ローン支払いしているときの税額控除
住宅ローン控除とは、個人が住宅の新築もしくは取得又は増改築等をして、居住の用に供した場合において、返済期間10年以上の住宅ローンがあること、その他一定の要件を満たすときは、その居住の年から10年間又は13年間、年末の住宅ローン残高に応じて毎年一定額を所得税額から控除できる制度です。
なお、住宅ローン控除は、2025年(令和7年)12月31日までに入居した場合に適用されます。
住宅ローン控除を受けるための手続き
給与所得者・自営業者を問わず、控除を受けるものは、入居した翌年3月15日までに確定申告をする必要があります。申告書には土地・建物の全部事項証明書や年末残高証明書などの必要書類を添付して申告します(参照)。給与所得者は、2年目以降年末調整の際に控除を受けることができます。自営業者は、毎年確定申告の際に他の所得税控除や税額控除をあわせて申告することとなります。
住宅ローン控除適用要件
居住要件 | ① | 2025年(令和7年)12月31日までに入居すること |
② | 取得後6ヶ月以内に入居すること | |
③ | その年の12月31日まで引き続き居住していること | |
人的要件 | ① | 住宅ローン等を利用してマイホームの新築・取得又は増改築等をした個人であること |
② | その年の合計所得金額が2,000万円以下であること※ | |
③ | ローン控除を適用した年と前2年及び後3年の計6年の間に、前の自宅等について、3,000万円控除などの特例を適用しないこと | |
④ | 入居した年の翌年3月15日までに確定申告をすること | |
住宅要件 | ① | 主たる住居であること |
② | 家屋の登記床面積が50㎡以上であること※ 共有の場合、居住用以外の用途がある場合でも全体の面積で判定します。 | |
③ | 家屋の床面積の1/2以上が専ら居住用であること | |
④ | 中古住宅の場合 登記簿上の建築日付が1982年(昭和57年)1月1日以降であること 上記以外の場合、取得の日までに以下のいずれかの要件を満たすもの
| |
借入金要件 | ① | 住宅とその敷地を取得するための借入金であること |
② | 返済期間が10年以上の借入金であること | |
③ | 金融機関等からの借入金であること 銀行・住宅金融支援機構・信用金庫・信用組合・農協・各種公務員共済組合・地方公共団体 勤務先(金利年0.2%以上の場合) 親族からの借入金は、対象となりません。 |
※合計所得金額が1,000万円以下の場合に限り、床面積40㎡以上50㎡未満も対象。
ただし2023年(令和5年)12月31日以前に建築確認を受けた新築又は新築後未使用の住宅に限る。
住宅ローン控除の控除額
入居年 | 2022年(令和4年) | 2023年(令和5年) | 2024年(令和6年) | 2025年(令和7年) | 控除率 | |
借入限度額(最大控除額) | ||||||
新築住宅・ 買取再販※5 | 長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円(455万円) | 4,500万円(409.5万円) | 一律 0.7% | ||
ZEH水準省エネ住宅※2※4 | 4,500万円(409.5万円) | 3,500万円(318.5万円) | ||||
省エネ基準適合住宅※3※4 | 4,000万円(364万円) | 3,000万円(273万円) | ||||
その他の住宅 | 3,000万円(273万円) | 2,000万円(140万円) (令和5年までに建築確認の新築に限る※1) | ||||
中古住宅 | 長期優良住宅・低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅※2※4 省エネ基準適合住宅※3※4 | 3,000万円(210万円) | ||||
その他の住宅 | 2,000万円(140万円) | |||||
控除期間 | 新築住宅・買取再販※5 | 13年(※1の場合10年) | ||||
中古住宅 | 10年 | |||||
所得要件 | 2,000万円以下 | |||||
床面積要件 | 50㎡以上(2023年(令和5年)までに建築確認の新築:40㎡以上(所得要件:1,000万円以下)) |
- ※1 2024年(令和6年)1月1日以降に建築確認を受けた場合においても、登記簿上の建築年月日が2024年(令和6年)6月30日以前であれば適用対象
- ※2 ZEH水準省エネ住宅とは、断熱等性能等級5以上、かつ一次エネルギー消費量等級6以上の住宅(太陽光パネルは不要)
- ※3 省エネ基準適合住宅とは、断熱等性能等級4以上、かつ一次エネルギー消費量等級4以上の住宅
