家の買い替えのポイントとは?不動産売却のタイミングから流れまで徹底解説

家の買い替えを検討する際、いくらで売却できるのか、住宅ローンが残っている場合はどうすればよいのかなど、さまざまな疑問が浮かぶ方もいるでしょう。この記事では家の買い替えで失敗しないために、最適なタイミングや流れ、注意点など、買い替えを成功に導くポイントを解説します。

目次
  1. 家の買い替え、何から始める?
  2. 家の買い替えに失敗しないための3つのポイント
  3. 家の買い替えのタイミングは?
  4. 家の買い替えの流れ【買い先行】
  5. 家の買い替えの流れ【売り先行】
  6. 家の買い替え時に資金が足りない場合の対処法
  7. 家の買い替え時は不動産会社に頼ろう!
記事カテゴリ 売却 購入 費用 住み替え
2023.12.20

家の買い替え、何から始める?

ライフスタイルの変化や家庭の事情など、さまざまな理由で家の買い替えを検討されている方もいるでしょう。ただ、「いくらで売れるのか」「いつ売ればよいのか」「購入と売却のどちらを先に進めればよいか」「ローンが残っている場合はどうすればよいのか」など、多くの疑問が浮かんだり、よく分からないことに対して不安を感じたりする方もいらっしゃるのではないでしょうか?

家の買い替えは、購入と売却を同時に進めるため、考えることやするべきことがたくさんあります。失敗しないためには、買い替えの流れやかかる費用を事前に把握し、それぞれの段階で必要なことを理解して進めることが重要です。この記事では「家の買い替え」という人生の一大イベントを成功させるために、買い替えに適したタイミングや流れ、注意点などを詳しく解説します。

家の買い替えを検討する夫婦

家の買い替えに失敗しないための3つのポイント

家の買い替えをうまく進めるために、事前に知っておくべきことや考えるべきことがあります。特に気にしておくべきことを、3つご紹介します。

買い替え理由・新居に求める条件を明確にする

家の買い替えを検討する理由には、ライフステージの変化や通勤・通学の不便さ、家の広さや部屋数に関する不満など、さまざまなものがあります。失敗をしないために、まず、なぜ買い替えたいのか、目的や理由を明らかにしましょう。そうすることで、新居に求める条件も見えてくるでしょう。

新居を探し始める前に、新居に求める条件を洗い出し、優先順位を付けることをおすすめします。買い替えをする目的や理由を踏まえ、今の住まいのどのような不満を解消したいのか、解消できるかを具体的に考えてみましょう。譲れる条件は何か、どうしても譲れない条件は何かを事前に明確にしておけば、物件を探す時間を有効に使うことができ、後悔や失敗を防ぐことにつながります。

家の買い替えを検討する家族

いつまでに買い替えを終わらせたいか決める

いつまでに買い替えを完了していたいのか、ライフステージの変化、現居の築年数、季節、経済的状況などを参考にはっきりさせておきましょう。買い替え時期を明確にすることで、逆算してスケジュールを立てることができます

諸費用や税金を把握する

家の買い替えを行うときは、売却時と購入時にかかる費用を事前に把握しておきましょう。ここでは、家の売却時と購入時にかかる諸費用をみていきます。

売却に必要な諸費用
家の売却では、収入を得られるだけでなく、売却するために必要な諸経費を支払わなければなりません。家を売却するときにかかる諸費用は、一般的に売却金額の3.5~4%といわれます。費用の内訳を見ていきましょう。

●仲介手数料
仲介手数料とは、物件の売買契約が成立した際に不動産会社に支払う成果報酬です。一般的には、仲介手数料の半分を買主と売買契約を結んだ際に、残りは買主に物件を引き渡す際に不動産会社に支払います。仲介手数料については、国土交通省の宅地建物取引業法で上限額が定められており、以下の計算式で求められます。

成約価格仲介手数料の計算式(上限)
200万円以下成約価格(税抜)× 5% + 消費税
200万超〜400万円以下成約価格(税抜)× 4% + 2万円 + 消費税
400万円超成約価格(税抜)× 3% + 6万円 + 消費税

●抵当権抹消費用
抵当権とは、住宅ローンを組む際に、担保とする土地と住宅に対して金融機関が設定する権利です。売主は引渡し時に、住宅ローン完済と同時に抵当権を抹消しなければいけません。抹消をしていない抵当権が付いたままの物件は、銀行が新たな抵当権を設定できず買主が新たにローンを組めないため、売却が成立しない場合があります。司法書士に依頼する場合、費用の目安は5,000~2万円です。

