マンションから戸建てへ住み替えるメリット!後悔しないためのポイントやタイミングを解説

マンションから戸建てへの住み替えは、メリットがたくさんありますが、注意点もあります。この記事では、メリットや注意点のほか、住宅ローンの残債のあるマンションからの住み替えや流れ、適したタイミングなどについて解説します。住み替える際の参考にしてみてくださいね。

目次
  1. マンションから戸建てへ住み替えるメリット4つ
  2. マンションから戸建てへ住み替える際の注意点
  3. ローン残債があってもマンションから戸建てへ住み替える方法
  4. マンションから戸建てへの住み替えの流れ
  5. マンションから戸建てへ住み替えるベストタイミングは?
  6. マンションから戸建てへの住み替えは査定から!
2023.12.12

マンションから戸建てへ住み替えるメリット4つ

マンションから戸建てへの住み替えを検討している方のなかには、「マンションとどう違うのだろう」「本当に住み替えても大丈夫?」という不安があるのではないでしょうか?マンションと一戸建てについて簡単に比較すると、マンションには次のような特徴があります。

・マンションは敷地と専有部分以外の建物を他人と共有している
・マンションには管理規約が定められている
・マンションには管理組合があり、所有者全員が組合員になる
・マンションは毎月管理費と修繕積立金の支払いが必要
・一戸建てに比べて比較的立地のよいところにある

マンションは土地(敷地)と建物を他人と共有する共同住宅であり、区分所有法が適用されます。また、その区分所有法によって管理規約が定められ、管理組合が組織されています。管理規約には、毎月の管理費や修繕積立金の支払いが定められており、住まい方やリフォームなども管理規約によって一部制限されていることが一般的です。

さらにマンションは、敷地と建物を複数の区分所有者と共有することで、規模のメリットがあり、一戸建てに比べて土地代の高い利便性のよい立地に建てられるというメリットがあります。また、新築で比較すると似た立地であれば一戸建てよりも安価で購入できる傾向にあります。

マンションから戸建てへの住み替えを検討している夫婦

一方、一戸建てには、マンションの特徴とは対極な状況から主に以下4つのメリットが考えられます。

土地を独占的に所有できる

マンションから戸建てへ住み替えた場合、土地の権利が「所有権」であれば、資産の1つとして他人と共有することなく、独占的に土地を所有することができます。厳密には、マンションでも「敷地利用権」といってほかの区分所有者と土地を共有して所有することになりますが、一戸建てのように個人やその家族などだけで自由に敷地(土地)を利用することはできません。

管理費や修繕積立金を毎月支払う必要がない

一戸建てに住み替えれば、マンションでは必須だった管理費や修繕積立金といった毎月の支払いが不要になります。特に修繕積立金は、長期修繕計画に従って数年ごとに金額が上がることも多いので、負担が少しずつ増えていきます。一戸建ても建物や設備の修繕に必要な資金の準備は必要ですが、自分の都合で準備できるので、毎月負担する必要はありません。

建て替えやリフォームを自由に行える

マンションでは、区分所有者の5分の4以上の賛成がなければ、建物の建て替えをすることはできません。また、室内のリフォームについても管理規約による制限があり、特に窓や玄関ドアといった外部と接する部分の改装、バルコニーの造作や配管の一部(共用配管)の改修も禁止されています。そのため、一戸建てのほうが子どもの成長や両親との同居など、ライフステージの変化に合わせて自由にリフォームしやすいといえるでしょう。

ペットの飼育やガーデニングを楽しめる

マンションには、ペットの飼育や庭・屋上の利用方法など暮らしに関係する規約がありますが、一戸建てであれば、そうした規約はなく、自由に暮らすことができます。大型犬と一緒に暮らしたり、庭で花や緑を育てたり、家族や友人とバーベキューを楽しんだりなど、暮らしのゆとりが広がりますね。

また、マンションだと個人の希望ではできない屋根に太陽光発電設備を設置して省エネ対策をする、インターネット回線事業者を自由に選ぶといったことも一戸建てなら可能です。

マンションから戸建てへ住み替える際の注意点

マンションから戸建てへの住み替えにはさまざまなメリットがある一方、気をつけておきたい注意点もあります。

一戸建ての風景

セキュリティを強化する必要がある

マンションから戸建てへ住み替えたら、セキュリティを強化する必要があります。比較的新しいマンションでは監視カメラやオートロックなどが設置されていることが多くなっていますが、一般的な建売の一戸建てではそうした防犯設備が付いていないことが多いためです。特に、一戸建ては窓や勝手口など外部からの侵入経路が多いほか、当然管理人もいないため、日頃から自分や家族の防犯意識を高めておく必要があります。

修繕費を自分で計画的に準備する必要がある

一戸建てでは、いざというときの建物や設備の修繕費を自主的に準備しておく必要があります。マンションのように毎月管理費や修繕積立金の支払いが必要ない代わりに、故障や劣化部分のメンテナンスは自分で行わなければならないためです。