- ※4 「新築住宅」は取得の日前、「既存住宅」は取得の日前2年以内又は取得の日以降6ヶ月以内にその証明のための家屋の調査が終了したもの又は評価されたものに限る
- ※5 一定の要件を満たす買取再販のみが対象(国交省ホームページ「買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置」参照)
2021年(令和3年)度改正
新型コロナ税特法6条関係(令和3年度改正) | 建物に消費税がかかる場合(消費税免税事業者からの取得を含む) | ||
契約の締結期間 | 注文住宅の新築 | 2020年(令和2年)10月1日〜2021年(令和3年)9月30日 | |
分譲住宅・既存住宅の取得・増改築 | 2020年(令和2年)12月1日〜2021年(令和3年)11月30日 | ||
入居期限 | 2021年(令和3年)1月1日〜2022年(令和4年)12月31日 | ||
控除率・控除期間 | 1% ・ 13年 | ||
築年数要件 | マンション等の耐火建築物は築25年以内、木造等の耐火建築物でない場合は築20年以内であること 上記の築年数を超える場合は、一定の新耐震適合証明等が必要 | ||
合計所得金額 | 床面積50㎡以上 | 3,000万円以下 | |
床面積40㎡以上50㎡未満 | 1,000万円以下 |
<住民税からの控除>
その年分のローン控除額からその年分の所得税額を控除した残額については、その残額のうち次の控除限度額に達するまでの金額を翌年度分の住民税から減額することができます。
控除期間 | 各年の控除限度額 |
1年目~13年目 | 所得税の課税総所得金額等×5%(上限97,500円) 令和3年度改正のローン控除を受ける場合は、所得税の課税所得金額等×7%(上限136,500円) |
認定住宅新築等特別税額控除
居住者が認定住宅(認定長期優良住宅又は認定低炭素住宅)又はZEH水準省エネ住宅に該当するマイホームを新築等し、2023年(令和5年)12月31日までに入居した場合において、下記の要件を満たすときは、次の算式により計算した控除額をその年分の所得税額から控除することができます。またその年分に引ききれない金額は翌年分の所得税の額から控除することができます。住宅ローンを組んでいなくても適用できますが、住宅ローン控除とは選択適用となります。
【 適用要件 】
① その年分の合計所得金額が、3,000万円以下であること
② 認定住宅の新築等をした日から6ヶ月以内に入居していること
③ 住宅の登記床面積が50㎡以上であること
④ 住宅の床面積の2分の1以上が、専ら自己の居住用であること
⑤
2以上の住宅を所有している場合には、主として居住している住宅であること
⑥
入居年とその前2年及び後3年の計6年間、マイホームを売却した場合などの譲渡所得に関する特例(居住用財産の3,000万円控除等)を適用していないこと
控除額 = 認定住宅等について講じられた構造及び設備に係る標準的な費用の額(注)(最高650万円) × 10%
(注) 認定住宅等について講じられた構造及び設備に係る標準的な費用の額とは、構造の区分ごとに1㎡あたりで定められた金額45,300円に、その住宅の床面積(登記床面積)を乗じて計算した金額をいいます。
2025年12月31日までの入居

(注1)フローチャートは簡略版となっております。
(注2)2016年(平成28年)4月1日以降に取得する場合には取得日時点で国内に住所(住民票)がなくても
「取得後6ヶ月以内に入居する」など一定の要件を満たす場合には控除が受けられるようになりました。
(注3)居住後転勤し、その後再入居して再び控除を受けるためには、転勤前に税務署へ届出が必要です。(参照)
2022年(令和4年)4月に新築のマイホームを購入し、夫婦連帯債務で4,000万円の住宅ローンを組みました(夫負担分3/5、妻負担分2/5)。
マイホーム(土地・建物)の取得価額は5,500万円で、自己資金として1,500万円払っています。今年の年末の住宅ローン残高は3,900万円でした。
この場合の住宅ローン控除の限度額はどのように計算しますか?
(住宅ローン控除のその他の要件はすべて満たしているものとします。)
この場合、夫・妻それぞれの住宅ローン控除の限度額は以下のとおりです。
計算方法
夫・・・(3,900万円 × 3/5)× 0.7% = 163,800円
妻・・・(3,900万円 × 2/5)× 0.7% = 109,200円
2022年(令和4年)に5,000万円の新築物件を2,000万円(年末ローン残高1,900万円)の借入をして購入しました。2022年(令和4年)中に入居し、ローン控除の要件は満たしております。ローン控除で控除しきれない金額がある場合、住民税はどうなるのでしょうか?