●一括繰り上げ返済手数料
売却時に住宅ローンが残っており、一括で住宅ローン残債を支払う場合、金融機関に対して手数料がかかります。費用の目安は1万~3万円です。金融機関によって金額が異なるため、事前に確認しましょう。

●印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書を含む課税文書を作成する際に課せられる国税です。平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成される契約書は租税特別措置法による軽減措置の対象となります。本則の税率による金額と、軽減措置を受けた際の金額は以下の通りです。

契約金額本則の税率軽減後の税率
10万円を超え、50万円以下のもの400円200円
50万円を超え、100万円以下のもの1,000円500円
100万円を超え、500万円以下のもの2,000円1,000円
500万円を超え、1,000万円以下のもの1万円5,000円
1,000万円を超え、5,000万円以下のもの2万円1万円
5,000万円を超え、1億円以下のもの6万円3万円

●譲渡所得にかかる税金(所得税・住民税・復興特別所得税)
不動産売却価格から諸費用を引いて出た利益を譲渡所得といい、この譲渡所得には税金が発生します。譲渡所得の計算方法は以下の通りです。

譲渡所得 = 物件を売った金額等(譲渡収入金額) - [ 物件を買った金額(取得費) + 売却時の諸費用(譲渡費用) ]

また、税率は、売却した年の1月1日時点での不動産の保有期間によって異なります。

不動産保有期間税率
保有期間5年以下譲渡所得の39.63%
保有期間5年超譲渡所得の20.315%

※税率には復興特別所得税の2.1%相当が上乗せされています

ただし、居住用物件の売却を行った際には、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が利用できる場合があります。

●3,000万円の特別控除の特例に関する記事はこちら
居住用財産の3,000万円控除とは?適用要件や必要書類も併せて解説!

また、現居の売却金額よりも新居の購入金額のほうが高い場合には、譲渡損失の金額について損益通算および繰越控除をすることができる「買い替え特例」が利用できる場合があります。

なお、これらの特例を受けるためには、確定申告が必要なため、そちらも併せて確認しましょう。

家の買い替えにかかる税金

購入に必要な諸費用
家の購入では、購入代金のほかに購入にかかる諸費用が必要となります。費用の内訳を見ていきましょう。

●仲介手数料
不動産会社を通して中古物件を購入する場合、仲介手数料がかかります。新築物件や、中古でも個人間でやりとりをして購入をする場合はかかりません。

●住宅ローン関連費用
住宅ローンを組む際、手数料や保証料がかかります。費用の目安は融資事務手数料として3~5万円、あるいは融資額の約2%です。

●保険料
火災や地震に備えて保険に加入する場合、保険料がかかります。

●税金
不動産購入に伴い、固定資産税や不動産取得税などの税金を納める義務が発生します。固定資産税とは、所有している土地や建物に対して市町村が毎年課税する税金です。標準税率は基本的に1.4%ですが、市町村によっては異なる場合があります。

固定資産税 = 固定資産税評価額 × 標準税率(1.4%)

不動産取得税とは、不動産購入時の初期費用の1つで、建物と土地それぞれに対して一度だけかかる税金です。一般的な標準税率は 4%で、以下の計算式で求めることができます。

不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 標準税率(4%)

ただし、特例により2024年3月31日までは、土地及び住宅にかかる税率は3%まで減税されます。なお、住宅以外の家屋にかかる税率は4%です。

家の買い替えにかかる諸費用

家の買い替えのタイミングは?

家を買い替える際には、おすすめのタイミングがあります。家を買い替えるのに適したタイミングを大きく3つ見ていきましょう。

ライフステージの変化

ライフステージによって、住みやすい家は変化します。結婚や出産、定年などライフステージの変化をきっかけに、マイホームの買い替えを検討するとよいでしょう。

結婚、出産、親との同居など家族が増える機会では、住んでいる家を手狭に感じることがあり、より広く、より部屋数の多い家への買い替えをするきっかけになります。また、子どもの進学時期に、学校近くの家への買い替えを検討する人もいます。

子どもが独立したり、定年を迎えたりする時期も、買い替えのよいタイミングといえるでしょう。老後の暮らしに備えて、コンパクトなバリアフリーのマンションに住み替えると、より暮らしに合った住まいで生活することができます。

