
専有面積とは?床面積との違いや含まれる範囲、計算方法について解説
専有面積とは、マンションやアパートの専有部分の床面積を意味する言葉です。不動産の物件情報で目にすることが多いため、知識を得ておくと売買活動で役立つでしょう。本記事では、専有面積の意味や計算方法、調べる際の注意点などについてご紹介します。
目次
専有面積とは?
専有面積の読み方は「せんゆうめんせき」で、マンションやアパートなどの集合住宅において、その部屋の居住者だけが使用できる床面積のことを意味します。同じ間取りであっても、専有面積が大きければ広く感じ、住みやすさが変わってくるほか、物件価格も変わってくることが一般的であるため、専有面積は不動産売買での重要な情報といえるでしょう。
なお、一戸建てでは、「延床面積」もしくは「建物面積」という言葉で表現されます。これらと専有面積はどう違うのか、以下で詳しく説明します。
専有面積と延床面積の違い
専有面積とは、先述したように、分譲マンションのような区分所有建物においては、部屋の所有者が専有する部分の面積のことです。
一方、延床面積とは、前述の通り、主に一戸建て住宅で使われる用語で、各階の床面積の合計値を指します。たとえば、1階の床面積が80㎡、2階の床面積が50㎡の一戸建て住宅の場合、延床面積は2つを合わせた130㎡という計算です。ただし、設計で用いる延床面積という言葉では、一部の自動車車庫や、規定に当てはまる地階などの床面積は除外されます。
なお、専有面積は平米数(㎡)で表示されますが、部屋の広さのイメージが湧きにくい方のために、専有面積を畳の数で換算する方法があります。畳にはさまざまな種類やサイズがありますが、畳数を割り出すための一般的な計算式は以下の通りです。
専有面積(㎡)÷1.62(㎡)=畳数
たとえば、専有面積30㎡の畳数は、「専有面積30㎡÷1.62㎡=約18.5畳」です。畳数での表示は、主に賃貸物件で使われますが、広さを考えるときの1つの参考にしてみてはいかがでしょうか。
●坪と平米の計算方法と早見表についてはこちら
専有面積に含まれないもの
一見、居住者しか使わず、住居の一部のようであっても、実は専有面積に含まれないスペースもあります。具体的にどの部分が含まれないか見ていきましょう。
バルコニー・ベランダ
バルコニーやベランダは、一般的に共用部分として扱われ、専有部分には含まれません。その理由は、災害時に住人の避難経路となるためで、多くのマンションでは、私物を置いてふさぐことを管理規約で禁止しています。
ただし、専有面積には含まれませんが、マンションの管理規約によりバルコニーやベランダに対して区分所有者に専用使用権が与えられていることがほとんどです。そのため、通常は部屋の住人だけが利用できるスペースです。
玄関ポーチ
玄関ポーチとは、マンションの場合、共用廊下に設けられた門扉から玄関ドアまでのスペースのことで、マンションの居住者全員で共有する共用部分として扱われます。そのため、専有面積には算入されませんが、バルコニー・ベランダと同様、区分所有者の専用使用権が認められているケースが多いです。
ロフト
ロフトは、条件によっては建築基準法上の床面積に含まれません。建築基準法上、以下の条件を満たす場合は専有面積には含まれず、小屋裏や床下の物置の扱いとされます。
・ロフト部分の高さが1.4m未満
・ロフト部分の面積が下の階の2分の1未満
・人が常時利用する仕様になっていない
つまり、同じ専有面積の物件を比較した場合、ロフト付き物件は実際に使用できるスペースが広いといえます。
床下収納
物件によっては、キッチンや洗面所などに床下収納が設けられています。ロフトと同様、面積が部屋全体の専有部分の半分未満であるときは専有面積に含まれません。なお、1つの住居に床下収納とロフトの両方がある場合、合算した面積が専有面積の2分の1以上あると、建築基準法上の床面積とされることを覚えておきましょう。
専有面積の計算方法
専有面積の計算方法には、「壁芯(へきしん・かべしん)面積」「内法(うちのり)面積」の2つがあります。それぞれ詳しく説明します。
壁芯面積