自分で資金をためておく以外にも、災害に備えて火災保険や地震保険などに加入する、建物の管理方法や修繕に関する知識を勉強するといった、備えをしておくとよいでしょう。

住み替え先の一戸建て

光熱費がかさむ場合がある

マンションより一戸建てのほうが、光熱費は高くなる傾向にあります。一戸建ての場合、マンションと同じ面積でも2階建て、3階建であれば上部へ空間が広がります。そのため熱が上へと逃げやすく、その分光熱費がかかりやすいのです。特に一般的な木造の一戸建ては、鉄筋コンクリート造のマンションに比べると気密性や断熱性が低い傾向があり、冷暖房費がかかりやすいという理由もあります。

生活動線が長くなる

メゾネットタイプを除いた多くのマンションは、1階建ての住戸なので、室内に階段がなく、生活動線は平面的でシンプルです。一方、2階建てや3階建ての一戸建てでは、上下階の移動が必要になります。その分、生活動線が長くなって家事効率が下がるほか、子どもや高齢者にとっては上下階の移動が負担に感じるかもしれません。

ローン残債があってもマンションから戸建てへ住み替える方法

住み替えを検討しているものの、「マンションの住宅ローンが残っている」という理由でなかなか踏み出せない方もいるのではないでしょうか?

しかし、結論からいえば、検討段階で住宅ローンが残っていても、残債を完済すれば住み替えはできます。ここでは、住宅ローンの残債があっても住み替えられる2つの方法をご紹介します。

マンションから戸建てに住み替える費用

マンションの売却資金で残債を返済する

一般的には、マンションの売却で得た資金で住宅ローンの残債を完済し、抵当権を抹消することで、新たに一戸建てを購入するための住宅ローンが限定されることなく利用できるようになります。

抵当権とは、住宅ローンを融資している金融機関が、万が一ローンの返済が滞ったときのために、対象の不動産を担保として、優先的に債権を回収するための権利のことです。この抵当権は住宅ローンが完済した時点で抵当権は消滅しますが、手続きを行うまで抵当権の登記は抹消されません。

売却の際、不動産に抵当権が残っていると、買主が住宅ローンを利用できないため、抵当権登記の抹消が売買の条件となっています。買主が住宅ローンを利用しなくても、抵当権が残ったままでは、買主に大きなリスクがあり、売買が成立しないため注意が必要です。

売却資金で残債を返済できるかどうかを調べるには、まず住宅ローン残債額を確認し、不動産会社に査定を依頼して売却可能な価格(査定額)を調べてもらいましょう。マンションの売却で得る資金が住宅ローンの残債を上回る「アンダーローン」であれば、その資金でローンを完済できます。しかし、マンションの売却で得る資金が住宅ローンの残債を下回る「オーバーローン」の場合は、手持ちの資金も使って住宅ローンを完済する必要があります。

ここでもし「返済資金が足りない…」という場合は、次にご紹介する住み替えローンの利用を検討するとよいでしょう。

●査定額を知りたい方はこちら

住み替えローンを利用する

マンションの売却資金に自己資金を足しても住宅ローンを完済できない場合は、住み替えローン(買い替えローン)の活用を検討してみましょう。

住み替えローンとは、今住んでいるマンションを売却して得た資金を返済に充てても住宅ローンが残る場合に、その残債と新たに購入する一戸建ての購入資金を合わせた額の融資を受けられる住宅ローンのことです。住み替えローンを利用することができれば、資金が不足していても前の住宅ローンを完済できるうえ、残債と新居の住宅ローンの支払いを一本化することもできます。ただし、新居の購入資金と一緒に利用するため、売却と購入をタイミングよく進める必要があります。

また、新たに購入する一戸建ての購入代金よりも多くの融資を受けることになるため、審査は通常の住宅ローンよりも厳しく、金利も高くなり、返済額も増える場合がある点には注意が必要です。

●住み替えローンに関する記事はこちら
住み替えローンとは?利用の注意点や手順を解説

マンションから戸建てへの住み替えの流れ

実際にマンションから戸建てへの住み替えを行う場合は、「資金計画」に加えて「売却と購入のスケジュール」をよく考えて進める必要があります。

ここでは、資金計画の立て方と、「売却先行」にする場合・「購入先行」にする場合のスケジュールについて、それぞれ解説していきます。

マンションから戸建てに引越す様子

資金の計画を立てる

住み替え資金の計画を立てるには、まずローン残債を売却資金で返済できるかどうかを調べます。現在のローン残債を、住宅ローンを借りている金融機関に確認したら、不動産会社に物件の査定を依頼して売却推定価格(査定額)を確認しましょう。

査定額から売却にかかる諸経費を引いた額がローン残債を上回っていればその資金で一括返済を、下回っていれば自己資金を追加して残債を支払うか、住み替えローンの利用を検討します。

次に、住み替える一戸建ての住宅ローンを含めた資金計画の見通しを立てましょう。「一戸建ての購入予算+購入時の諸経費」に対して、購入に充てられる自己資金がいくらか、併せて購入に必要な融資額を見積もります。そのとき住宅ローンの返済額もシミュレーションしてみましょう。あるいは、毎月支払える返済額から逆算した融資額や自己資金から、住み替える一戸建ての購入予算を算出して、資金面から購入できる物件を選ぶこともできます。

