Column / 2020 11,06

うちはいくらで売れる?売却前に知っておきたいマンション査定のポイント

不動産売却の査定とは、その物件がいくらで売れるか、不動産会社に売却額を算出してもらうことです。売却のスタート地点である査定は、売却が成功するかどうかのキーになるポイントなのです。今回は査定額が決まるポイントから、失敗しないための対策までをご紹介します。

山本直彌

さくら事務所 マンション管理士。マンション管理士、管理業務主任者、マンション維持修繕技術者、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。マンション・ビル管理、不動産仲介、マンション管理コンサルタントなど、不動産の多岐にわたる業務に従事している。
https://www.sakurajimusyo.com/

マンションの「査定」は適正価格であることが大切!

マンションの売り出し価格は、査定で適正価格を付けてもらうことが、早く高く売れるポイントになります。不動産売却の査定とは、その物件がいくらで売れるか、不動産会社に売却額を算出してもらうことです。売主はこの売却額を参考に売り出し価格を決めて、売却活動を始めます。

売り出し価格を決定する際には「どうせ売るなら高くしたい」「〇〇円必要だからそれ以上もらいたい」など、売主の感情も影響されるかもしれません。しかし、査定で適切な審査がされないと「高過ぎて売れない」「安過ぎて損をした」と、結果的にマンション売却で損をしてしまうことも…。売却のスタート地点である査定は、売却が成功するかどうかのキーになるポイントなのです。

今回は査定額が決まるポイントから、失敗しないための対策までをご紹介します。基本的な知識を得れば、査定に対する不安も払拭できますよ。納得のいく査定になるよう、ぜひこの記事を役立ててくださいね!

不動産会社と相談する女性

金額はここで決まる!マンション査定の主なポイント

中古マンションの売却価格はどうやって決まるのでしょう?適正な売却価格を知るためには、査定額が相場に対して適正かどうかを確認することができるよう、不動産会社が物件のどこを見て査定額を決めるのかを知っておきましょう。

査定に影響するポイントを知っておけば、不動産会社に物件の魅力をアピールできるので、査定の評価を上げることが期待できますよ。以下のポイントを参考に、ご自分のマンションをチェックしてくださいね。

ビルの模型とお金

築年数

マンションが建てられてから査定されるまでの年月を表す「築年数」は、マンションの価値を測るうえでも重要なポイントです。一般的に築年数が浅ければ査定額は高く、古ければ査定額は低くなります。売却する物件が古い場合は不利になりますが、リフォームや必要なメンテナンスをしていれば物件の印象がよくなるでしょう。これまでリフォームをした箇所や時期をまとめておき、査定時にしっかりアピールできるようにしましょう。

立地条件

立地条件は築年数と同じくらい、査定で重要なポイントになります。特に交通の便がよい駅近物件は買主からの人気も高く、査定額アップに繋がります。また、スーパーやコンビニなど生活に便利な施設が徒歩10分以内にあれば、プラス要素になる可能性があります。

利便性以外では景観や治安のよさなどもアピールポイントになります。買主目線で住みやすい環境にあるかを考えてみましょう。

マンション内の位置

集合住宅であるマンションは建物そのものだけでなく「住戸位置」と呼ばれる、マンション内での部屋の位置も査定で見られるポイントです。角部屋やバルコニー・ベランダが南向きの部屋は買主に人気のため、査定額が上がる可能性があります。角部屋や南向き以外でも、近隣に高い建物がなく、風通しや陽当たりがよければ査定額アップにつながるので忘れずにアピールしましょう。また、高層階になるほど、景観がよく、人気のため、査定額が上がるのが一般的です。

専有部分

専有部分とは自分に所有権のある居室のことです。エントランスや外廊下、ベランダなどは含まれません。専有部分は査定時はもちろん買い手が見学に来る内覧時にもよく見られるので、整理整頓されたきれいな状態にすることが大切になります。