壁芯面積とは、壁の中の中心線を想定し、中心線に囲まれた部分を床面積とする方法です。壁の厚みの半分も含めて計算するため、実際に使用できる面積よりも広くなります。
なお、建築基準法上での面積は壁芯面積を意味し、主に建築設計業務で使われます。また、マンションの広告やパンフレットに記載されている面積も一般的に壁芯面積です。特に、建物の完成前に売りに出される新築マンションの場合、正確な面積が確定しないため、壁芯面積が用いられることが多いでしょう。
内法面積
内法面積とは、壁の内側の部分を床面積とする方法です。計算するときは、壁や柱などの厚みは考慮されません。多くの場合、マンションの登記事項証明書(登記簿謄本)において、面積を表記するときに利用されます。
内法面積の場合、実際に使用できる広さが把握できるため、マンションの売買では内法面積で求めた専有面積のほうが分かりやすいといえるでしょう。しかし、マンションの広告に内法面積を用いる義務はないため、広告を見ても不明瞭な場合は、不動産会社に確認することをおすすめします。
快適に暮らせる専有面積の目安
物件を探す際、どれくらいの専有面積の物件を選ぶべきでしょうか?なお、2016年に国土交通省が発表した「住生活基本計画」(※1)では、一人暮らしの人が「健康で文化的な住生活」を営むために最低限必要な専有面積を25㎡と定めています。
その他、世帯人数別の快適に暮らせる最低限の面積水準(最低居住面積水準)や、豊かな住生活の実現を前提としてさまざまなライフスタイルに対応できると考えられる面積水準(誘導居住面積水準)の一覧は以下の通りです。
比較項目 | 世帯人数別の面積 | ||||
---|---|---|---|---|---|
単身 | 2人 | 3人 | 4人 | ||
最低居住面積水準 | 25㎡ | 30㎡ 【30㎡】 | 40㎡ 【35㎡】 | 50㎡ 【45㎡】 | |
誘導居住面積水準 | 都市居住型 (都心とその周辺での共同住宅居住を想定) | 40㎡ | 55㎡ 【55㎡】 | 75㎡ 【65㎡】 | 95㎡ 【85㎡】 |
一般型 (郊外や都市部以外での戸建て住宅居住を想定) | 55㎡ | 75㎡ 【75㎡】 | 100㎡ 【87.5㎡】 | 125㎡ 【112.5㎡】 |
※【 】内は、未就学児童が1名いる場合の面積
上記の目安を知っておくと、物件を選ぶ際の参考になるでしょう。
専有面積を調べる際の注意点
中古マンションの広告に掲載されている専有面積では、先述した壁芯面積と内法面積とが混在していることもあります。算出方法によって表示される面積が変わるため、物件情報にある面積がどのように算出されたものであるかを不動産会社に確認しましょう。
また、専有面積は同じでも、間取りによって部屋の広さの印象が変わる点にも注意が必要です。たとえば、専有面積が広くても、廊下が広ければ居室の面積は狭くなります。反対に、専有面積が狭くても、ベランダやロフトがあれば、体感的には広く感じることもあるでしょう。数字だけで物件の広さを判断するのは難しいため、自分の目で見て判断することが大切です。
専有面積を理解すれば売却や住み替えがスムーズに!
自分に合った物件を見つけ、購入するためには、専有面積という用語について正確に理解することが重要です。記載されている数字だけでなく、面積の算出方法や専有面積に含まれない範囲、間取りなどにも注意する必要があります。自宅を売却する際も、買い手に分かりやすく情報を伝えるために、専有面積の記載方法を不動産会社の担当者と相談してみるとよいでしょう。
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※1出典:住生活基本計画における「水準」について、国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001098415.pdf
(最終確認:2025年5月23日)


不動産鑑定士 竹内英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/