一戸建て購入のための資金計画を立てる女性

売却先行で住み替える

住み替えを進める際、先に今住んでいるマンションを売却してから一戸建てを購入する方法は「売却先行(売り先行)」と呼ばれます。売却先行のメリットは、売却資金が確定するため、ローン返済や住み替える一戸建ての購入費に充てられる資金が明確になる点です。

一方、売却先行では、マンション売却後に住み替え先の一戸建てが決まるまで仮住まいを用意しなければなりません。また、マンションから仮住まい、仮住まいから一戸建てへと2回引越しすることにもなるので、その分の手間と費用がかかります。

購入先行で住み替える

売却先行とは逆に、一戸建てを購入してから今住んでいるマンションを売却する方法は「購入先行(買い先行)」と呼ばれます。購入先行のメリットは、仮住まいの必要なく、新居探しに時間をかけられることです。

注意点は、一戸建ての購入を自己資金と新たな住宅ローンで賄わなければならないこと、またマンションに住宅ローンの残債がある場合、売却できるまでの期間は二重ローンが発生してしまうことです。加えて二重にローンを組む際は、融資審査も厳しく、利用できる金融機関も限られます。さらに売却時期が遅くなるほど、返済負担も大きくなってしまいます。

そのため購入先行では、売却に時間をかけると負担が増えるので、「早く売ろうと焦って売却価格を下げてしまった」という失敗も起こりがちです。

売却先行と購入先行のどちらを選ぶかは、自身の状況と照らし合わせて考えてみましょう。たとえば、売却資金を確定させてから住み替え資金に充てたい場合は売却先行。ローンを完済している、あるいは理想にぴったりの物件が見つかっていて逃したくないという場合は購入先行を選ぶとよいでしょう。

また、購入する一戸建てが新築であれば、先行して購入を決定し、「買い替え特約」を付けた売買契約を締結した後、今住んでいるマンションを売却することができる場合があります。買い替え特約とは、購入する新居の売買条件として、特約で定めた期間内にもともと住んでいた住宅が売却できなければ、契約をペナルティなく解除できる特約です。ただし、特約には期間が定められており、その新居を購入したい場合は、期間内にもともと住んでいた家を売却する必要があります。

●住み替えの費用に関する記事はこちら
住み替えの方法や費用など、戸建て・マンション別に解説

●住み替えの失敗対策に関する記事はこちら
住み替えに失敗したくない!よくあるケースと対策について知ろう

マンションから戸建てへ住み替えるベストタイミングは?

住み替えをスムーズに進めるには、タイミングを見極めることも重要なポイントです。迷っている方は、次に挙げる住み替えに適したタイミングを参考にしてみてください。

●住み替えのタイミングに関する記事はこちら
住み替えのタイミングはいつ?ベストな時期や成功のコツを解説

住み替え先の一戸建てを探す夫婦

家族構成・生活が変化するとき

子どもの誕生や就学、進学、転勤や転職が決まったなど家族構成や生活に明確な変化が起こったときは、多くの方が住み替えを検討するタイミングです。特に、子どもの就学や進学が理由の場合は、就学・進学前に引越しできるよう動き始めましょう。

収入が増えたとき

収入が増えたタイミングでは、住宅ローンも利用しやすく、融資額も増えるので、予算も増えて希望の一戸建てを購入しやすくなります。購入する物件価格の理想とされる目安は、年収の5〜7倍が目安といわれているので、収入が増えれば予算も増えそれだけ物件選びの幅も広がります。

金利が低いとき

住宅ローンの金利が低い時期も、同じ金額を借りるなら、返済負担も少ないので住み替えに適したおすすめのタイミングです。2023年現在はいまだ低金利の状態が続いており、住宅ローンを利用しての住み替えを決断するチャンスかもしれません。ただし、低金利であっても借入額が増えれば、返済の負担はその分増えるので、住宅ローンの借入額は慎重に検討してくださいね。

住宅ローンの金利が下がる様子

マンションから戸建てへの住み替えは査定から!

マンションから戸建てへの住み替えで大切なのは、まず今住んでいるマンションの売却を成功させることです。次に、その売却資金も考慮した資金計画を立てて資金の許す範囲で希望に合った一戸建てを選びましょう。

一口に一戸建てといっても、完成した住宅を販売している「建売住宅」や「中古住宅」、土地を先に購入してから自分の好みにあった建物を建てる「注文住宅」があり、それぞれ購入にかかるコストや間取り、内外観の設計・デザイン、住宅設備の選択の自由度に違いがあります。住み替えの場合でも、どういった種類の一戸建てを選ぶべきかじっくり比較検討して、「マンションから戸建てにしてよかった」と思えるよう納得のいく一戸建てを見つけましょう。

三井のリハウスでは、不動産売却のための無料査定、住み替えのご相談を受付中です。ご希望条件に合った物件探しもお手伝いしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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秋津智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。物件の選び方や資金のことなど、不動産に関する多岐のサポートを行なう。