家を買い替えた家族

築10年以内

家を買い替える最適なタイミングには、築年数も重要なポイントです。特に今の家をできるだけ高く売りたい場合は、築10年以内で売却すると高値で売却しやすくなります。

家の資産価値は、築年数が経過するにつれて下がっていき、一般的に、木造一戸建ての建物の価値は、約10年たつと新築の半分ほどまでに下がってしまいます。そのため、築10年以内のタイミングで売却を検討するとよいでしょう。

ただし、固定資産税が軽減される新築後3年間は売却せずにキープすることがおすすめです。新築一戸建ての場合、新築3年間(マンションの場合5年間)は税額が2分の1に軽減されます。

季節は「春」か「秋」

買い替えのベストシーズンを狙うならば、1~4月と9~11月が狙い目です。春と秋は進学や転勤に伴って引越しする人が増える時期で、これまで住んだ家を売りたい人も、新しく家を探す人も多くなります。

不動産売買が最も活発になるタイミングに合わせて家の買い替えを検討することで、新しい家の選択肢が広がり、自身の物件をスムーズに売却できる可能性も高まるでしょう。

入学式の家族

家の買い替えの流れ【買い先行】

家の買い替えには、新しい家の購入を先に行う「買い先行」と今住んでいる家の売却を先に行う「売り先行」の2種類があります。それぞれの流れと、メリット、注意点を押さえて、自分にはどちらが向いているか考えましょう。

今住んでいる家の売却代金を充てなくても、新しい家を先に購入できるだけの経済的余裕がある人には買い先行がおすすめです。買い先行で家を買い替える場合の主な流れは以下の通りです。

[ 1 ] 新居探し
[ 2 ] 新居の購入手続き
[ 3 ] 新居のローン手続き
[ 4 ] 引越し、入居
[ 5 ] 現居の売り出し
[ 6 ] 売却代金の受け取り、引渡し

メリット

家の買い替えを買い先行で行う場合のメリットは以下の通りです。

・新居選びに十分な時間をかけられる
・仮住まいを用意する必要がない

家の買い替えを買い先行で行う場合、いつまでに新居を選ばなくてはいけないという時間的な制約がありません。住んでいる家の売却が新居の購入後になることから、納得のいく物件が見つかるまで、焦ることなく十分な時間をかけて、新居探しを行うことができます。

また、買い先行では先に新居を購入するため、今住んでいる家から直接新居に引越しすることが可能です。そのため、仮住まいを探す必要がなく、引越しにかかる費用や時間を必要最低限に抑えることができるというメリットもあります。

注意点

買い先行を選ぶ場合は、以下の点に注意しましょう。

・現居が売却できるまで、二重でローンを支払う必要がある
・余裕を持った資金計画と準備が必要になる

売却予定の現居の住宅ローンが残っている場合は、新居を購入してから現居が売却できるまで、現居と新居の分を合わせて、二重で住宅ローンを支払わなくてはならない点に注意しましょう。

また、買い先行の場合、住んでいる家の売却代金を新居の購入資金として充てられないため、余裕を持った資金計画と準備が必要です。また、現居を売り出しても、スムーズに引渡しまで進むとは限りません。現居の売却に時間がかかる可能性も想定して、早めに不動産会社に相談することをおすすめします。

見学を行う買い替え検討中のファミリー

家の買い替えの流れ【売り先行】

現居の住宅ローンがまだ残っている人や、現居の売却代金分で新居購入の費用を確保したい人は売り先行がおすすめです。売却先行の流れは、以下の通りです。

[ 1 ] 現居の売り出し
[ 2 ] 現居の売買契約
[ 3 ] 新居探し
[ 4 ] 新居の購入手続き
[ 5 ] 新居のローン手続き
[ 6 ] 売却代金の受け取り、引渡し
[ 7 ] 引越し、入居

メリット

まずは家の買い替えを売り先行で行う場合のメリットを見ていきましょう。主なメリットは以下の通りです。

・現居の売却代金を新居購入の資金に充てられる
・納得のいく価格で現居を売却できる可能性がより高くなる

家の買い替えを売り先行で行う場合、現居を売却したことで得た代金を、新居購入の資金に充てることができます。現居の売却代金を含め、新居にかけられる費用がどの程度なのかを事前に分かっていれば、無理のない資金計画を立てることができるでしょう。

また、いつまでに売らなくてはならないという期限がなく、焦らず、現居の売却活動にじっくり時間をかけることもできるので、納得のいく価格で売却できる可能性がより高くなります。

