかる

上記の表の通り、仲介手数料には消費税が加算されます。その理由は、消費税の対象が「国内で事業者が事業として対価を得て行う取引」とされているためです。仲介は、事業者(不動産仲介会社)が提供する事業であり、その対価が仲介手数料なので、消費税がかかります。

なお、土地の売買は「資産の移転」であり、消費とは見なされないため、消費税はかかりません。

●仲介手数料の消費税に関する記事はこちら
不動産売買の仲介手数料には消費税がかかる!計算するときの注意点も解説

電卓と家の模型

仲介手数料の計算例

上記の速算式を使えば、仲介手数料(上限)を自分で計算することができます。実際に行ってみましょう。

〈例〉
成約価格4000万円の場合

成約価格が400万円を超えているため、速算式は「成約価格(税抜)× 3% + 6万円 + 消費税」を使用します。

仲介手数料 = 4000万円(成約価格)× 3% + 6万円 = 126万円(税抜)
消費税額(10%)を加えて、仲介手数料の合計額は138万6000円(税込)になります。

ネット上には、この速算式を使って仲介手数料を簡単に計算できるシミュレーションサイトもあるので、活用するとよいでしょう。

ただし、速算式で仲介手数料の上限額を計算するには、物件の成約価格を確認する必要があります。不動産会社へ訪問査定を依頼する前なら、簡易査定やAI査定を利用し、おおまかな査定額を把握して上限の目安を計算するのも1つの方法です。

また、算出されるのは「上限」の金額なので、実際の仲介手数料は算出額を下回ることがあります。あくまで参考として活用するようにしましょう。

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仲介手数料の特例がある

仲介手数料には、低廉(ていれん)な空き家の売却に対する特例があります。低廉な空き家とは、成約価格が税抜で400万円以下の不動産を指します。こうした低廉な空き家の売主に対して、不動産会社は現地調査費を仲介手数料に上乗せし、「18万円 + 消費税」を上限に請求できるというものです。

この特例は、一般的に安い価格で取引される空き家の流通性を高め、空き家問題を解決するために制定されました。

通常、安い価格で取引されるということは、仲介手数料もその分安くなるのが順当です。しかし、不動産会社側からすると、仲介手数料が安い場合、現地調査や販売活動などの負担を含めると赤字になる恐れがあるため、媒介契約(売買を仲介する契約)に消極的になってしまうのです。

それを防ぎ、積極的に空き家を流通させるために、低廉な空き家については最低限の仲介手数料の特例が作られたというわけです。

「老朽化した空き家を手放したい」と考えている人は、この特例についてもあらかじめ考慮しておくようにしましょう。

営業担当者と仲介契約書を書く人

仲介手数料は節約できる?

不動産会社を通して物件の売却が成立したら仲介手数料を支払う必要があるとはいえ、できれば出費は少しでも抑えたいものですね。ここでは、仲介手数料を節約する方法について考えてみましょう。

個人間の売買では仲介手数料はかからない

仲介手数料とは、不動産売買を仲介する不動産会社に支払うものです。従って、不動産会社に頼らず、個人間で不動産売買を成立させた場合には、仲介手数料が発生することはありません。

ただし、不動産の売買には、金額交渉や売買契約書の作成など、個人でこなすには難しいことがたくさんあります。第三者を交えずにこれらを行うとトラブルが発生する恐れもあるので、注意が必要です。

仲介手数料の安さだけで業者を選ぶのはNG

仲介手数料は本来、売却活動に必要な費用です。仲介手数料の安さや無料をうたっているというだけで不動産会社を選ぶと、必要な広告活動や売買手続き、アフターフォローをきちんと行ってくれない不動産会社に当たるリスクが出てきます。肝心の営業活動や仲介業務に力を入れてもらえなければ、納得のいく条件で物件を売却することは難しいでしょう。

不動産会社を選ぶときは、親身に話を聞いてくれたり、早く高く売るための販売戦略を考えてくれたりなど、サポート全般に視野を広げて総合的に判断することがポイントです。

成約価格によって費用の負担は抑えられる

不動産売却には、仲介手数料のほかにもさまざまな費用がかかります。仲介手数料について無理な値引き交渉をしようとするよりも、諸費用の負担を抑えるには「なるべく高く売る」ことが大切なポイントです。

●売却にかかる税金と税金対策に関する記事はこちら
不動産売却にかかる税金は?税金の計算方法と税金対策をご紹介

売り出し価格を設定する際には、その価格で諸費用を賄えるかどうかを考慮しましょう。とはいえ、売り出し価格が高過ぎてなかなか買い手が付かない…ということになってしまわないよう、仲介を依頼する不動産会社とよく相談することも大切です。

また、仲介を依頼する不動産会社選びも不動産売却を成功させるためにはとても重要です。不動産査定を依頼した際には、信頼できそうな不動産会社かどうかを見極めるようにしましょう。

信頼できる不動産会社を見極めるポイントは、「取扱実績が豊富」「不動産売却を得意としている」「販売活動に熱心」「親身になって適切な提案をしてくれる」などが挙げられます。査定額の高さだけでなく、幅広い観点から総合的に不動産会社を選ぶことをおすすめします。

自分にとって頼れる不動産会社に仲介を依頼して、不動産売却を成功させましょう!

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この記事のポイント<Q&A>

  • Q不動産売却の費用のなかで最も大きな金額になるのは何でしょうか? A仲介契約を結んだ不動産会社に支払う仲介手数料です。詳しくはこちらをご覧ください。
  • Q仲介手数料は節約できますか? A仲介業者を使わず、個人間で不動産売買した場合は、仲介手数料が発生しません。ただし、トラブルを避けるためには、仲介のプロを通したほうが安心できますよ。詳しくはこちらをご覧ください。

宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ 所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けの節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/