(2022年[令和4年]分給与所得の源泉徴収票の記載内容)
支払金額……………………………500万円
源泉徴収税額………………………11万円
※2022年(令和4年)の課税総所得金額等は2,713,000円
この場合の所得税・住民税は以下のとおりです。
(1)所得税
- ①ローン控除額
1,900万円 × 0.7% = 133,000円 - ②源泉徴収税額
110,000円 - ③還付金額
① > ② 110.000円の所得税が還付されます。
(2)住民税
- ①所得税の計算の際、控除しきれなかった金額
133,000円−110,000円=23,000円 - ②住民税の控除限度額
2,713,000円×5%=135,650円
97,500円を超えるので、97,500円 - ③住民税で控除できる金額
住民税で控除できる金額 ① < ② 23,000円が住民税から控除されます。
適用される住宅ローン控除は?(控除率1%のケース)

※分譲住宅等とは分譲住宅、既存住宅、増改築等をいいます。
適用される住宅ローン控除は?(控除率0.7%のケース)

※分譲住宅等とは分譲住宅、既存住宅、増改築等をいいます。
Q24土地を先に買い、そのあとで住宅を建てた場合にはどう扱われますか?
- A
- 住宅ローン控除は、住宅取得のためのローンと一体として借入れた返済期間10年以上の土地のローンも対象になります。
ご質問のように土地を先に取得し、その後住宅を建てた場合には、次のような基準のいずれかを満たせば先行して取得した土地のローンも対象になります。 - ①建築条件付住宅地分譲では、3ヶ月以内に(建築)請負工事契約を締結すること。
- ②土地取得から2年以内にこの土地の上にローン付で住宅を取得すること。
なお、金融機関等からの借入金に係る債権を担保にするためのその家屋を目的とする抵当権が設定されている必要があります。 - ③土地・建物のための住宅金融支援機構等の借入金で家屋の新築着工後に受領したもの。
- ④地方公共団体等からの借入金で建築条件が付されているもので新築前に受領した借入金。
Q25借り換えた場合は、住宅ローン控除は受けられますか?
- A
- 当初借りた住宅ローンに比べて借入条件が有利なために住宅ローンを借り換えることもあると思いますが、以下の要件を満たす住宅ローンの借り換えであれば、その借り換え後の住宅ローンについても住宅ローン控除を受けることができます。
- ①新たな住宅ローンが当初の住宅ローンを返済するためのものであることが明らかなこと。※1
- ②新たな住宅ローンの償還期間が10年以上である等、住宅ローン控除を受けるための要件を満たすものであること。
当初借りたローンについて確定申告を行っていれば新たなローンについて、あらためて届け出を行う必要はありません。なお、住宅ローン控除を受けることができる年数は、居住の用に供した年から一定期間(2022年[令和4年]入居の場合10年間)※2であり、借り換えによって延長されることはありません。
※1 全部事項証明書や金銭消費貸借契約書などにより確認できること。(提出の必要はありません)
※2 一定の要件を満たす場合は13年間
Q26繰上返済した場合の住宅ローン控除は?
- A
- 住宅ローン控除の対象となる借入は「返済期間が10年以上」でなければなりません。繰上返済した結果、最初の返済日から短くなった償還期間の最終の償還月までの期間が10年に満たないときは、繰上返済後のローン控除は適用が受けられません。しかしその期間が10年以上であればその年以後もローン控除の適用が受けられます。
Q27マイホームを購入してから転勤した場合の住宅ローン控除は?
- A
海外転勤の場合
①家族も海外に行く場合
すでに住宅ローン控除の適用を受けていた人で、住宅ローン控除の適用期間内に再度居住した場合は再適用を受けることができます。そのためには次の期日までに、次の書類を税務署に提出する手続きが必要です。住宅ローン控除を受けていた者が帰国後に再適用するケース 住宅に居住した年に出国し、
帰国後から住宅ローン控除を適用するケース出国前
(税務署へ提出)- ①転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書
- ②未使用分の「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」及び「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」※税務署から交付を受ける場合に限る
手続き不要 帰国後
(確定申告書に添付して提出)- ①(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(再び居住の用に供した方用)
- ②住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書※2か所以上から交付を受けている場合はそこの全ての証明書
- ①(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(再び居住の用に供した方用)
- ②特定事由によりその家屋を居住の用に供さなくなったことを明らかにする書類
- ②本人は海外単身赴任し、家族は日本に残る場合、引渡日から6カ月以内に家族が入居し、その後も引き続き入居するのであれば、海外単身赴任している非居住者期間中も含め、住宅ローン控除の適用があります。
国内転勤の場合
この場合も海外転勤者と同様に、居住していない期間は住宅ローン控除の適用が受けられません。手続きも上記と全く同様の手続きを取ることになります。しかし、単身赴任で本人の家族が引き続き居住し、転勤命令等が解消された後には同居すると認められる場合には、引き続き住宅ローン控除の適用があります。
Q28認定低炭素住宅とは
- A
- 認定低炭素住宅とは都市の低炭素化の促進に関する法律(地球温暖化を抑制するため都市の低炭素化の促進を図り、都市の健全な発展に寄与することを目的とした法律)に基づき、同法の認定基準を満たした低炭素建築物として新築等されたものをいいます。認定低炭素住宅に該当すると住宅ローン控除を受ける際の住宅ローンの残高上限が増額されたり、登録免許税の税率が低くなるなど税制上の恩恵が受けられます。
Q29マイホーム購入の契約をし、引渡前に転勤になったときの住宅ローン控除は?