特にキッチンや浴室、トイレなどの水回りは汚れや劣化が目立つうえにチェックされやすい場所です。汚れがひどいと査定額が低くなったり、買主が付きにくくなったりする可能性があります。自分できれいにすることが難しければ、プロの手を借りて掃除をするのも1つの手段でしょう。

また専有部分では、収納が多いことも査定額のアップに繋がります。このため、訪問査定では収納スペースの中までチェックされることが多くあります。査定前に収納スペースの内部の掃除をして、扉がきちんと閉開できるかも確認しておきましょう。

共用部分

専有部分に対して、共有部分とは文字通りエントランスや室外の廊下、エレベーター、駐車場などのマンションの入居者が共有するスペースを指します。専有部分と同じく、清潔できれいな状態であるかがチェックされるため、問題があれば早めに管理会社に連絡して対応してもらいましょう。また、管理員の有無やオートロック、防犯カメラなどのセキュリティシステムがあることもプラス要素になるので、事前に確認して伝えるとよいですよ。

維持管理状況

維持管理状況とは、マンションを維持するための管理状況のこと。「清掃は行き届いているか?」「管理員はどのくらいの頻度で在中しているか?」などが見られます。また、この項目では月々の管理費や修繕積立金の費用もチェックされます。近日中に値上げされる予定がある場合や金額が高いと入居者への負担が大きいと見なされ、査定額に影響する可能性もあります。しかし、これら維持管理状況については、売主ができることはほとんどないので、知識として知っておきましょう。

訪問査定をするスタッフ

耐震性

日本は全国どこでも地震が起こる可能性があるため、建物が地震に強いかを判断する耐震性は査定において外せないポイントです。売主は売却するマンションが「新耐震基準」の物件であるかを確認しておくとよいでしょう。具体的には1981年6月1日以降に建築の許可がおりた物件であれば、基準を満たしているので問題ありません。

もし、それ以前に建てられた物件であれば新耐震基準を満たしていないため、査定に大きく響きます。しかし、補強工事をしていれば査定時に考慮されるので、必要な工事が行われているかを管理会社へ確認するとよいでしょう。

マンションの査定では、路線価はあまり影響しないことが多い

土地の評価額を表す「路線価」というものがあります。「マンションの査定でも影響するの?」と気になる人もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、集合住宅であるマンションは戸建てと違い、土地よりも建物の価値の方が重視されます。このため、マンションの査定では路線価は一戸建てを比較して、そこまで大きな影響はないでしょう。

マンション査定を依頼する方法は?

マンションの査定で見られるポイントをご紹介しました。審査方法には「訪問査定」と「簡易査定」の2種類があります。建物や室内に関するチェックは主に「訪問査定」で行われるものです。ここからは、それぞれの査定方法と流れ、それぞれどんな人に向いているかを見ていきましょう。

パソコンを覗く若い夫婦

不動産会社による訪問査定

訪問査定はより正確な売却価格を知りたい人におすすめの方法です。不動産会社と日時を決め、実際に内覧してもらうことで、物件の状態や周辺環境まで加味した査定が行えます。また簡易査定と違い、不動産会社と直接やり取りをして進めていくので、信頼できる不動産会社を選ぶための判断材料にもなるでしょう。

ただし、訪問査定は訪問する日程のすり合わせや内覧などに時間が必要です。そのため、やみくもに多くの会社に依頼するよりも、ある程度依頼する会社の数を絞ってから行う方が負担が少なく、おすすめです。

オンラインによる簡易査定

手軽さが魅力のWEBサイトでできる簡易査定は、大まかな売却価格を知りたい方におすすめの方法です。
オンラインによる簡易査定は実際の物件を見ずに物件情報や過去の売却事例などのデータをもとに査定するため、「机上査定」とも呼ばれています。また、簡易査定では、物件のあるエリアの売却価格や、賃貸に出した場合の賃料の相場が分かるサイトもありますよ。

申し込みはオンラインから無料で行えます。サイトによって利用登録の手続きが必要な場合もありますが、訪問査定に比べて手軽に依頼できるのが魅力です。

また、複数社に一括で簡易査定を依頼できるサイトもあります。それぞれの査定結果を比較検討できるので、相場に見合わない査定をする不動産会社を見分けるのに役立ちますよ。
サイトによってそれぞれ特徴があるので、自分の希望に合うものを探してみるとよいでしょう。

納得できる査定のために押さえておきたい、5つの注意点

査定について基本的な知識を知ったところで、売主として知っておきたいのが査定時のコツです。売却を成功させるには、査定で納得できる価格を出してもらうことが大切。査定価格を出すのは不動産会社ですが、売主として査定に備えてできることは多くあります。以下の注意点を押さえてから、査定に臨みましょう!