注意点

一方で売り先行を選ぶ場合は、以下の点に注意する必要があります。

・仮住まいが必要になる場合がある
・仮住まいの経費を抑えるために焦って新居を選び、後悔する場合がある

売却した物件の引渡しまでに新居が見つかっていない場合は、新居が決まるまで仮の住まいが必要になります。仮住まいへの引越しをするためには、新居の購入費に加えて追加で費用がかかり、引越しをする回数が増えると作業的な負荷も増える点に注意が必要です。

また、仮住まいへの引越しを避けようとしたり、仮住まい生活をできるだけ早く終わらせようとしたりして、焦って新居を探してしまうと、十分な検討を行う時間が持てず、家の買い替えが失敗する原因にもつながります。

このように売り先行の場合は、新居の資金計画を立てやすくなりますが、仮住まいが必要になる場合の手間と費用がかかることを考慮して検討しましょう。

住み替えのイメージ

家の買い替え時に資金が足りない場合の対処法

いざ住み替えをしようと思っても、手持ちの資金がなかったり、住宅ローンの残債が多かったりと、資金面に不安を感じながら家の買い替えを検討するケースも考えられますよね。資金が足りなくても、住み替えを実現する方法を2種類ご紹介します。

つなぎ融資を利用する

つなぎ融資とは、現居を売却するより前に新居を購入する場合、新居の購入費用を一時的に融資してもらう金融商品です。現居を売却した際に完済することが、融資を受ける条件となります。

メリット
つなぎ融資のメリットは、住宅ローンを組む前に融資を受けられる点にあります。買い先行を選択した際、「資金が足りないけれど、理想の物件が見つかりどうしても購入したい」という場合に、つなぎ融資を利用するというケースがあります。

注意点
注意点は、一般的な住宅ローンに比べて金利が高い点です。さらに、利用には手数料や保証料などがかかります。

また、借入期間は一般的に半年~1年と制限があるため、期限を優先させて現居を納得の金額で売却できなくなるリスクがあります。期限内に現居を売却できない場合は、不動産会社が相場の80%程度の金額で買い取ることになります。

不動産模型

住み替えローンを利用する

住み替えローンとは、新居物件のローンに売却物件のローン残債を上乗せして借り入れできる住宅ローンです。家を売却しても住宅ローンが完済できない場合に利用します。

メリット
住み替えローンのメリットは、現居の売却代金や自己資金を上回る資金を調達できる点です。「住宅ローンの残債があり、売却代金や自己資金を充てても完済できないが、新居を購入して新たな借り入れをしたい」という場合に、住み替えローンを利用するとよいでしょう。

注意点
住み替えローンは、新居の購入価格以上の高額な借り入れをすることになるため、融資条件が厳しい傾向があります。住み替えローンを利用したいと思っても、審査に通らない可能性もあるので早めの申請が必要です。また、住み替えローンを組むには、現居の売却と新居の購入のタイミングを合わせ、売却物件の抵当権の抹消と新たな抵当権の設定を同時に手続きする必要があります。

また、現居を売却しても住宅ローンを完済できないケースでは、「任意売却」という方法を利用することも可能です。ただし、任意売却には注意点も多いため以下の記事を読んでから検討するようにしましょう。

●住み替えローンに関する記事はこちら
住み替えローンとは?利用の注意点や手順を解説

●任意売却に関する記事はこちら
任意売却とは?住宅ローンの支払いが厳しくなったら知っておくべき基礎知識を解説

家の買い替え時は不動産会社に頼ろう!

ここまで、家の買い替えに適したタイミングやかかる費用、買い替えの流れ、注意点などをお伝えしてきました。家の買い替えの流れには、買い先行と売り先行の2つがあり、それぞれメリットと注意点があります。これらを事前に押さえて、自分に合った買い替えの方法を選びましょう。

また、家の買い替えでは、パートナーとなる不動産会社選びも重要です。三井のリハウスでは、お客さまの家の買い替えを成功させるためのパートナーとして、経験豊富な担当者がサポートします。売主さまと買主さま、どちらのケースも対応しておりますので、家の買い替えをご検討される際、ぜひ一度ご相談ください。

●三井のリハウス不動産売却無料査定はこちら

●売却をご検討中の方はこちら

村田洋一

さくら事務所 不動産コンサルタント。宅地建物取引士、行政書士。消費者にとっての最良の不動産取引を目指し、多岐にわたる不動産トラブルの相談を受ける。
https://www.sakurajimusyo.com/