- A
- 原則的に購入した本人が住まなければ適用がない制度です。しかし、本人が住めなかったことに転勤や転地療養その他のやむを得ない事情がある場合、引渡の日から6ヶ月以内に本人の家族が住み、やむを得ない事情が解消した後は本人と家族が同居すると認められる場合には住宅ローン控除の適用はあります。
Q30住宅ローン控除の確定申告の添付書類に記載する家屋・土地の価格の区分方法は?
- A
- 住宅ローン控除を受けるための確定申告の際に添付する住宅借入金等特別控除額の計算明細書において、購入した不動産の取得対価を家屋部分と土地部分に区分して記載する欄があります。土地・建物を一括して取得した場合の取得対価の区分はこちらに記載した方法に基づいて算出します。(参照)もし売買契約書に消費税が記載されている場合にはその消費税額から建物価格を逆算する方法で算出します。
Q31早目に税金の還付を受けるには?
- A
- 所得税の確定申告書の受付は、その所得の発生した年の翌年2月16日からで確定申告期限は3月15日です。
ただし、住宅ローン控除等による還付の申告については、還付を受ける所得の発生した年の翌年であれば2月15日以前でも受け付けてくれます。通常、還付申告した際に還付金を受け取れるのは約1ヶ月後(目安)となりますので、なるべく早い時期に還付を受けたいと考えている方は、お早めの申告書の提出をおすすめします。なお、e-Taxにより申告手続を行った場合、通常よりも早く、約3週間程度で還付金を受け取ることができます。※詳しくは国税庁ホームページをご参照ください。
また、税務署に出向いて還付申告のための申告書の記載の仕方を詳しく教わりたい方は、事前予約が必要となる場合がありますので所轄税務署にお問い合わせください。
Q32中古住宅の取得と同時に行った増改築工事に関するローンについて住宅ローン控除は受けられますか?
- A
- ●事業者ではない個人から中古マンションを2,500万円で購入…住宅ローン1,500万円(当初借入額)
●500万円のリフォーム…リフォームローン500万円※1(当初借入額) 【居住開始年の住宅ローン控除額計算例】
年末ローン残高 : 住宅ローン…1,400万円 リフォームローン…400万円住宅ローン控除額
- ①購入分 … 1,400万円<2,000万円(個人から購入した場合のローン控除限度額)→1,400万円× 0.7%=98,000円
- ②リフォーム分 … 400万円<2,000万円ー1,400万円=600万円(リフォームローン控除限度額)→400万円× 0.7%=28,000円
- ③①+②=126,000円<14万円※2→126,000円
※1 住宅ローン控除の対象となるリフォームは、床・階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事等となります。(増改築等工事証明書が発行される工事)
※2 購入分とリフォーム分のローン控除を重複適用する場合は、最も高い控除限度額(2,000万円×0.7%)が限度となります。
Q33各種マイホームの特例の要件である「40㎡」又は「50㎡」の意味は?
- A
専有面積と登記床面積
分譲マンション等の区分所有建物ではパンフレット等に記載されている専有面積と登記簿上の面積(登記床面積)は異なります。パンフレットの専有面積は壁の中心(壁芯)を基に計算をしますが、登記床面積は内法(うちのり)によって計算をします。従って登記床面積はパンフレット上の専有面積より少ないことになります。
各種税法上のマイホームの特例は登記床面積で判断します。専有面積40㎡又は50㎡をわずかに上回っているマンションは要注意です。登記床面積が40㎡未満又は50㎡未満の場合があります。床面積(延床面積と課税床面積)
各種不動産の税金には軽減の特例が設けられており、この特例を受けられる一定の条件の一つとして床面積基準がありますが、ここで言う床面積とは延床面積のことです。戸建やマンションのメゾネットタイプの場合には各階の床面積(登記床面積)を合計したものが延床面積です。
一方マンションの固定資産税・不動産取得税上の床面積は共有部分を加算した床面積を課税床面積として税額を求めます。この明細は固定資産税評価証明書により知ることができます。