チェックリストと家の模型

[ 1 ] 査定は複数の会社に依頼する

査定の依頼は1社だけでなく、複数の不動産会社に依頼しましょう。1社だけに依頼すると査定価格が適正なのかどうか判断できず、相場よりも高く売れ残ってしまう可能性や低い価格で売却してしまう可能性も考えられます。

査定を複数社に依頼すれば、査定価格を比較できるので一番納得のいく会社に依頼できるでしょう。また、会社ごとの対応も査定を通して分かることがあるので、仲介を依頼する不動産会社を選ぶ判断材料にもなりますよ。

[ 2 ] 自分で相場を調べておく

査定を依頼する前に、大体の相場価格を調べるようにしましょう。不動産会社が出した査定額が適切なのかは、おおよその相場を知らないと判断できません。

自分で相場を調べる方法はオンラインの簡易査定サイトを使うほか、ポータルサイトで売出しされている情報の確認、国土交通省の「不動産取引価格情報検索」で過去の相場取引を調べる等の方法があります。自分にとってやりやすい方法で相場をチェックしてくださいね。

詳しい要件については国土交通省公式ページをご確認ください。

[ 3 ] 訪問査定に必要な書類を揃える

訪問査定を行うときは、事前に必要な書類が揃っているか確認しましょう。書類の中にはすぐに発行できないものもあるので、余裕を持って準備しておくと安心ですよ。

主に訪問査定で必要な書類は以下の通りです。

・登記簿謄本
・売買契約書
・間取り図
・重要事項説明書

この他にマンションを購入したときにもらったパンフレットもあるとよいでしょう。査定でプラスになるアピールポイントを改めて確認できますよ。また、訪問査定をする不動産会社によって必要な書類が異なる場合があります。査定する前に、その会社で必要な書類を確認しておきましょう。

[ 4 ] 最低限の掃除は必須

訪問査定をする前に最低限の掃除はしておきましょう。室内に汚れや劣化が目立つ箇所があると査定に響くこともあります。汚れやすいキッチンやトイレなどの水回りは特に注意しておきたいところです。

また掃除は、不動産会社が査定をしやすくするためにも必要です。訪問査定では収納スペースの内部も見られるので、最低限の整理整頓はしておきましょう。

[ 5 ] 査定額の理由をしっかり聞く

不動産会社が信頼できるかを判断するためにも、査定額の理由はしっかり聞いておきましょう。相場よりも低い価格を出されたときだけでなく、高い査定額を出された場合もその理由を聞くことが大切です。不動産会社の中には媒介契約をして欲しいために、高額査定をするところがあるかもしれません。査定額の理由を、適切な根拠を持って説明できる不動産会社は信頼できるでしょう。説明が曖昧だったり、納得できなかったりする場合は契約をしない方がよいでしょう。

不動産会社選びで失敗しないためにも、査定額の理由を不動産会社に聞いてくださいね。

マンション査定は売却活動のスタートライン!

査定は、適切な売却価格を決めたり、安心して売却活動をまかせられる不動産会社を選んだりするための大切なプロセスです。納得のいく査定をするためには、査定を不動産会社任せにせず、売主が自ら準備をして正しい知識を持つことも必要になります。

信頼できる不動産会社を選ぶためには査定額だけでなく、対応の誠実さやマンション売却の知識量なども加味して判断するのがおすすめです。査定の準備をしっかり行って、マンション売却のスタートをよいものにしてくださいね!